職業に貴賤はないと教えられて育ってきた。いまもそう確信している。ワタクシのなかではキャビンアテンダント(CA)もアダルトビデオ(AV)女優も同じだ。
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うんうん、CAモノはやっぱり松下紗栄子(28)だよねえ、いまの話、考えてみりゃあ一石二鳥だよねえ、とかなんとかワケのわからないことのついでに、女ならみんなそんなヤラシー目で見てるんだろう、とおっしゃられるみなさま、だから職業として、のお話。職業として確立していらっしゃる方々はみなさまたいへんご立派である。
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もちろん世間に偏見はある。(↓)こんな救いようのない言説、記事が平気で2019年の日本に流通している。まったく暗澹たる気分になる。
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◆『リアルライブ』2019年1月4日配信
【批判を受けても…蒼井そら、みひろ、麻美ゆまら黄金期「セクシー女優」の三者三様の生き方】
《 女優でタレントの蒼井そらが第一子の妊娠をブログで発表した。2002年にグラビア、セクシー女優としてデビューした蒼井は、中国で絶大な人気を誇り、海外映画にも出演。18年のBSジャパン「真夜中ドラマJ 逃亡花」ではドラマ初主演を務めた。2018年1月にはDJ NONとの結婚を発表。同年12月に自身のブログで妊娠中であることを明かした。蒼井が「AV女優が子どもを作るなんて子供がかわいそう。結婚発表をした時、そんな言葉を目にしました。子供が将来【絶対】にいじめにあう。そういう確率は高いと【思う】。絶対とか、考えれば分かるみたいな話ってあなたの価値観だよねって」などと心境を明かし、賛否の声が寄せられていた。
12月12日放送の『バラいろダンディ』(TOKYO MX)では、コメンテーターの女優・遠野なぎこが「子どもは親を選べない。もし自分が若いころにAV女優になろうと思ったら、普通の幸せを手に入れる道をあきらめたと思う。今はネットの時代、子どもが早い時期に親の過去を知る。誰が親のセクシーな姿を見たいですか?」と問いかけた。さらに、遠野は「そもそも妊娠を公表すべきなのか。彼女のエゴではないか」とも話した。
一方、志村けんと浮名を流し、現在はタレントとして活躍するみひろも結婚の際、批判を浴びた人物の一人。テレビ東京のドラマ「アラサーちゃん無修正」、映画「デンサン」などに出演し、女優としても活動している。
15年にスーツアクターの下川真矢と結婚発表した際「よく元AV女優なんかと結婚できるね」「子供ができたら子供が気の毒だね。母親が元AV女優なんて知ったら子供は傷つくよ」と批判の声が上がり、「AV出身者は幸せになってはいけないのか?」と議論になった。その後、みひろはブログを更新。「全部私が決めてきたこと。後悔はしてないです。誰もが思う まっとうな人生ではないかもしれないけど、そんな人生もあったっていいんでは」と吐露した。
また2人と同じ時期に活躍した麻美ゆまは13年2月に「卵巣境界悪性腫瘍」と診断され、両卵巣と子宮を全摘出した。病気とAV女優という職業に因果関係があると誤解され「自業自得」「セックスのやりすぎ」「AV女優だから仕方ない」などと心ない批判を浴びた。
麻美は「同じ病気で苦しんでいる人もいるのに、私が病名を公表したことで変な誤解が生まれてしまったら、その方たちにすごく申し訳ない」と語り、「因果関係はないと、私が伝えていくしかない」と決意。現在は闘病生活を乗り越え、チャリティーライブに出演するなどしている。タレントとしても舞台「志村魂」やフジテレビ「志村けんのバカ殿様」に出演するなど精力的に活動している。
賛否両論あるレジェンド女優の三者三様の生き方。今後も批判に負けず、前向きに進んでいくことだろう。 》
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「三者三様の生き方」と書いているけれども、ワタクシの目には「三者二様」の生き方について書いているように見える。そうだろ? 先に出てくる“一者”は蒼井そら(35)、みひろ(36)の妊娠中または妊娠可能性のある2人、そしてもう一者は癌のためにその機会を失った麻美ゆま(31)だ。
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書きたいことが元アダルトビデオ女優が子どもを産むってどういうこと? だというのは明らかだ。しかし、それをそのまま正面から取り上げれば面倒くさいし、おそらく読者も着いてこない。それで「三者三様の生き方」にフレームアップしたわけだが、そのために引き合いに出してきたのが麻美ゆまとは酷い。人として非道である。
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仮に百歩譲って、ここは逆にとりあえずただ単純に「蒼井そら、みひろ、麻美ゆま」の名前で読者を呼ぼうとしたのだと解釈しても、それが子どもを産むウンヌンの話に収斂していくのはやはり十分に地獄へ直行の資格がある。非道かつ外道である。しかも麻美ゆまは否応なくそこから離れた位置にいるのだ。
