痴(し)れた漢(おとこ)と書いて「痴漢」。つまりバカ男である。法律的には強制わいせつ罪あるいは迷惑防止条例違反で罰せられる。逆にいうと公共の場所で強制わいせつ罪や迷惑防止条例に抵触する行為をしでかすと、法律上の罰則に併せてさらに「バカ男」の称号を与えられるのである。バカ男の例にはこんなものがある。
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◆『日刊スポーツ』2017年10月25日配信
【壇蜜、電車で遭遇した変わった痴漢「すごかった」】
《タレントの壇蜜(36)が、満員電車で遭遇した変わった痴漢について語った。
壇蜜は24日深夜放送のテレビ東京系「チマタの噺」に出演。かもしだす色気について司会の笑福亭鶴瓶から「小さい頃から?」と尋ねられ「みんな作ってるとか演技だって言うんですけど、いつもしっとりしてて」と、生まれ持ってのものだと語った。危ない目に遭わなかったかと聞かれたが、母や祖母から髪を短く切られていたため何もなかったそうで「何かを察知していたんでしょうね」と振り返った。
また、普段から電車によく乗るという壇蜜は、痴漢被害に1度だけあったことがあるという。「髪の匂いをしこたま嗅がれました。誰?私の髪の毛をスーハーしてるのは誰?っていう。すごかったです、髪の匂い無くなるんじゃないかなっていうくらい」と明かした。
痴漢被害については、女性側の服装も誘発の原因だと考えているらしく「やっぱりそれっぽくしていたら危ない目に遭いますよ。そういうものがその人にとってのアピールになっちゃったら、それはもうどっちが悪いじゃないですもん」と持論を展開した。》
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立派なバカ男である。では男はどうしてバカになるのかというと、こんな記事があった。
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◆『東洋経済オンライン』2017年10月24日配信
【全男性が持っている「痴漢トリガー」とは何か】
《〈— 略 —〉
「すべての男性が痴漢常習犯になる可能性がある」と世の男性に警鐘を鳴らす人物がいる。『男が痴漢になる理由』の著者である精神保健福祉士・社会福祉士、斉藤章佳氏だ。アジア最大規模の依存症治療施設といわれる東京の榎本クリニックで1000人を超える痴漢常習者を含む性犯罪者の治療に携わってきた。平凡な男性がなぜ痴漢行為に走り、やめられなくなるのか。その理由を聞いた。
〈— 略 —〉
――痴漢をする男性に特徴はあるのでしょうか。
当クリニックでは過去12年間に延べ1000人以上の性犯罪者を対象とした再発防止プログラムを実施してきました。受講者を年齢別に見ると最も多いのは30代で、その後40代、20代と続きます。最終学歴は4大卒、職業別では会社員が多いです。未婚と既婚はほぼ半々。こうして見ると、痴漢行為をする人の平均像は「4大卒で会社勤めをする、働き盛りの既婚男性」ということになります。
〈— 略 —〉
――既婚者ということは、女性に接する機会が少ないから痴漢をするわけではない?
そうです。結婚イコール夫婦間の性的関係が維持されているというわけでありませんが、夫婦のセックスレスと痴漢行為に相関関係はありません。
――痴漢は性欲をコントールできない人がするのでしょうか。
そうとは言い切れません。当クリニックが2013年に痴漢加害者約200人に聞き取り調査を行ったところ、「痴漢行為中に勃起していない」と回答したのは過半数に達しました。勃起していないということは、痴漢の動機が直接性欲を満たすためではないということになります。逆に言えば、性風俗店に通いつつ痴漢行為を繰り返していた人も一定数います。つまりほかの手段で性欲を発散しても痴漢行為の抑止にはならないのです。
――では、痴漢をしてしまう理由はなぜでしょう。
日常生活、特に仕事で起きるストレスが原因となることが多いようです。スポーツやカラオケをしたり、おいしいものを食べたり趣味を通してストレス解消する人が大半ですが、中には仕事量の多さや営業ノルマのプレッシャー、あるいは家庭内の不和のストレスから痴漢行為に耽溺してしまう人もいます。また、痴漢をする人は日本人だけとは限りません。母国ではまったく性犯罪歴がないのに、日本に長期滞在しているうちに痴漢行為を覚えてしまうエリート外国人サラリーマンもいます。ここでも、日本特有の満員電車通勤という環境的要因と、慣れない国での生活や男尊女卑的価値観などの心理社会的要因が背景にあると考えられます。
――痴漢をする人としない人の違いは?
