89歳といえば1930年、戦前の生まれだ。終戦時15歳。飢えと不安に震えていた。たぶん。しかしあと少し戦争が長引けば確実に命が危なかったのだ。それを僥倖と受け止め、平和な世の中に恩返しをするべく敗戦国日本の復興を担って懸命に働き続けてきた。
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朝鮮戦争の特需などもあり、日本はめざましい勢いで復興していった。戦前生まれの男もほどなく妻を娶り、家庭をもち、子どもたちが生まれた。その子どもたちもまた企業戦士としてがむしゃらに働いた。「エコノミック・アニマル」は強く逞しい猛獣のイメージだった。
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自分の生きてきた道に迷いはなかったし間違ってなどいないと信じていた。しかし、いつのころからかそんな自分と社会、突き詰めれば自分が再興に携わってきたはずの日本のあいだに隙間を感じるようになった。
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日本人はただひたすらオノレの欲を追求するのに狂奔し、そのためには皆でつくった決まりごとまで勝手に捻じ曲げ、醜い諍いに明け暮れている。こんなはずではなかった。私はいま1度、日本のために立ち上がらなければならない。あの日、あの暑い夏の日の15歳の自分の戦争だ。
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と、いうわけで看板を蹴っ飛ばして歩いたりしてこんなことになったのかなあ。↓
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◆『J-CASTテレビウォッチ』2019年6月11日配信
【歩道へのミリ単位の看板はみ出しにクレーム 「正論ジイサン」の暴走に商店街が崩壊寸前】
《 「要するにここは天下の歩道なの。あそこに旗が立っている。椅子が置いてある」
89歳男性が三重県松坂市で突然始めた「歩道クリーンアップキャンペーン」に地元商店街が悲鳴をあげている。男性は4か月にわたりほぼ毎日商店街を回り、歩道に置いてある看板を蹴飛ばし、店内をにらみつける。
ミリ単位のはみ出しにクレームを出すだけではなく、看板を壊す、のぼりを切る、商品を投げるなどの目に余る乱暴も。みかねた通行人やお店の客が注意をしても男性は「私は法律に基づいている。一片のスキもない」と聞く耳を持たない。
商店街の空気が暗くなり、休業に追い込まれた商店も
クレームを受け、各商店は看板やのぼりを敷地内に収めるようになった。しかし、男性は毎日やってきてはミリ単位で指摘を続ける。男性出現以降、街の雰囲気は激変。商店街の売り上げが目に見えて下がり、休業に追い込まれたところもある。クレームの矛先は商店だけではなく観光協会にも向かい、観光客向けの記念撮影看板は歩道から建物内へと移された。
行動のきっかけは、男性宅近くの質屋の看板が点字ブロックをふさいでいたことだという。警察に通報したが、「やる」と口で言っただけで全く対応がなされなかったことから、男性の「暴走」が始まった。
地元商店街の人は「(看板を)法的にちゃんと出せるようになって、街を活性化できたらケンカしなくても済むのかなと思う」と対応に苦慮している。
実は、商店街、自治体、道路管理者が一体となり地域活性化を目的に道路を使用するという事例はある。東京の新宿3丁目モア4番街では、歩道部分にオープンカフェや広告塔が設置され、にぎわいが演出されている。松坂市は「これまでこうした特例を検討したことはないが、地元とまとまれば進めていきたい」としている。
青木理(ジャーナリスト)「点字ブロックに物が置いてあったというのはよくないが、こんなに完璧に守っていったら世の中が回らなくなる。あの取り締まりの仕方は営業妨害。正義感が暴走している」
菅野朋子(弁護士)「道路交通法では一律禁止しているわけではない。ただ、許可申請がなかなかおりないのが現状。許可を取って、ちゃんとやっていくという方法もある」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「他人事ではないです。危ないです。私もこのまま独身で80歳くらいになり、社会から求められなくなったらこうなってしまう可能性がある。この人は社会に貢献しているつもりでだんだんエスカレートしていったと思います。商店街が警察と話し合って、正論をちゃんと守った条例を作ればこの人は何も言えなくなる。車椅子が大変なんですよ。車椅子が通れるよう、松坂市の商店街が一体となって対応すればいいと思います」
司会の羽鳥慎一「玉川さんが言うと重みがあります」》
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羽鳥慎一、はじめて笑わせてくれた。よくやった。
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それにしても「休業に追い込まれた商店も」とは尋常ではない。まさか歩道の上に店を広げていたわけでもあるまい。貴様らルールを守れ!! と恫喝して歩いただけで休業に追い込むなどかつての地回りヤクザ顔負けの迫力ではないか。
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それともこの質屋の近くに住む89歳は流行に乗って前頭葉を縮めてしまっただけなのであろうか? いやいや、分断社会の中で、バックボーンは違えどこうした“異分子”がこれからも続々と登場してきそうな予感がする。そしてどんなヨボヨボのジジババでも1票をもっているのだ。ナメたらあかん。
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「点字ブロックに物が置いてあったというのはよくないが、こんなに完璧に守っていったら世の中が回らなくなる。あの取り締まりの仕方は営業妨害。正義感が暴走している」という青木理の発言がさもさも“戦後”っぽい。
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ルールはあるけれどもそれは実情にあわせて適当に援用すればよい、といういきあたりばったりのやり方が正体のない鵺のような日本をつくりあげてしまったのではないのか? 「世の中を回す」のが最優先なのか?
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バカ者め。世の中の前に決まりごとがあるのだ。お上がつくった決まりごとにのっとり、最後の1人まで命を賭し、血の一滴たりともムダにせず、お国のために刻苦勉励、奮闘するのが我々国民の務めではないか。なにをバカなことをいうておる。それでほんとうに命を落としたとしてもそれは男子の本懐、本望でござろう。
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そして2019年の私は、とりあえず税金はきちんと払おうと心に誓うのであった。(了)
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