2015年4月18日土曜日

若者よ きみの時代だ

ひとつ恐ろしいことを教えてあげよう
人は年齢とともに賢明になると思われているが
それは大きな大きな間違いである

アタマの回転の速さでいえば十代が最高だし
遅くなった回転を知識の量で補うにしても
四十代に入ればそれにも限界がくる
それから先は 経験を生かして
ずるく賢そうに立ち回るだけである

年配者が口が重いのは
豊富な知見をもって熟慮しているからではない
まったく考えていないのである
それでああ とか ううとかいっておけば
周囲が勝手に解釈してくれるのである

私の観察によるかぎり
賢くもならず年齢を重ね大人でいられるのは
六十歳くらいまでである
そこからはまた第二の子ども時代がはじまる
還暦とはよくいったものである

たとえば
私の伯母はとても上品な印象の人であったが
老人施設で隣室になった老婆と
居室を覗いた覗かないで諍いになり
ついには「やるか!」と腕まくりをしたそうである
子どもである

だからこれからこの国は
年を取った子どもばかりの国になるのである
だから若いあなたたちには
いまのうちにのびのびしっかり恋をして
笑ったり泣いたり感動したりしてほしいのである

あなたたちがこの時代の第一人者なのである
年上の人間の目など気にしなくてよい
いまの年寄りたちよりもきみたちのほうがもっとうまくやれる
若いうちにどこまでたどり着けるか
人を恋したときに考えてほしい    (了)




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