2016年4月14日木曜日
ビルボード39位!! 世界のベビーメタルの人気の秘密
このBlogで何度も書いているBABYMETALです。やっぱりたいへんなことになりました。4月第1週に計画されていた“4月攻勢”でやらかすとは予想していましたが、ここまで大きく飛躍するとは思っていませんでした。
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“4月攻勢”、勝手にそう呼んでいますけれども、まずは4月1日にセカンドアルバム『METAL RESISTANCE』を世界同時発売。2日にはロンドンのウェンブリーアリーナで1万2000人を集めてワンマンライブを成功させ、さらに5日夜には全米ネットのCBS『The Late Show with Stephen Colbert』に出演して「Gimme Chocolate!!」をライブで披露しました。
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で、セカンドアルバム『METAL RESISTANCE』は、4月12日にはアメリカの総合アルバムチャート「Billboard Top 200 Albums」に初登場39位にランクインしています。日本人のベスト40入りは1963年に14位を記録した坂本九の『SUKIYAKI』以来だそうです。総合アルバムチャートですからたいしたものです。
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アルバム売上の他に、YouTubeでのミュージックビデオ再生回数などを見ますと、いま現在、欧米に猛烈な勢いでファンが増えていることがわかります。これから3度目のワールドツアーを回り、9月19日の東京ドームワンマンライブのころには、完全に“超大物外タレ”レベルの存在になっているでしょう。
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“4月攻勢”のトピックの連打で、国内での知名度や人気にも、ようやく本格的に火がつきはじめたようです。しかしまあ、しっかりした音楽番組がない日本の現状です。“音楽番組よりもニュース番組で見るほうが多い”という状況はこの先も続きそうです。
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そういえば、むかしむかしそのむかし、人気絶頂だったアラン・ドロンに対してジャン=ポール・ベルモンドが「フランスはお前にやるが、世界はオレがもらう」といったとかいうお話も思い出します。古いです。
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BABYMETALの“4月攻勢”は、ポピュラリティの面だけでなく、彼女たちが標榜する“KawaiiMETAL”に対する見方にも大きな変化を与えています。アイドルがメタルミュージックをやるなんて容認できない、という否定派からも、徐々に肯定的な意見が聞こえています。
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代表的な例が音楽ファンのサイト「Noisey」でヘビーメタルの批評を担当するキム・ケリー(Kim Kelly)です。彼女は2014年の段階では、「BABYMETAL」がメタルの名を語ることは大問題だと憤っていました。
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Kim によるとBABYMETALはつくられたポップアイドルグループで、プロデューサーが新しいガールズバンドのテーマとして「メタル」に決めただけにすぎないからです。これは事実です。
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さらに楽器も弾けず、グループ結成までヘビメタを聞いたことがなかった彼女らの存在は、「サブカルチャーと、多くの人が真面目に愛する音楽に対する侮辱である」とまで断罪していました(「Newsphere」2014年11月)。
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事実関係についてはすべてKimのいう通りです。けれども結論が、少なくとも私とはまったく違っていました。そのKimが4月5日のツイッターに「Squadded up with @BABYMETAL_JAPAN(BABYMETALとチームを組む)」と記しています。
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“組む”というのは別にBABYMETAL のチームと契約をしてなにごとかの仕事をするという意味ではなく、これからはBABYMETAL を推していきますよ、というくらいの意味です。
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では、なぜKimは態度を変えてBABYMETALを推すことにしたのでしょうか? それについてKimはいまのところ、BABYMETALは心変わりさせるのが得意なようだ、とか、可愛いとか養子にしたいとか、要するにはぐらかししか語っていません。
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それは近々のうちにアップされる予定の、彼女のBABYMETALインタビューをお楽しみに、というわけでしょう。ですが、おそらく、メタルレジェンドといわれるような年老いたバンドにいつまでもしがみついていても未来はないことに気付いたのです。
