ひとつ恐ろしいことを教えてあげよう
人は年齢とともに賢明になると思われているが
それは大きな大きな間違いである
アタマの回転の速さでいえば十代が最高だし
遅くなった回転を知識の量で補うにしても
四十代に入ればそれにも限界がくる
それから先は 経験を生かして
ずるく賢そうに立ち回るだけである
年配者が口が重いのは
豊富な知見をもって熟慮しているからではない
まったく考えていないのである
それでああ とか ううとかいっておけば
周囲が勝手に解釈してくれるのである
私の観察によるかぎり
賢くもならず年齢を重ね大人でいられるのは
六十歳くらいまでである
そこからはまた第二の子ども時代がはじまる
還暦とはよくいったものである
たとえば
私の伯母はとても上品な印象の人であったが
老人施設で隣室になった老婆と
居室を覗いた覗かないで諍いになり
ついには「やるか!」と腕まくりをしたそうである
子どもである
だからこれからこの国は
年を取った子どもばかりの国になるのである
だから若いあなたたちには
いまのうちにのびのびしっかり恋をして
笑ったり泣いたり感動したりしてほしいのである
あなたたちがこの時代の第一人者なのである
年上の人間の目など気にしなくてよい
いまの年寄りたちよりもきみたちのほうがもっとうまくやれる
若いうちにどこまでたどり着けるか
人を恋したときに考えてほしい (了)
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