2015年4月12日日曜日

打ちひしがれたときには見回してごらん


人を慰めるのは難しい
人や世の中についてそれほどわかっているわけでもないし
はっきりした立場や意見をもっているわけでもない
それでもなんとか立ち直ってもらいたくて
いろいろと考えあぐねているうちに
自分自身の頼りなさや信念のなさに立ち塞がられる
こんなときのために昔の人は神さまを考え出したのだろうなあなどとと思う

自分自身に自信がもてないから
必死に絞りだした慰めの言葉もどこか白々しく弱々しく
ましてや
人の悲しみや苦しみなど簡単に分かちあえるものでもない
結局は何もいわず遠くから見守るのがいちばんなのだろうと思ったりする

でもなんとかしてその人を助けたいのだ
いまは激しく傷つき心折れそうになっているかもしれないけれど
失ったものは二度と取り戻せないかもしれないけれど.
やがていつかまた笑って前を向けるときがくることを その予感を
つかみ取ってほしいのだ
本当にどうしたらよいのだろう

考えているうちに ふと手がかりらしいものが浮かんだ
あの人の慰めになり 気晴らしになれればそれでいいのだから
感謝をもらうとか 私だからとか そういうことではなくて
私自身はいちばん認められず報われないやり方を探して
そのことに黙々と一生懸命に取り組めばよいのだと

ただ笑顔で挨拶をし 全力で日課をこなし いつも同じように でも少しづづ確実に移り変わる景色のように そこに居続けること
おさまるべきものがおさまるべき場所におさまりまた次に繋がっていく世界の一部になること

そうしてきっと再び立ち上がり歩きはじめるあの人の背中を 見送りたいと思う (了)




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