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メタルは世界中にファンがいるたいへん大きなジャンルではあります。しかし創造性という点では、いまにも窒息死寸前です。何十年も同じようなバンドが同じような曲を同じように演奏しています。日本でいうと演歌みたいなものです。で、まあそういうのが好きな人もいるので、なんとかやっている、と。
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そこにBABYMETALがやってきて、掻き回し、叩き起こし、新しい創造の、のるかそるかの崖っぷちに押しやろうとしているわけです。ご本人たちには決してそのつもりはないでしょうけれど。まあ、そういうジャンルの攪乱者としてのおもしろさがあるというわけです。Kimも“BABYMETALと組んで”それをメタルを叩き起こしてやろうと考えているのだと思います。
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しかしメタルというジャンルがどうこうというのは、実はどうでもいいお話です。大切なのは、BABYMETALがこれほど多くの人たちをひき付けているのはなぜか? ということです。それをお話ししたいと思います。
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芸能ですから、神がかりなお話にもなります。それを承知で、というか、BABYMETALの魅力は、その芸能論といったレベルで語るべきものだと思います。なにを大げさなー、とお思いでしょうが、そうなのです。なにをいっているのだか。
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BABYMETALの魅力は 、簡単にいうと「歓び」だと思います。その「歓び」がどこからくるかと、また簡単にいうと「神秘」です。で、「神秘」はBABYMETAL3人の驚くべきエネルギー、タフネスによってもたらされます。呪術的といえば呪術的。しかも、音楽もダンスもたいへん高度です。
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実にこれまた申しわけのないたとえですけれども、アメリカで大人気だったころのグレート・ムタですね。だいたいここらまでやればグロッギーだろう、もう絶対動けないだろう、というところで思いもよらない反撃を見せて、相手レスラーと観客を翻弄する。おお、いったいアイツは何者だ? あの感じです。あの感じといってもわからないでしょうけど。
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その「神秘」が「歓び」になるのは、やはり可愛い女の子の笑顔だと思います。ここにも、可愛ければ、たとえばアメリカ人の女の子でもいいのか? というなかなかおもしろい疑問はあるのですが、ともかくステージの上に「歓び」があり、もちろん観客席にも「歓び」があります。そして観客同士、互いに「歓び」を共有しているという至福の感覚が生まれています。これは唯一無二のBABYMETALの世界だと思います。
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ですからBABYMETALのコンサートには親に連れられた小さな子どももいますし、十分年季の入ったロックファンもいます。もちろんメタラーもいます。BABYMETALは、DVDででもYouTubeででも、ぜひライブの映像を見ていただきたいと思います。
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BABYMETALの曲の歌詞には、それほど重要な意味はありません。イジメはダメとか私たちはひとつとか、メタ太郎はヒーローだとか。バラードは、ふつうに聞けばふつうのラブソングです。
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しかしここにも特別なものがあって、それはメインでボーカルを担当しているSu-METALです。声量、音域、音程のすべてにおいて、ロックシンガーとしては世界トップクラスのすぅちゃんです。で、それだけではなくて、声の質なのかなにかはよくわからないのですが、とにかく心に響きます。揺らします。
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外国でも日本語で歌うことが多いですから、いってみれば歌詞はほとんどどうでもいいわけで、これも呪術的といえば呪術的です。ここにも「歓び」があります。そんなこんなでBABYMETALは、大のオトナもしっかり取り組みたいメタルなわけです。「歓び」「神秘」「呪術」をキーワードに、いつかもういちど考えたいと思います。
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あとは、これからBABYMETALが世界的ビッグスターの道を驀進していくとして、この呪術的「歓び」の世界がどこまで維持していけるのか、です。すでに“4月攻勢”からこっち、ファンサイトへの投稿にも差別的な発言が現れるなど変化が見られています。どうなることか。音楽のもつ力は、ファンが力を合わせてそれらを一つひとつ乗りこえたあとに、鮮やかに現れてくるのでしょう。
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BABYMETALについてもう少し詳しくお知りになりたい方は、当ブログの3月22日の記事をご覧いただければ、と思います。(了)
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