2015年4月14日火曜日
終りのない帰り道
夢の中に何度も出てくる町がある
南側に小高い山があって緑濃く
その反対の北側は海にほど近い
海にはまだ行ったことはないのだが
そこに海があることはわかっている
山の斜面には等高線を引いたように
何本もの小道が通り
その一本ずつの両側に
また一列ずつの住宅が張り付いている
いったん山の坂道を登ってから
等高線の小道を西へ進むと
目的の場所への近道になる
しかし
どこへ行こうとしているのかはわからない
ただざわざわと胸騒ぎがするので
きっとよくないことが起こっているとだけはわかる
しかしだからそこに早く着いたほうがいいのか
それともあまり早く着かないほうがいいのかはわからない
結局
南側の小高い山の頂上まで出てしまう
誰かに会いに向かっていたのか
誰かを待っていたのか
誰かをやり過ごそうとしていたのか
誰かは誰なのか
それはたぶんあなただろうとは思うのだが
あなたとは約束をしていない
いまどこにいるのかさえ知らない
ただざわざわと胸騒ぎがするので
山の上の平らな草地を歩いて行く
明るい日差しが一面に降り注いで
初老のカップルが歩いているのが見える
ばくぜんとあの二人は
あなたとわたしなのかなと思って
慌てて目を逸らす
これは夢なのだからいつかは覚める
この景色があの世の景色ではないように
そう思いながら歩く
草地を横切ると
ついいましがた切り開かれたばかりのような白い砂利道に出た
少しほっとしてその砂利道を降りていく
しかしいったいどこに出るのかは
やっぱりわかっていない
また胸がざわざわしてきて
もう間に合わないのだと思う
何に間に合わないのかはわからない
ただもう取り返しがつかないことはわかる
そしてどこか知らないその場所にたどり着かないかぎり
取り返しがつかないものが何かもわからない
それはきっとあなたのことなのだ
しかし罪の重さも
その罪を償えるのかもまだわからない (了)
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