2017年1月28日土曜日

「イエスの方舟」、みんなオバサンになっていた。諸行無常



『爆報! THE フライデー』(「TBS」2017年1月27日放送)で「イエスの方舟」の現在のようすを見た。「イエスの方舟」とは千石剛賢(享年78)が創設した聖書勉強会である。それにしても『爆報! THE フライデー』のほうはいつもいつもこれでもかとばかり取材VTRを繰り返すのでウンザリしてしまう。



《(1975年頃から)、家庭には居場所がないと感じていた信者が千石の活動に共感し、家庭を捨てて共同生活を始めるようになる。信者の多くは若い独身女性だったが、男性や既婚女性も含まれていた。その後、千石の体調が悪化したことと満足な布教活動ができなくなったことを理由に、1978年から千石は信者26人と共に全国を転々としはじめる。》とWikipediaにはある。



で、家出してきた会員の家族などからの訴えもあり「イエスの方舟」は次第に狂信的団体、邪教、カルト教団などと呼ばれるようになる。「千石イエス」とは主宰者の千石剛賢に対してマスコミが勝手につけたあだ名であって、本人はこう名乗ったことはないらしい。会員からの呼ばれ方は「おっちゃん」である。1980年ごろには日本国中が「イエスのおっちゃん」の噂でもちきりであった。



日本国中が大騒ぎになったのは会員の大部分が若い女だったからである。私もなぜ若い女ばかりが集まったのかを知りたくて番組を見たのである。しかしあれから30数年、「おっちゃん」が世を去った「イエスの方舟」は映像で見るかぎりババアばかりであった。共同生活をはじめた1975年ごろに集まった会員がほぼ全員そのまま残っていたのである。ちょっと居心地のよさそうなグループホームの趣である。



会員の内訳については1978年に東京国分寺市の拠点を出て全国を転々としはじめたときの26人についてわかっている。若い女性11人、中年女性8人、中年男性4人、青年1人、子ども2人である。総人数は現在もこのときからわずか数名程度増えたくらいであるらしい。ちなみに「中年」とは「だいたい40歳から50代なかばぐらいまで」(NHK放送文化研究所)だそうである。



そんなわけで「イエスの方舟」について説明する場合には「男性会員や既婚女性もいるが大半は若い女性であった」といういいかたがされることが多い。



だーからどーして若い女ばかりが集まってきたんだよー!! という問いの答えは同番組にはなかった。ざっくり調べてとくに若い女を集めたという話もない。現会員たちご本人もたぶん自然にそうなったという気分なのであろう。しかし雨が降るにも理由はある。自然にそうなるにも理由はあるはずである。



番組のなかで、律儀な子づくり男・中田敦彦(34)が「リーダーは実は千石イエスの奥さんのほうで、千石イエスはシンボルだったのではないか」という憶測を語っていた。たしかに2001年12月に千石イエスが亡くなってから丸15年、「イエスの方舟」は妻の千石まさ子(84)を主幹として運営されている。



千石イエスがまさ子と結婚したのがいつのことであるのか定かではないけれども、大阪で聖書研究会に参加した1952年には夫婦であったことがわかっている。つまり1960年に「イエスの方舟」の前身である「極東キリスト教会」を主宰して共同生活をスタートさせたころからともに歩んできたわけである。



テレビで観た千石まさ子は高齢にもかかわらず端正にととのえた身なりをし、柔らかな口調で的確な受け答えをしていた。おそらく、1975年当時集まってきた若い女たちそれぞれがもつ家庭に対しての悩みなどを聞くには適役だったのであろうと思う。とくに母と娘の軋轢みたいな話になると「おっちゃん」の出番はない。



しかしだからといって中田敦彦がいうように千石まさ子がリーダーでイエスがシンボルということではないと思う。信者を増やして教勢を拡大しようという目論見は最初からなかったのであるし、そもそも宗教団体ではないので、いわゆる教祖・教学・教宣という役割はない。シンボルキャラクターなど不要である。それよりもふたりで会員の母親と父親の役をやっていたというほうが妥当だと思う。



だーからどーして若い男は少なくて若い女ばかりが集まってきたんだよー!! の理由は、「イエスの方舟」が聖書の勉強会であったからだろうと思う。これが駆け込み寺よろしく来る者は拒まずの姿勢でいたら、たぶん若い男も大勢いただろう。そもそも唯物史観とキリスト教とは相容れないとはいえ、70年安保を通過した若者が少し途方に暮れていた感じの時代であったし。



まじめに聖書を勉強する気がなければ会の仲間には加われない。これはかなりハードルが高い。1970年代中期のこととてどこかハイブロウな感じもある。実際に会員には良家の子女というタイプの方々が少なくないようである。どこか上品な千石まさ子とは波長があったんだろうなあという気がする。



そして「イエスの方舟」は勉強会であるので、言葉は悪いけれども迷える子羊たちの歓心を煽り立てるようなドグマとは無縁である。「毎日1000回“ありがとう”を繰り返しなさい。そうするときっと奇跡が起こります」というようなありがたーいご託宣もない。え? これどこかで聞いたことがある? あ、そう。えっ? 小林麻央(34)? 忘れてくれんかの。



ともかく「イエスの方舟」ではそのようにして毎日毎日静かに聖書と向き合っているのである。国分寺時代から増えたメンバーはごくごくわずかなので、とうぜん高齢化が進んでいる。どうするのであろうか? とは書いてはみたものの、正直にいうと私とは世界があまりに違いすぎるので興味がない。若い女ばかりが集まってくる特別な秘密もないみたいだし。



ああ、そういえば30数年来の会員である彼女たちに「最初からこんなに長いお勉強になると思っていたのか?」ということは聞いてみたい気がする。そこが修道院ではなくて「勉強会」なのは、なにかを掴んで、あるいはある程度学んだらまた実社会に還って生きようと思っていたのかもしれない、と考えるからだ。彼女たちはなぜそこにきたのか? よりもなぜそこに留まったのか? に大きな意味があるような感じがする。



だがしかしそんなことよりも「イカの方舟」である。「びっくりドンキー!!」である。一昨日の午前11時ごろ、繁華街の「びっくりドンキー!!」で「イカの方舟」とライスとサラダ、それにみそ汁という渋〜い食事をとっておられたお姐さん、男物の白ワイシャツと黒いショーパンとトイレサンダルのお姐さん、いまごろどこでどうしておられるのであろう?



そんな凡俗の巷に生きる私はパソコンで同じ作業を繰り返していると、ついソフトウェアがすり減るのではないかと心配になるほんとうのバカである。救いがない。(了)






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