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こうしたあまりにも鈍感な感受性、認識とそれにもとづく行動が罷り通っている限り、さまざまな差別は決してなくならない。記事中の遠野なぎこ(39)のコメントがよい見本だ。
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「子どもは親を選べない」というのなら、その子どもを母親がAV女優だという理由で議論に巻き込んではいけない。そもそも子どもを産むことの是非を議論のテーマに上げること自体が大間違いだ。ナチスドイツも信奉した優生思想まであと一歩まで近づいている。
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たとえ遠野なぎこの子どもであっても子どもは子ども、お前の母さん遠野なぎこだろ、で非難されたり虐められたりする筋合いはまったくない。だろ? そうであれば子どものことは静かに見守るのが人としての道理であろう。
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子どもは生まれた瞬間からひとつの独立した人格として扱われなければならないのだ。それが親に対する批判・非難のとばっちりを受けるだけでなく、非難の道具にまでされるのは許し難い。
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みひろについても「『子供ができたら子供が気の毒だね。母親が元AV女優なんて知ったら子供は傷つくよ』と批判の声が上がり、『AV出身者は幸せになってはいけないのか?』と議論になった」とイノセントを装って書いてしまうことがどういう意味をもつのかいま一度よーく考えていただきたい。
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だいたい、「子供ができたら子供が気の毒だね。母親が元AV女優なんて知ったら子供は傷つくよ」から、「AV出身者は幸せになってはいけないのか?」の議論に繋がったというのも雑すぎる。「おまえみたいなバカの子どもに生まれたら子どもが気の毒だね」と一度真顔でいわれてみろ。
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で、思うのだが、そこまで、アダルトビデオ女優という職業を子々孫々にまで祟る疫病みたいに扱いながら、なぜ風俗業あるいは風俗嬢については問題視しないのであろう? 風俗を利用する良識ある方々が大勢いらっしゃるということなんだろうな。
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話は替わるけれども、なぜこの3人がほぼ同時期にデビューし、絶大な人気を博すようになったのか? 偶然ではないようだ。活動期間をまとめてみよう。
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◆ 蒼井そら:2002〜2011年(オリジナル作品の発売はここまで。引退声明は未)
◆ みひろ:2002〜2010年
◆ 麻美ゆま:2005〜2012年(正式発表は2015年)
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ああ、そうか。実はワタクシこの超有名な3人の出演作品は1本も観ていないのだが、それはちょうどワタクシ自身がかなりシッチャカメッチャカな時期だったからだな。シッチャカメッチャカといっても塀の中に落ちたとかいうわけではなくて、ただ単に仕事に失敗しただけではあるけれども。それにしてもいまさら見てみようという気持にまったくならないのはどういうわけだろう?
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もとい。Wikipediaの「アダルトビデオ」の項に「日本の警察は2002年頃から薄消しビデオの摘発に躍起になったことが、販売会社が販売先を海外に移したことが原因ともみられる」というワケのわからない記述がある。まあ前後の文脈から「販売会社が販売先を海外に移したこと“の”原因ともみられる」だろうと察しはつく。性格が悪くてスマンの。
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つまり、ビデ倫(日本ビデオ倫理協会)の審査を通過していないインディーズやセルビデオ、薄消しの全盛という混沌状態から、いちおうの秩序を得て現在のAV業界の大枠がつくられたころに3人はデビューしているのである。流通が整備され、あっと驚く高額ギャラが提示されるようになったのもこのころからではないか。と思う。
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なので、このお三方は現在の姿になったアダルトビデオの第1世代といってもいいのではないか。先頭を切って走ったのだからそれなりの見返りがあって当然であろう。やっかみが多いのもわかるけれども。(了)
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