2015年4月1日水曜日

それでも春は


親しげだった顔が いまは陶器のように固く冷たく
あからさまに時間の無駄だといっている
やさしかった微笑みを 憐れみが歪めている
オレとの約束はひとひらの枯れ葉より軽い

一日を生き延びるたびに大切な想いを失う
まだ使い果たしていないはずのオレの人生のクレジット
なのにどうしても暗証番号を思い出せない そんな気分
誰を責めているつもりもないさ オレも裏切ったし

ほら歌っている
 冷たい雨は きっと雪になるだろう
 なにもかもが悪くなるばかりだ
 これが落ち目ってやつなんだろうな

思い出す子どもの顔は いつも笑っている
思い出すあなたの顔は いつも泣いている
人生を見失っていたんだ
思い出に光を求めれば それだけ闇が深まるばかり

もし父さんだったら こんなとき
どんなふうに切り抜けただろうと いまは思うよ
本当に愚かなことだけど もう一度聞かせてくれれば
よく飲み込めそうな気がするんだ

ほら歌っている
 冷たい雨はきっと雪になる
 なにもかもが悪くなるばかりだ
 これが落ち目ってやつなんだろうな

小鳥たちは飛び立っていく
陽の当たる空を飛びたいから
ここにこうして立っているだけで精いっぱいで
とてもあなたの所までは辿り着けそうにないな

ほら歌っている
 冷たい雨が降っている きっと雪になる
 なにもかもが駄目になるばかりだ
 これが落ち目ってやつなんだろうな




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