2016年4月18日月曜日
むかし「梅」といえば梅毒、いまは梅宮アンナ43歳
春です。もう梅の開花は北国まで届いているのでしょうか? そういえば梅毒。性行為感染症の梅毒です。むかしは花柳病ともいっていました。子どもの私はその花柳病を、どういうわけか『聊斎志異』に出てくる病気の名前だと思いこんでいました。『聊斎志異』は恐ろしい話が満載ですし、「花柳病」という字面が、なんとなく古典文学的な感じがしたからでしょう。
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あらかじめお断りしておきます。今日はきっとこんなふうにダラダラしたお話です。
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子どもの私は、花柳病がどんな性質の病気なのか、もちろんわかってはいませんでした。しかしきちんとした治療をしないで放っておくと重症になり、体が腐ってしまう恐ろしい病気だということは、おぼろげながらに知っていました。
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で、その花柳病にかからないようにするためには、チリ紙をまるめてどうにかするのだ、と思い込んでいたのです。たぶん、避妊のためにまるめた和紙を膣奥に入れたという話を曲解していたのでしょう。そもそも「膣の奥に入れる」ということもまったく理解できていなかったはずです。
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あ、いま「子どもの私」といっているのは、たぶん小学校3、4年生のころの話です。あのころは読めもしないオトナ向けの本を家のなかのどこかから探し出してきては飛ばし読みをし、奇態な断片ばかりをアタマのなかにごっそり溜め込んでいたものです。
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そしていま「梅毒」という言葉で、そのころの、恐怖と好奇心が微妙に入り交じった、熱に浮かされたような気分がまざまざと甦ってきたのです。
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「梅毒」は「黴毒」とも書きます。黴菌の、汚らしいものの毒、という意味でしょう。「病」とか「症」とかが病名の最後に付かないのは、なかなか典雅です。典雅? それほどでもないでしょう。TENGA。
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アーマイガッ!! Wikipediaで「黴毒」を調べようとすると「黴毒の画像(706,000件)」という項目が出てきます。どういうわけか「梅毒の画像(564,002件)」よりも数が多く、しかも強烈です。ガッデム!! これらはご覧にならないほうが賢明です。それにしても564,002件、端数の2件に該当しているのはどんな画像なのか、気になるところではあります。
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「梅毒」という名前の由来は、感染後約3週間で感染した部位に出はじめ、3ヵ月ほどで全身に広がる赤い発疹が、「楊梅(ようばい=ヤマモモ)」に似ているところからだそうです。なので最初は「楊梅瘡(ようばいそう)」と呼ばれていました。
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「瘡」はデキモノのことです。つまり「楊梅瘡」、梅毒とはヤマモモの実のようなデキモノのできる病気である、という意味です。名前に「病」とか「症」とかはついていなくても、しっかり「瘡」はついていたのです。なんとはなしに恐ろしい感じです。
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ですから、梅毒と聞いて、たぶん発疹が赤い梅の花を散らしたように見えるからなのだろう、などとロマンチックなことを思っていたら大間違いなのです。ヤマモモの実は丸く暗紅色で無数のプツプツが密生しています。いわゆるモモの、赤ちゃんの頬のようななめらかさとはまったく違うものです。
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ヤマモモは、モモというよりレイシによく似ています。レイシといえば楊貴妃。楊貴妃といえば義父に乗り換えた女です。なんとなーく生臭い風が吹いてきました。ヤマモモもWikipediaに写真が掲載されています。しかしやはり、いまのあなたは見ないほうが賢明でしょう。このヤマモモが体にびっしり生えて……、と想像するに違いないからです。
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ちなみにイギリスでは梅毒のことを「フランス病」と呼び、フランスでは「ナポリ病」と呼び、でもってイタリアでは「スペイン病」と呼んでいたそうです。スペインではどこの国にあてつけていたのかはわかりません。しかしポルトガルでは「カスチリア病(カスチリアはスペイン)」と呼んでいたそうです。スペイン、ワリをくっています。あとロシアでは「ポーランド病」でポーランドでは反対に「ロシア病」でした。
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しかしこれでは、仲間内でいったい誰が最初にこの病気をもち込んだのか? 誰が誰にうつしたのか? と揉めるときの指の差しあいと同じではありませんか。まあ、そんなことで揉める仲間というのもスゴいかもしれませんけれど。
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おお、そういえば思い出してしまいました。むかしむかし、高校生時代、私の知り合いが同級生の女の子から淋病をもらったことがあったのです。真面目でちょっと老成したような考え方をする男でしたけれど、学校帰りに、なかば嬉々として泌尿器科に通っていました。たしか2年生の冬でした。いま思えばなんという高校に通っていたのでしょうか。
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いろいろなことを思い出します。「梅毒」は鼻が腐ってしまうことから「花(鼻)落ち病」とも呼ばれていたといいます。このときの「花」は花柳界への連想という説もあって、典雅なものです。ここでも典雅とはいわないでしょうねえ。どうも言葉づかいが怪しくなっています。
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思い出すのは子どものころ、黒い鼻カバーや、黒い防塵マスク様のもの、またはガーゼを顔面に貼付けて歩く人がいたことです。そうそう、それと、これはきっと幻だろうと思うのですが、繁華街の辻に立って喜捨を乞う白衣姿の、いわゆる傷痍軍人も見たことがあります、と思っています。というわけで、梅毒は私にとって懐かしくも禍々しい昭和のイメージなのです。
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しかし、その昭和の残像のような「梅毒」がここ数年増えているというではありませんか。直近の2014年と2015年を比較すると、なんと約1.6倍にもなっています。1967年から毎年減少していた感染者数が、2010年を境にして、今度はトントン拍子に増加しています。トントン拍子に増加? やはり言葉づかいがおかしい。
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■梅毒感染者報告数(国立感染症研究所 発表)
2015年2660(速報値)
2014年1683
2013年1228
2012年875
2011年827
2010年621
