言葉はどんとどんどん新しくなっていく。「うざい」「ださい」は1970年代から80年代くらいに流通しはじめた新しい言葉である。「えぐい」は昔からある言葉の意味が少しずつ変わってきたもの、「やばい」は、もとは隠語である。これくらいは私もつかう。「だめぽ」もつかう。
*
*
ちなみに「金魚ブス」とは「すくいようのないブス」の意味である。面白いがまだこなれていないのである。そのうち「ギョブス」とかになるのである。できれば冒頭の「どんとどんどん」にも注目していただけるとありがたいのである。私がいまつくった言葉である。どんと+どんどん、である。
*
*
しかし、こういう言葉ばかりをつかっていると、バカじゃろ? と思われるので気をつけなければいけないのである。みんな他人の言葉には厳しいのである。「『この人頭が悪いな…』と思われてしまうNGワード」という記事がネットにもちゃんと上がっているのである。
*
*
「『この人頭が悪いな…』と思われてしまうNGワード」によると、それはたとえば「なんか○○」、「それ・これ・あれ」の連発、「え~」の連呼、らしいのである。「なんか○○」は「なんかやばくね?」などの「なんか○○」なのである。「え〜」もワードらしいのである。
*
*
しかしそんなことは、わざわざ改めて指摘されなくてもわかっているのである。AYモードである。アタマ弱いモードである。AIモードの反対語である。で、ふとこの記事のタイトルがモニター画面上でアクティブになっているのを見つけて、クリックしてみたのである。
*
*
すると、その下から「ギクッ…毎日言ってる!使えば使う程『頭悪い人』認定されちゃうNGワード」という別のタイトルが出てきたのである。人間、かしこぶって人のことをとやかくいうものではないという教訓である。ホント。くわばらくわばら。
*
*
私が紹介するのは「NGなものいい=もののいい方」である。言葉はつかわれ方で変わるのである。まずは、1月6日配信の『日テレNEWS24』からである。それによると、「長崎県対馬市議会の女性議員が同僚の男性議員にセクハラ行為を受けたとして、警察に告訴状を提出したことを明らかにした。」のである。
*
*
でもって意外なことにセクハラをされたという女性議員は73歳で、告訴された男性議員は66歳なのである。ジジイとババアである。73歳の主張によると、議会の視察後に行われた会食の際、66歳に馬乗りになられた上、胸を触られたり下着を脱がされそうになったというのである。ジジイがババアのパンツを脱がそうとしたのである。えぐい、やばい、を超えて地獄である。
*
*
66歳は電話取材に答えて「「お互い飲んでいるから、斜め横に倒れた。入江市議も酔っているから起こすのに上から抱き起こした。それを胸を触ったとか言うけど、絶対ないから。刑事告訴されているから戦っていく」と語ったらしいのである。このなかの「絶対ないから」というものいいが、ゲンナリするほどバカっぽいのである。ここはそういうカジュアルないいまわしをする場面ではないのである。66歳にもなって。
*
*
地方の政治家たち、首長以下、議会議員、そして後援会役員の果てまで、いまやその劣化はすさまじいのである。そしてこういう連中の典型的「NGなものいい」を最近、見事に聞かせてくれたのが、意外なことにベッキーことレベッカ・レイボーン(31、not 別所絹子)だったのである。
*
*
ベッキーは、ロックバンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル、川谷絵音(27)との不倫交際を報じる『週刊文春』が1月7日に発売されるのに先手を打って、急遽6日夜に記者会見をしたのである。
*
*
不倫というのは、 川谷絵音は去年の夏にすでに結婚していたからである。しかも絵音はそのことを、今回のベッキーとの不倫疑惑を否定するファックスのなかで報告しているのである。「さすがゲスの極み」というゴーゴーたる非難と嘲笑が聞こえてくるようである。あるいは「ゲスの極み乙女(の敵)。」である。
*
*
質疑応答なしの記者会見で、ベッキーは、以下のように語ったのである。「記事にありましたように、2人でお食事に行かせていただいたこともあります。そして、お正月に長崎のご実家にお邪魔したことも、事実です。ただ、お付き合いということはなく、友人関係であることは間違いありません。しかし、私の取った行動はたくさんの方々にご迷惑をおかけし、誤解を招くような大変軽率な行為だったと、深く反省しております。申し訳ありませんでした。」。
*
*
「ただ、〜」「しかし、〜」と逆接が続いていることを除けば、まあ、ふつうの文である。しかし絵音、長崎の実家まで連れていくかなあ。31歳の独身女を。これはもう、結婚詐欺である。それにしてもベッキー、こんなぽっと出にころっといくかなあ。やっすいなあ。ちゃら子だなあ。申しわけないが、これでベッキー、上戸彩(30)とはもはや雲泥の差、月とスッポンの関係になってしまったのである。
*
*
さて、問題はこのあとである。「川谷さんのご家族の皆さま、ファンの皆さま、関係者の皆さまに、多大なるご迷惑をおかけしてしまいましたこと、深くお詫び申し上げます。そして、いつも私ベッキーを応援して下さっているファンの皆さま、関係者の皆さまにも、多大なるご迷惑をおかけしてしまいましたこと、深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。」。
*
*
