年末から正月3日間は久しぶりにテレビをよく観た。正月ボッチだし。ひたすらダラダラしたいときにはやはりテレビ最強、かなうものはないと実感する。アタマのなかを果てしなく上滑りしていく景色みたいなもので、ほとんどなにも残らないけれども退屈もしない。しかもこちらはまったく動かなくていい。でもってタダ。これはものすごい発明だと改めて痛感させられる。
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そんななかでこれはテレビの枠内だけのお話なのか日本全体のことなのかはわからないけれども、ずいぶんな劣化ぶりをまざまざと見せつけられた。おかげさまで、ふだん先走り気味に考えていることが一つひとつ現実味を帯びてくるなんともいえない既視感覚も味あわせてもらった。
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どんなふうに劣化しているのかといえば、年末の紅白歌合戦といい年が明けてからの箱根駅伝といい、段取りが極悪同盟(byダンプ松本)で単純なミスが多すぎる。
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紅白歌合戦では歌い手にカメラマンがかぶるシーンが何度もあった。箱根駅伝ではようやく中継地点にたどり着いてタスキを渡そうにも次の走者がセットされていなくてしばらく待たされる始末。スタッフ、運営のみなさん明らかに丸出だめ夫(by森田拳次)くんである。紅白歌合戦の場合はさらに日本芸能の空虚さが加わるのでワタクシ的には一種の惨劇ですらあった。
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そんななかでかつてはちょっとした息抜きにもなっていたCMもさらに一段レベルを落とした。オチをつけているつもりでオチていない、というかオチの態をすらなしていないものがやたら目につく。オチをわかっているのか? そんな難しいことではなくごくふつうに。
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でもって、わかっていなくてもアイデアはなくても、とにかくなんとかオチなければいけないらしく、追い詰められた小学生みたいにやたら変顔を見せたりリキんだりする演出が多い。そしてそんなことのために8割がたの時間を費やし、商品訴求はつけたし程度。アタマのなかの空洞が見えるようだ。広告制作業界を全否定してみせたハズキルーペを揶揄してやろうという気概は超大手スポンサー、ソフトバンクで匂わせる程度にしか見せられないのか。
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以上、日本は激しくB級だ。『悪魔の毒々モンスター』(The Toxic Avenger・1984)とか『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』(Attack of the Killer Tomatoes!・1978)みたいなものだ。しかもそうした先達に較べてB級としての地歩が固まっていない。日本はすみやかにオノレのB級を自覚せねばならぬ。でなければこのまま世界の道化師に堕ちるか。
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とかなんとか大きく出てテレビの前でオヤジ全出しのワタクシが思わず飛び起きたのが、番組スポットでの泉ピン子(71)である。ヨットみたいな小型船上で潮風を受けて震えているシーンなのだが、明らかに顔面に扇風機オバサンが憑依していたのだ。潮風に吹かれた灰色っぽい肉がブルブル震えて、あれは絶対にこの世の物ではない。
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「扇風機オバサン」というのは整形手術の失敗で顔面がムクムクになってしまった韓国のハン・ヘギョンというオバサンで、去年12月15日に亡くなっている。享年57歳。タイミング的にもぴったりで、あまりの恐怖にそのスポットがなんという番組の宣伝なのか目にも耳にも入ってこなかった。
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憑依といえばさらに、ワタクシの仕事部屋にはどうも何者かが潜んでいるらしく、ヘッドホンをしていたり寝落ちしたりしていて外からの呼びかけに応えられないときには勝手に返事をしてくれているらしい。ワタクシの声よりは小さめに「ハイ」と答えるのだそうだ。去年の暮れから正月にかけて違う3人に同じことを指摘された。あ、その通り。ワタクシ、人さまからの呼びかけには必ず「ハイ」と答えるおぼっちゃまなのである。
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で、その何者かはワタクシのヘッドホンにも忍び込んでくることがあって、深夜に大音量で映画などを観ていると急にものすごい近さで「ムフフフ」と笑うのでビックリする。ラップ音もかなり頻繁だ。しかしそれらに恐怖感はない。扇風機オバサンに憑依された泉ピン子のほうがよっぽど怖かった。
