2016年6月16日木曜日

不気味な「カエル男」は実在する!! 人にまぎれて生きている



ハリウッドザコシショウ(本名:中澤滋紀、42)にたいへんよく似た男の物語です。顔ばかりではなくて体つきまでそっくりで、ついたあだ名は「カエル」。ご本人と違っているところはといえば、目がやや小さく、肌の色が灼いたわけでもないのに北京ダック色をしているところくらいです。あ、ヒゲもはやしていませんでした。



目が小さく下ぶくれでエラが張り、鼻も小さく低く、額の狭い顔つき。ていねいにたとえると、男はカエルよりもむしろオタマジャクシによく似ています。しかし眼鏡をかけているせいもあってか、印象としてはやはりカエルです。なんというか、生粋のカエル族であることを感じさせます。身長は165cmくらい、とうぜんガニ股です。



年齢はたしか55歳。バツイチ、婚約を破棄されたことイチ、そしてただいま妻あり子どもなし。大学を卒業後ある情報サービス会社の嘱託営業マンになり、その後は短期間でしたが地方のディベロッパーの営業担当を経て、30代の半ばから外食チェーンの広報室に勤務してきました。



えーと、このカエル男、少々自虐的なところがあるのか、カエルなどの餌用にペットショップで売っているイモムシ、「ミルワーム」を食べたことがある、とカムアウトしたことがありました。フライパンで炒めて。クルミのような濃厚な味だそうです。



うーむ。もしも私が生まれてこのかた一貫してカエル男の姿形だったとしたら、と考えてみると、なにかの弾みについ錯乱、という成り行きもわからないではない感じもします。また、ひどい睡眠時無呼吸症候群に悩まされているそうですから、睡眠不足で正常な判断力が失われていた可能性もあります。



でも、「ミルワーム」は買ってきてそのままではなくて、いったん自家製の餌で飼い直してから食べる、なんてこともいってたんですよねー。アイツ、ほんとうにカエルなのかもしれない、とときどき考えてしまうのです。



なぜカエル男のことを書いておこうと思ったのかといいますと、性格や行動が『阿Q正伝』(魯迅、1921)の主人公、阿Qととてもよく似ているからです。外見はカエルで内面はバカで女好きでウソつきな阿Qなんて、もう生きている価値もないようなものです。まったく、たいへん申しわけのないことを申し上げております。



しかしそんなカエル男を観察していますと、いまの日本という国の姿によく似ている気がしてきたのです。阿Qが当時の無知蒙昧な中国民衆のカリカチュアといわれるのと同じように、カエル男のことを書けば、いまの日本を笑いながら記録できるのではないかと思ったわけです。



阿Qは小説のなかに巧みに造形された架空の人物であり、こちらのカエル男は現実に存在している生身の人間です。そしてここに書くカエル男の話も、すべて現実に起こったことです。およそ100年のときと中国から日本までの距離を隔てて、魯迅の想像が現実になったわけです。



カエル男の話は、ほんとうであれば、書く意図からいっても、過去から現在まで、時系列通りにたどってまとめるのが、いちばんだとは思います。しかしたいへん恐縮ですが、いまはその根気も体力もないので、とりあえずメモ代わり、思いつくままにランダムに書いていきます。申しわけありません。



カエル男はウソつきで、しかも小心者です。本名は「真」ですが、みんな陰では「ウソ」と呼びます。地方のディベロッパーから外食チェーンの広報室に転職をしたときも、実際はまったく経験がなかったにもかかわらず、広報での仕事実績をテキトーにデッチあげたのだそうです。それまで営業職の外回りだったので、どうしても内勤に替わりたかったらしいという話です。



その甲斐あってかカエル男、ある大手企業の内定をもらうことに成功したのです。しかしその途端、急に怖じ気づいて辞退。当時零細だった外食チェーンに入社しています。ウソまでついたのに。