「そして」でつないで、次になにをいうかと思ったら、同じ内容の繰り返しなのである。私にいわせれば、これは「『この人頭が悪いな…』と思われてしまうNGなものいい」なのである。で、わざとにこれをやるのが、さっきの66歳みたいなバカな政治家たちなのである。
*
*
ベッキーのセリフが実質は半分ですむものであるように、そうすることで、中身がなくても薄くても、時間とボリュームが稼げるのである。こんなことばっかりやっているから、同時通訳者にも、「日本の政治家の言葉は訳すところがない」とバカにされるのである。
*
*
ついでに絵音のファクスも見てみるのである。まずは、「ベッキーさんとは親しい友人としてお付き合いさせていただいておりましたが、既婚の身でありながら軽率な行動によって、このように世間を騒がせる事態となりましたこと、深く反省いたしております。ご迷惑をおかけしました関係者の皆様、ご心配をおかけしましたファンの皆様に、心よりお詫びを申し上げます」である。
*
*
絵音とベッキーに共通している言葉が「軽率な」である。「軽率な行動(絵音)」、「大変軽率な行為(ベッキー)」である。「不適切な」の兄弟分ともいうべき、人を小バカにした鼻持ちならぬいいまわしである。
*
*
ここはきっぱり、「淫らな」というべきなのである。「淫らな行動」「大変淫らな行為」である。おお、こうして並べるとベッキーのほうがいいさか正直者、というか気を回しきれていない印象なのである。この状況で「行為」は絶対のNG語なのである。もしかしたら、ただ日本語のニュアンスにうといだけなのかもしれないが。
*
*
で、絵音のファクスの続きである。「このような形でご報告することは、いつも応援していただいているファンの皆様に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいですが、私、川谷絵音は、昨年の夏に一般女性の方と入籍しておりました」である。
*
*
問題なのは、事実を語る前にいいわけ、エクスキューズが入ることである。また、「入籍しておりました」という、どこか他人事ふう&完結したふうな表現もよくないのである。主体的な行為者、つまり、自分自身の“しでかしてしまったヤツ”という印象からできるだけ早く、遠く逃れようとする意図が見え見えなのである。
*
*
これを読む限り、絵音はダメな男である。またどこかの女を長崎の実家に連れて行くに違いないのである。しかし私は“入籍しておりました川谷”として、長く記憶にとどめておくのである。
*
*
気を取り直そう。「『この人頭が悪いな…』と思われてしまうNGなものいい」である。「〜じゃないですかあ」と同意を求めてくる話し方がうざい、とは、もうずうっと以前からいわれていることである。さらに最近では「〜じゃないですけど」もやたら耳につくのである。
*
*
たとえば「親孝行じゃないですけど、親を旅行に連れて行きたいなと」である。「親孝行というのもはずかしいのですが」あるいは「親孝行というほどのものではないのですが」と、どうしてすっきりいえないのか、というか、この省略のしかたは混乱を招くのである。親孝行そのものを否定していると取られてもしかたのないいいかたなのである。で、こういうところに言葉に対する鈍感さが見えるのである。
*
*
さらに「〜、 親を旅行に連れて行きたいなというふうには思っていますね」などと続く場合があるのである。自意識過剰である。そんなに自信がないなら、ツッコミが怖いなら黙っていろ、といいたくなるのである。
*
*
逆に、あまり簡潔にはっきりいい切り過ぎて思考停止の状態が丸見えの場合もあるのである。一種の紋切り型表現である。「最高のひとことですっ」「いうことないですっ」。もう少し考えてみようよ、といいたくなってしまうのである。「食べることができるわけなんですねえ」は、リズムよくいこうとした結果のヘンな日本語である。まるでジョイマンである。
*
*
で、最後になったが、これはまったく論外な例である。話しかたうんぬんではなく、それを話す人間によって、まったく意味がわからなくなるという場合である。例の、しあわせ偽装オーラ満開の、藤原紀香(44)のブログ『氣愛と喜愛でノリノリノリカ〜NORIKA's sensation』である。2016年1月6日付のタイトルは「女性として誓うこと。」である。では、以下その一部である。
*
*
《仲間の相談事を聞いていると 世の中には、自分の保身やお金を儲けるために嘘ばかりつく人もいて 悲しくなることもあります。 2016年も、心身ともに凛とした姿勢で 女性として価値を下げない行いを、恥ずかしくない生き方を していきたいと 心に誓いました》
*
*
誓ってくれ、やってくれ、頑張ってくれ、である。そしてこれ、たぶん書いているときの紀香は、本気なのだろうと思うのである。つい我を忘れて。嫌みをいっている場合ではないのである。本人に嘘をついている自覚はないのである。きっと。恐ろしいことである。
*
*
最近の紀香は、私から見れば、ほとんど人格が分裂しているのに等しいのである。笑顔の写真にも、狂気ならではの、非常に強い集中と執着を感じるのである。そしてどこかがアンバランスなのである。脂ぎってテリテリテリカでもある。
*
*
言葉はどんとどんどん新しくなっていくのである。であるから流行語や仲間内のスラングも、別にそれほど悪いとは思わないのである。しかしやっぱり、こういう「NGなものいい=もののいい方」を頻繁にされると、こいつとはやってれねーと思ってしまうのである。おっと、つい「ら」を抜いてしまったのである。「ら」を抜いて代わりに「ん」を入れると面白いのである。最近の発見である。スマソ。(了)
0 件のコメント:
コメントを投稿