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こんなことを書くと、なかにはいつもボッチなのでついに精神が病んできたのか? おまえはB級国民なのか? そもそもそれらの音はすべておまえが無意識裡に出しているのではないのか? と疑われる方がいらっしゃるかもしれない。正しいかもしれない。しかし現実問題として、実際に病みはじめてしまう方々も少なくないらしいのだ。(↓)
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◆『キャリコネニュース』2019年1月2日配信
【「リモートワークやってたら鬱っぽくなった」に共感相次ぐ 「一人暮らしだと病む」「人と会うのも定期的に入れないとまじで死ぬ」】
《 自宅で「リモートワーク」する人が増えている。人と接するのが苦手、通勤が大変といった人にはありがたいシステムだが、良いことばかりではない。はてな匿名ダイアリーに12月下旬、「リモートワークやってたら鬱っぽくなった」と辛さを訴える投稿があった。
現在、ある会社でリモートワーク勤務している投稿者は、初めは"通勤もなく、やり取りはビジネスチャットアプリSlackで完結、ミーティングはオンラインで済む"と喜んでいたのだが、「気づかない間に少しずつ精神が蝕まれていたみたいだ」と、不穏な言葉をつぶやいていた。
どんどん体が重くなり、ついに仕事のチャットも開けなくなってしまった投稿者
投稿者は、「テキストだけ、仕事だけ」のやり取りに、冷たさを感じている。勤務形態が特殊で、上司やマネジメントをする人がおらず、限られた数人の人たちとしか関わらない。相手が見えないため遠慮してしまうし、雑談や愚痴を言うことはおろか、いつしか「相談する相手が誰もいない」と気づいてしまった。
なぜかケアレスミスが増え、時折あるオンラインミーティングでは暗い表情に。不安感に苛まれて「感情コントロールが難しくなってしまった」と嘆く投稿者は、やがて、
「どんどん頭と体が重くなって、ついに Slack を開けなくなった。パソコンを触ることすら怖くなってしまった」
という状況にまで追い込まれてしまった。
これに対してブックマークは700以上つき、注目を集めた。とくに多かったのが、「わかる」と共感する声だ。企業に勤めており週に数回という人もいれば、リモートワーク専門で9年とか、フリーランスで似たような環境だという人も目立った。
「分かる。リモートワークは特に一人暮らしだと精神を蝕みやすいと感じる」 「わかる。私はそれでリモート辞めた(中略)リモートはオフで会うのも定期的に入れないとまじで死ぬ」
フリーランスで1人作業ばかりしていたらおかしくなったので、「人のいる職場を間借りして、治りました」という人も。人間関係が嫌で、望んで1人で仕事をしていたとしても、人間はどこかで利害関係とは別の「つながり」を求めがちになるようだ。「コレがあるから週一は出社させてコミュニケーションすること自体が目的みたいなミーティングを開くような会社もあるね」とのコメントにも納得である。
〜 略 〜 》
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ふうん。いざ一人にされると弱いのね。弱すぎる。というか、単身で自宅労働をすればどんな状況になるのか予め想像できないのだろうか? こんな想像力のなさではB級の坂をさらに下方に向って一直線、C級めざしてゴロゴロするしかない。
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一人にされてすぐに参ってしまうような方々は、もともと他人に自分を映して確認するタイプなのであろう。ワタクシははなから他人の目などあてにしていない。誰にどう思われようがワタクシは自分がよければそれでいいのだ。そんなことより群のなかは窮屈で臭くてタマラン。
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と書いてはみたが、しかし、だがしかし、めでたいはずの正月元旦、そんなワタクシがどうしても人さまの目を気にしなければ生きていけない事態に立ち至ってしまった。前歯が取れたのである。なにもしていないのに。前歯は去年すでに1回折っているのでいろいろな意味で痛い。笑うとバカだし。
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おかげさまでワタクシ、正月早々フェフ姉さん(日本テレビ『月曜から夜ふかし』準レギュラー・奥野愛央衣、25歳?)である。ここで取り立てていうほどの不自由はないけれども、麺類を食べると前歯のない側に自然に頭が傾く。正月早々、地味に不幸と闘うワタクヒである。
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ワタクヒは断じて病んでいるのではない。泉ピン子が扇風機オバサンに見えるのも、ヘッドホンに笑い声が入るのも、自分以外の何者かがノックに代返をしてくれているのも、前歯が1本ないのもなにか神秘的なチカラのせいであってワタクヒの妄想では決してない。
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あー、ここまでの文章はワタクヒが1本欠けた前歯を剥き出しにしながら誠心誠意、一筆入魂、真心を込めて書いたのである。ありがてえ、ありがてえ。2019年、B級日本の闇はさらに深まるだろう。(了)
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