2017年3月26日日曜日

奇妙な振り付けのコマーシャルが多い理由について



赤城乳業のCMが気持悪い。「なぜか上だけおっさんガール」というらしいハゲちゃびんオヤジの頭をもつ夏服を着たスレンダー娘がオネオネと踊り続けるのである。



新しいカップアイスブランド「Sof'(ソフ)」の立ち上げ第1弾なのだそうだ。「Sof'」はソフトクリームの上の部分だけを商品化したものだからそんな名前なのだそうだ。オヤジの頭を食えってのか!?



しかしまあ、筋は通っている。「soft cream」の上の部分だけをとって商品化というコンセプトに忠実に、まずブランドネームが「Sof'」、キャラクターの頭部が「祖父」、なのである。それでデキがどうかは別にして、最近のネーミングやCMにしては理屈に縛られた感があって懐かしく、少し微笑ましい。こんなものでも。



「Sof'」は「ソフ バニラ」「ソフ チョコレート」の2種類、各希望小売価格130円(税別)で発売中。でもスカな感じが漂うので私は食べない。カップのなかにソフトクリームのうえだけだよ。要介護の祖父、あるいは変態ジジイの置き土産を連想してわしゃたまらん。



みなさん意識に上らなくてもこのイメージは必ずあるので、「Sof'」のこのCMは大失敗である。成功するわけがない。セイコーマートを探せばたしか120円(税別)くらいでストアブランドのソフトクリームの全身が買える。しかも牛乳っぽくけっこうてウマい。



失敗は、まず第一にこういってしまっては元も子もないけれども〈ソフ=祖父〉以外の展開を思いつかなかったこと。そしてオネオネ踊ってしまったところである。踊りにはとくにこれといった意味が付与されているわけでもない。不健康で貧弱な女の体のおかげでただただ変態的なイメージが高まる。



もっとグラマラスなヤツがダイナミックに踊ればずいぶん違った印象になっていたかもしれない。あとジジイの頭が有名タレントであれば少し救われたであろう。つまりCM制作の段階で実にたいへん安直に踊りに流れてしまったのである。



そうなのである。最近、安直に踊りに流れるCMがあまりにも多いのである。踊りといっても本格的なダンスではなく、象のジョーロのラッキー池田(57)や南流石(58)の“あて振り”系の踊りである。もうパッと見から安直。



ウンコもといウコンの力の星野源(36)もイオンのきゃりーぱみゅぱみゅ(24)もいい部屋ネットの桜井日奈子(19)もALSOKのメダリストもユニクロの新垣結衣(28)も、みんなみんな意味なく踊っている。意味があって踊っているのは大汗かくための渡辺直美(「ビオレ薬用デオドラントZ」・29)くらいのものだ。



そういえばウコンの成分クルクミンには薬効がないということがわかったけれども、こうした場合、星野源からハウスウェルネスフーズにペナルティは要求できないものなのであろうか? そんなこと考えるだけムダばい。



で、みんながみんな奇をてらった振り付けなので、結局のところどれもこれもみな同じ感じになってしまう。実際に注意して見ているとほんとうにパクリが多いことに気がつくはずだ。振り付けには著作権というものがないのでやりたい放題である。こういうユルさも重宝されている理由だろう。ゆるキャラにも通じるところがある。トボけておけばなんとかなるという。



なんでこんなことになってしまったのか、といえば、なんとかして商品を差別化したいという情熱が企業からも制作側からもすっかり消え去ってしまっているからだ。そしてとにかくなにもかもが億劫なのである。みんなでこの商品を売って前に進むなんて考えはもうバカバカしくなっている。前ってどっち? なのである。才能の問題ももちろんある。気の利いたヤツは広告の世界には行かない。



そんなわけでもとりあえず15秒なら15秒を埋めなければいけないので、とりあえずみんなで楽しそうに踊ればいいんでないかい? どうだい? にぎやかしの発想である。



しかしまあ、どうしてもなんらかの意味を見い出したい性分の私である。踊りをノンバーバル(非言語)コミュニケーションとして考えれば、案外そこに暗号的な意味が隠されていたのかもしれない、とか。ないか。



メラビアンの法則というものがあって、感情や態度についてある人から矛盾したメッセージが発せられたときの受けとめ方について、「人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合」(Wikipedia)だという。



つまりある女があなたに「素敵!!」と「鼻につく!!」という2通りの評価を下したとして、あなたはなにを根拠に女の真意を計るか、ということである。先の数値をわかりやすく整理すると以下のようになる。



◆視覚情報 (Visual) – 見た目・身だしなみ・しぐさ・表情・視線 … 55%


◆聴覚情報 (Vocal) – 声の質(高低)・速さ・大きさ・テンポ … 38%


◆言語情報 (Verbal) – 話す言葉そのものの意味 … 7%



話す言葉は全体の7%でしかない。しかしこの前に「矛盾したメッセージ」を発しているわけだから、それでも話す言葉・言語情報を重視するのはよっぽどのお人好しであろう。



たびたび私をもち出して恐縮。私などは日常生活においては事務的な連絡以外、ほとんどはなから言語情報など信じていない。人間はウソをつくものだとどういうわけか叩き込まれている。であるからその言葉の表面的な(公的な)意味よりも、なぜいまこの人がここにいてこんなことを喋っているのだろう、という私的な意味のほうに注意が向く。



会議などではまったく使いものにならない。というか会議そのものがバカバカしく思えている。会議なんてただ承認の手続きだったり責任所在の隠匿のためだったりするものがほとんどだ。そういえば「月曜会議」という名前の会議を毎週明けの朝に開いている会社があって、ここにはなんと議題がないのである!!



発言者のほうを凝視しているからといって熱心に会議に参加していると誤解されるのもほんとうに心苦しいので、できるだけ出席するのを避けている。しかしこうしたところで培ったノンバーバルな“読み”が、その人のすべては顔面に現れるとする「全顔主義」の創成には役立っている。



で、そういう場面に出くわしたことがないので定かではないのだが、CMクライアントへのプレゼンに、ノンバーバルなコミュニケーションを結びつつキャッチフレーズをリズミックにリピートして、とかなんとか語っているようすが目に浮かぶ。



でもなあ、どいつもこいつもバカみたいに踊っているのを見ると、ついにそのときがきたと感じて薄ら寒いのである。そのときとは人間の終りである。人間はやっぱりきっとこんなふうにして滅んでいくのである。(了)


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