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感染者報告数2660件が多いのか少ないのかは微妙な問題です。そのうちおよそ半数は東京都と大阪府で占められています。で、2660÷2÷45=29.6で、全国の45道府県では、1年間に平均およそ30人の感染者を出していることになります。多いのか少ないのか、微妙です。ムダな計算でした。
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で、2015年の傾向としては、若い女性の感染者が増えていて、とくに20歳~24歳では前年の2.7倍増だそうです。もうひとつ、近年の特徴としては、男性同性間の性的接触による感染の増加傾向が2010年〜2013年に見られていたのだそうです(国立感染症研究所「感染症週報」第44号/2015年10月26日)。
※※感染経路別の集計。男性は異性間性的接触が615例(昨年同時期比1.7倍)、同性間性的接触は487例(1.0倍)である。対して、女性の異性間性的接触は405例(同2.1倍)。(国立感染症研究所「感染症週報」第44号/2015年10月26日)。
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要するに、これまでは男同士の性的接触による感染をベースにしてゆるやかな増加傾向にあった感染者数が、このところ女を巻き込むカタチで急激な増加に転じようとしている、ということでしょう。いま女性感染者は全体のおよそ28%を占めています。
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感染者の増加について、とくに若い女性感染者が増えていることについても、理由はまだ不明なのだそうです。とくにこの2年ほどのあいだに起こっていることなので、理由を特定するのはたしかに難しいと思います。
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見回せば、感染予防に一定効果はあるコンドームが徐々に使われなくなっている傾向はあります。厚生労働省調べによる国内向けのコンドーム生産量は1997年に約858万箱でした。しかし、それが2012年には約457万箱にまで減少しています。
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なんとマイナス47%です。輸入コンドームは全体の1%以下(2004年で0.3%)ですから、舶来品に押された、というわけでもありません。ただ使われなくなったのです。
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ちなみにここでいう1箱は12ダース入りです。つまり1箱には144個入り。4,570,000×144=658,080,000、つまり6億5808万個が国内で生産、消費されていると見られるわけです。うむ。減ったとはいえなんだかスゴい数字です。いったいこれを何人で消費しているのでしょう?
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世界最大のコンドームメーカー、デュレックス社から出ている『セクシャル・ウェルビーイング・サーベイ』の統計(2006年)では、日本人の年間平均セックス回数は48回だそうです。世界26位です。第1位はギリシャの164回です。頑張って経済を立て直しましょう。
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1回のセックスに使うコンドームを、複数個使うヤツ、使わないヤツを延べて平均1個だとすると、658,080,000÷48=13710,000、つまり1371万人です。装着する男がいればお受けするだいたいは女もいるわけですから、×2で2742万人が1年がかりで使ったわけです。ずいぶん乱暴な計算ですし、それでどうというわけでもありませんが。
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で、コンドームがあまり使われなくなっているのは、たぶん1999年に低用量ピルが解禁され→AVの生中出しに拍車がかかり→一般の特攻型(避妊なし)生中出しの隆盛、という流れもあるのでは、と思うのです。
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コンドームが使われなくなったのは低用量ピルのせいかと思ったのですが、調べてみるとまだ定着したとはいい難いので、AVの生中出しをあいだに挟んでみました、というところです。ヒマです。
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これに対して緊急避難型ピル(アフターピル)の使用は増えています。妊娠中絶手術のほうは、ここ20年ほどはほぼ横ばいのようです。それにしても、こんなことでは、ここ2年ほどの梅毒感染者数激増の説明はつきません。実数で数百人単位の変化なので、なにかの些細なきっかけで起こるような気もしますが。
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ちなみに。2014年に報告されたHIV感染者数は1091 件、AIDS患者数は455件であり、両者を合わせた新規報告件数は1546件でした。そしてこれ以降も急激な増加傾向は見られていません。
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これからまた再びあの、鼻カバーやマスクをした人たちがそれほどめずらしくもない時代がやってくるのでしょうか? これまで私は血液型を聞かれると「梅」と答えていたのですが、そのジョークが使えなくなってしまうのでしょうか?
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そうそう、子ども時代からこっち、私にとっての「梅」は、「梅割り」の梅シロップくらいのものでしかなかったのです。それも飲まなくなってもう幾とせ。いま「梅の花」で検索をかけると、和食レストラン&デリカチェーンの各店のホームページばかりが出てきます。梅シロップ「梅の花」はどこへいったのでしょう?
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そう、あのころはただただ泥酔し、酔い潰れるためだけに毎日毎日、酒を飲んでいたのです。別に深い悲しみや悩みがあるわけでもなく、ひたすらグダグダになるまで飲んでいました。あれはいったいなんだったのでしょう? それともいまの私は、なにかとても大切なことを忘れてしまっているのでしょうか。
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おお、そうそう。梅といえば梅宮アンナです。もう43歳ですね。藤原紀香の1歳下。どうしていることやら、と調べてみると、風邪をこじらせて3月1日から2週間ほど入院していた父辰夫(78)が退院したので海釣りに出掛けました、と3月28日付けのBlogで報告していたようです。『デイリースポーツ』(2016年3月28日配信)。
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メンドくさいので直接アンナのBlogにあたってはいませんが「パパ、元気になってよかったです」と書いてあったそうです。病み上がりの辰夫は潮風に耐えられたのでしょうか? それにしても相変わらず父親におんぶに抱っこのアンナです。こんな気分のときだけは、十年一日のごとく、いつまでも変わらないアンナみたいなヤツが重宝です。(了)
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