ウソつきでしかも小心ということでは、こんなこともありました。情報サービス会社の嘱託営業マン時代にクライアントのところで打ち合わせ中、なにかの弾みで客と口論になり「おまえの顔はカエルの顔だ!!」と面と向かって罵倒されたというのです。



カエル男は急いで社に戻り、上司に「あのままいると相手を殴ってしまいそうだったので、席を蹴って帰ってきてしまいました」と報告し、担当替えを申し出たそうです。で、翌日さっそく替わりの営業マンがクライアントを訪ねると、先方も「クチが過ぎた」と反省しきりのあと、「でも土下座している恰好もほんとうにカエルそっくりだった」と笑っていたのだそうです。



先方もそうとうイヤなヤツではありますけれども、なあんだ、カエル男、きちんと謝罪していたのです。土下座までして。ああ、そういえば、自転車に乗った中国人と接触事故を起こしたという話もありました。



自分で運転をしていたときに、突然横から2人乗りの自転車が現れて、クルマの側面に接触して転倒。ひとりが腕を折るケガをしてしまったのだそうです。カエル男、驚き慌ててクルマから降りていくと、2人は中国人の男で、なにやら大声で抗議してきたそうです。



これは本人から聞いたことですが、カエル男はとにかく「2人乗りをしていたそちらが悪い」と主張し、中国人2人組は「脇道との角に差しかかっても速度を落とさなかったそちらが悪い」と主張してきたのだそうです。なぜ事故が起こったのかを考えれば、とうぜんカエル男のほうが悪いですね。ゲロゲロ。



しかし「譲歩するとどこまでつけ込まれるかわからない」と脅えたカエル男は一歩も譲らず。相手からの電話はすべて録音しつつ、「そちらが悪い」の一点張りでした。



で、すったもんだの1ヵ月あまり。もちろんこの間、腕を折った中国人は仕事ができなかったわけです。で、業を煮やした中国人はついに“あなたといつまでも話をしてもラチがあかないから、この件はもういい。水に流す。しかし悪いのはあなたのほうなのだから、それは認めて、その証拠に1円だけ欲しい”といってきたそうです。



カエル男、あろうことか1円玉を1個、渡しましたね。ゲロゲーロ。しかも領収書まで書かせていました。人としての誇りはどこにある? 日本の恥!! これをきっかけにして、私はカエル男と徐々に疎遠になりました。



カエル男と中国人といえば、カエル男の友人が住んでいるアパートの1階の隣に中国人の家族が住んでいて、その家族の自転車を友人のものだと思い込んで乗って帰ってきてしまったという事件もありました。



友人から“それはオレの自転車ではなく隣の中国人のものだ”と聞かされたカエル男は、すぐさまその自転車を公園に捨てにいったそうです。証拠隠滅です。ほとほとダメなヤツです。



カエル男は女が大好きです。大好きなので異様にマメです。腐れ縁のセフレみたいな女がありつつ、数軒のデリヘルになじみがあって、なおかつ「昨日、女をナンパしたら、終わってから『あんたタダですまそうと思ってるんじゃないだろうね』とスゴまれた」という時代もありました。ああ、これでは女にマメというのではなくて、ただの助平、絶倫ということでしょうか。ゲロゲーロ。



それでもカエル男、情報サービス会社の嘱託営業マン時代に、その支店に数十名在籍していた女性社員のなかでもナンバーワンと誉れの高い美人と結婚しています。やはりマメだったのでしょう。で、カエル男はそれを機に情報サービス会社を辞めて地方のデベロッパーに転職したわけです。



ところが2人で楽しい新婚生活の目論見が、あえなくきっちり1年で壊れてしまいます。離婚してしまったのです。実はナンバーワン美人は以前からあるジジイとの不倫問題を抱えていて、それを振り切るための結婚だったのだそうです。いわば駆け込み寺婚。