痴漢をするトリガーとなるものがあります。さまざまなトリガーがあり、類型化は難しいのですが、強いて言えば、言葉は悪いですが“ビギナーズラック”がトリガーとなる人が一定数います。たとえば、満員電車に揺られているうちに、たまたま手の甲が女性のお尻に触れてしまった。ところが、女性は無反応だった。このとき男性の脳内には大量のドーパミンが分泌され、衝撃的な快感を覚える人がいます。当クリニックの受講者はこの状態を痴漢行為の「スイッチ」が入ったと表現することが多いです。
このスイッチが入った人は女性が無反応だったので、「ばれない」「意外と簡単」あるいは、「女性は嫌がっていない」と思い込んでしまいます。これを「認知の歪み」といいますが、これに味をしめて最初は列車の揺れに合わせて触るなど偶然を装いつつ、回数を追うごとに少しずつ意図的な接触の度合いを高めていくのです。「ばれたら大変だ」というスリルとリスクがさらに快感を助長させていきます。
そして、最初は衣類の上から触っていたのが下着の中に手を入れる、あるいは月1回の痴漢行為が週1回、1日おきへとエスカレートしていきます。『犯罪白書』平成27年版によれば、はじめて痴漢をした人の平均年齢は33.1歳、痴漢で逮捕された人の平均年齢は41.4歳。つまり、このデータからも初めて痴漢をしてから逮捕されるまでに何年も経っていることが読み取れます。それだけ膨大な被害者の数がいるということです。
――薬物やアルコール、ギャンブル依存症に似ていますね。
そのとおりです。いけないことだとわかっていてもやめられない。これが最後、あと1回だけと言って繰り返し、行為がエスカレートしていく。まさに依存症です。逮捕されたときに「捕まって安心した」と言う痴漢も少なからずいます。もはや自分ではやめられず、逮捕されてほっとするのでしょう。ただし薬物やアルコールの依存症との違いは、自分の健康を害する行為ではなく、必ず被害者がいるように他者の健康や尊厳を踏みにじる行為であるということです。
〈— 略 —〉
――男性の誰もが痴漢になる可能性があるとしたら、それを防ぐためにはどうしたらよいでしょう。
日常生活で過度なストレスを感じている状態で、偶然女性のお尻に触れたことで「痴漢スイッチ」が入ってしまうのであれば、そのスイッチが入らないようにすることです。満員電車を避けるか、電車内では必ず座るようにするか、常に両手でつり革を握るなどの対処法が必要です。
とはいえ、日本の満員電車でこれを常に実行するのは難しいことです。むしろ過度なストレスをためないように、ストレスを発散する場や相談する相手を複数確保するなど、対処法を持つことが賢明でしょう。これは努力して身につけることができる人間の処世術です。また、もし読者の中に罪の意識を感じながら痴漢をやめられない人がいるなら、痴漢は依存症であり、治療でやめられるということを知ってほしい。今ならまだ間に合います。》
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たまさか女のケツに手が触れてそれでトラブルにならなかったことが痴漢トリガーになったりする、と。理性をもって自制しなければならないのはもちろんである。しかしあの否応なく身体同士が接触してしまう満員電車というものもどうにかならぬか、と思う。
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インタビューに答えた斉藤章佳(38)も「日本特有の満員電車通勤という環境的要因」といういい方をしているではないか。個人に堪え難い苦痛と不快、さらにバカ男の濡れ衣を着せられないための自制と緊張を押し付けて平然と営業を続ける鉄道会社というのは、いったいいかなるものであるのか。
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そもそも、首都圏の鉄道、とくに私鉄に顕著であるけれども郊外に鉄道を延ばし、それとのセットで駅周辺のタウン開発を行うという手法で事業を展開してきたのである。それは膨張する首都圏人口の受け皿として欠かせないものであったとはいえ、通勤時の駅利用者数はあらかじめ予測がついていたはずだ。それが混雑率(乗車人数の定員に対する比率)150%だとか200%だとかに達して平気というのはけつからん、おっと間違いた(by荒木経惟)けしからんお話ではないか。痴漢トリガーは超満員電車である。
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人間には他人の侵入に不快を感じる近さの限度というものがある。人間に限らず動物ならみんなもっている。対人距離、パーソナルスペースといういいかたもされるものだ。
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建築計画学の西出和彦(64)によると、対人距離50cmから、もうすでに“絶対的に他人を入れたくない範囲=排他域”である。他人と会話することさえこの距離ではできない。50cm〜150cmは逆に“会話域”と呼ばれ、会話なしにはいられない近さだという。なるほどそんな感じはたしかにある。
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満員電車の通勤客は対人距離0cmではないか。斉藤章佳の指摘する「痴漢行為をする人の平均像は『4大卒で会社勤めをする、働き盛りの既婚男性』」、つまり電車通勤のサラリーマンたちは日々パーソナルスペースを強引に侵略され続けていたのである。そしてそれはバカ男にはならない大勢の男たちや女たちも同様なのである。
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このインタビューのなかで、警視庁調べとして2016年の都内の電車内での痴漢行為は約1800件であったという数字が出てくる。さらにまた警視庁の調査によれば痴漢行為に遭った女性のうち9割近くが警察に通報・相談をしていないという。ということは年間約1万8000件の痴漢行為が発生していることになる。
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この約1万8000件を多いと見るか少ないと見るか。「日本特有の満員電車通勤」で理性の敗北を背負わされた者たち。1万8000人のバカ男たち。私は多いと思う。この背後には何十万、何百万人の、いろいろ辛抱強〜い男たち女たちがいるのである。企業利益のために甚大な負担を個、しかも客に押し付けるとはなにごとか!! である。いまや郊外の人口減少が深刻? その割に混雑が軽減されないのはなぜだ?
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しかしいくら憤ってみても鉄道会社が抜本的な対策に乗り出さないかぎり、私たちは男も女もそれぞれの立場で自衛するしかない。そこで私は怒りを抑えつつ、一種の男向け拘束手袋「痴漢冤罪ストッパー」を開発中である。世界に誇る日本の名品、日本土産にも最適な逸品になる予定である。刮目して待て。(了)
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