カエル男、さぞかし落胆しているのだろうと思って、地方から帰ってきたところで話を聞いてみると意外でした。「いや、まあ、カッコわるいんだけど、それでアイツの人生の役に立てたとしたらそれでいいんだ」とかなんとか。二枚目気取りでゲンナリ。阿Qのいう「精神勝利法」を活用したのでしょう。



ちなみにその後、そなんだかんだで探りを入れたところ、どうやら入籍してからは1度もセックスをさせてもらっていなかったようです。これでは絶倫エロカエル、カエロとしては1年が限界だったのでしょう。なんだかんだいいながら話を聞きにすり寄っていく私もイヤなヤツではあります。ゲーロゲロ。



カエル男はウソつきで小心、しかもケチで卑怯で助平。なのに自分自身では、ある程度カッコがついていて、オトコ気もあると思いこんでいます。たぶん生粋のカエル族を思わせる姿形も、自分のなかではそれなりに男前として折り合いがついているのでしょう。



そんなカエル男に悲劇の前兆が訪れたのは20年ほど前のことです。ナンバーワン美人の嫁に逃げられ、いまの勤務先、外食チェーンに移ってきてからですね。この当時は、もっぱら情報サービス会社時代からの腐れ縁のセフレで欲求を満たしていました。



で、ある日、“子どもができたから認知してほしい”と、お決まりのセリフです。しかし、セフレがいうには“あなたの子どもではないけれども、向うの男にはどうしても認知できないワケがある。しかし、あなたも知っている通り、医者からはあのとき、もうこれが最後で次の堕胎はできない、といわれている。なんとか生ませてほしい”だったのです。



つまり、ほかの男との子どもだけれども、こんな体になったのはあなたにも責任がある、だからカタチだけでいいから認知してほしい、というわけです。このくだりは以前にも書いたことがあります。



で、カエル男はまたまたおとこ気を発揮して、なんとこのセフレからの申し出を了承したというわけです。ただし「一切の慰謝料、養育費の請求はしない」という一筆を書かせてのことですから、おとこ気全開!! というわけにはいきません。



そしてそれから約2年後、カエル男は12歳も年下の会社の後輩と結婚することになりました。女に対するマメさと助平さのたまものです。その娘もかなりかわいいと評判で、カエル男有頂天でした。ゲッコゲコゲコ。



しかし、だがしかーし。結婚式の2週間前、相手方に戸籍謄本を見せたところ、いままで話にも出てこなかった子どもの記載が…。とうぜん、相手のご両親は大激怒、娘号泣で、カエル男ピピーンチ!!



しかもしかーも。ひょんなことから子どもの養育費については、母親が権利を放棄する旨の一筆を書いたとしても、それは子どもの権利なのでなんの意味もない、ということに気付かされたのです。またしてもピピーンチ!! カエルの泣きっ面に小便とハチ。



ああ、すみません。もう時間がなくなってしまいました。たいへん申しわけありませんが続きはまた明日です。ウソつきで小心、しかもケチで卑怯で助平な日本のカエル男の運命やいかに!!



あ、最後に重大情報を。カエル男には双子の兄がいます。しかも恐ろしいことに一卵性です。私は会ったことも見たこともありませんが、この世にカエル男とそっくりな男がもう一人、存在しているわけです。お気をつけください。



私はこの一卵性双生児という厳粛な事実を思い出すたび、“神さまのいたずら”という言葉を思い出します。そして、なにか深遠な神学的テーマをほのめかすホラーを見ている気分になります。それから、“美は人工である。なぜなら醜さは自然そのものだからだ”という誰かの言葉もアタマから離れません。



繰り返しますが、カエル男は実在しています。私ではありません。(了)


なんでもいいから。どうせ買うなら。↓↓ここからお願い!! 
右側のカラム分もよろしく!! ホントに売れないんだようー!! 



 

HP Directplus -HP公式オンラインストア- オーネット

DHCオンラインショップ 
ソニーストア デル株式会社

 

 



ソニーストア

オーネット

デル株式会社




0 件のコメント:

コメントを投稿