2017年7月15日土曜日

タランティーノはマンソン事件を総括できるのだろうか?



あまりの暑さに「ジョンソン・ホームズ」を「ジョン・ホームズ」と読んだ。エコハウスはエロハウスである。エコ活動はエロ活動。いつまで善良な市民で保っていられるか自信がもてなくなってきた。



ジョン・ホームズ(John Holmes・享年43)は「古今を通じて最も有名なポルノスターの1人である」(Wikipedia)。伝説のデカさの持ち主で、ビデオで拝見したことがあるけれども、確かにデカかった。



しかし実際どれくらいデカかったかは不明で、これもWikipediaによれば10インチ(25.4cm)から15インチ(約38cm)まで諸説ある。スーパー・マリオみたいな顔をしたおそらくNo.1有名男優ロン・ジェレミー(Ron Jeremy・64)は9.75インチ(約25)とされているから、それよりはジョン・ホームズのほうが確実にデカい。暑苦しいのう。



エイズで亡くなった翌年、1989年に『Rolling Stone』誌に掲載されたジョン・ホームズのドキュメントは力作でおもしろかった。ジョン・ホームズがデカさを武器に世の中をわたっていくようすも描かれていて、そこはさしずめアメリカ版『好色一代男』の趣であった。



たとえば上流の金持ちババアが娘を連れてきて大金を払うから処女を卒業させてやってくれと頼むあたりは深く、深〜く考えさせられたのである。一見ひどく病んでいるように見えるけれども、見方を変えればたぶんそれが最も合理的だと考えたのであろうことも察しがつく。一発で男を仕留めるにはこれだ!! と。そしてそのように考えるババアがどうやってつくられたかも。



おお、女優でトム・クルーズの元妻、ケイテイ・ホームズ(38)はこのジョン・ホームズの親戚なのだそうである(Wikipedia)。伝説のデカさはさらに伝説を生む。デカいアタマはただ日陰を生む。



そんなこんなで過ぎし日に思いを馳せていたところに、なんとクエンティン・タランティーノがチャールズ・マンソンに題材を取った映画を撮るかも、というニュースが入ってきたのである。



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【クエンティン・タランティーノ、凶悪犯罪者チャールズ・マンソンの映画製作?】


《 これまで多くのバイオレンス映画を手がけてきた、人気監督のクエンティン・タランティーノ。
 
 そんな彼にうってつけのストーリーをタランティーノが製作するようです!



クエンティン・タランティーノが、凶悪犯罪者として知られるチャールズ・マンソンを題材にした映画作品を製作するようです。 
 


タランティーノ監督は、ブラッド・ピットやジェニファー・ローレンスらに出演を打診していると報じられており、1969年8月にマンソンが作り上げたカルト集団「マンソン・ファミリー」のメンバーによって、ロマン・ポランスキーの妻で当時妊娠中だった女優シャロン・テートが殺害された事件を同作で描きます。
 


関係者らが「ザ・ハリウッド・レポーター」に語ったところによると、ジェニファーはシャロン役で話を進めているわけではないとのことです。

 

同作品の脚本はタランティーノ監督がすでに書き上げており、これまでタランティーノ映画にプロデューサー陣として携わっていたハーヴェイ&ボブ・ワインスタインも参加するようです。


現在、資金提供先や配給元を探しているという同作品は、2018年夏頃から撮影を予定しているようです。


シャロンは殺害された当時、8カ月の妊婦でした。カルト集団のリーダーであったマンソンは、自身が以前取り合ってもらえなかった音楽プロデューサーの所有する家に集団のメンバー5人を送り込み、シャロンを含む5人を銃とナイフで殺害させたのでした。


現在82歳のマンソンは1971年に、他のメンバーらとともに別の事件にも関与。同じ時期に起こしていた殺人の罪で、終身刑を言い渡されています。
 

 
もし、この新作の製作が行われることになれば、タランティーノ監督にとって初めての実話をもとにした作品となります。


そんなタランティーノ監督は最近、「あと2本を製作した後には映画界から引退する」と宣言しています。》

 (※「MEN’S+/BANG SHOWBIZ」2017年7月14日配信)


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いやいやちょっと待て。シャロン・テート殺害事件、あるいはこの事件の翌日に他殺体で発見された夫婦の名前と合わせてテート・ラビアンカ事件と呼ばれる出来事に到るお話は、「そんな彼にうってつけのストーリーをタランティーノが製作するようです!
」と暢気に煽れるようなシロモノではないはずである。



たとえば妊娠8ヵ月のシャロン・テートが16ヵ所もメッタ刺しにされていたという陰惨さを知らないのであろうか? しかも夫であったロマン・ポランスキー(Roman Polanski・83)はまだ存命である。チャールズ・マンソン(Charles Milles Manson・82)も。



ロマン・ポランスキーは『戦場のピアニスト』(2002年・not「船上のピアニスト」)でアカデミー賞監督賞を受賞するなどして健在である。しかも諸事情によって1978に出国して以来ほぼもう40年間もアメリカに帰っていなかったものが、ようやく法的に解決のメドが立ってきた矢先という時期である。



諸事情というのは、どうも淫行のクセがあるらしく、それに関するいくつかの罪で収監されるのを怖れて国外に逃亡したのである。



こんな事件をどうやってエンタテインメントに仕上げるのか、それはたいへん難しい。おそらくは、60年代後半のアメリカ西海岸におけるヒッピー文化の終焉のほうにウエイトを置いて描くのではないか、と思う。



記事中に「自身が以前取り合ってもらえなかった音楽プロデューサーの所有する家」とある音楽プロデューサーはテリー・メルチャー(Terry Melcher・享年62)である。テリー・メルチャーは後にビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)のメンバーになるブルース・ジョンストン(Bruce Arthur Johnston・75)と共同で多数のサーフィンミュージックを制作したり、ザ・バーズ(The Byrds)の「Mr. Tambourine Man」をプロデュースしたりと、ウエストコーストサウンドの立役者の1人に数えられている。



ちなみにビーチ・ボーイズのメンバーであったデニス・ウィルソン(Dennis Carl Wilson・享年39)はチャールズ・マンソンの信奉者で、彼がテリー・メルチャーとチャールズ・マンソンを引き合わせたのらしい。おお、そうそう。そんなテリー・メルチャーはあのドリス・デイの一人息子である。



かようにガッチリ西海岸の若者文化に根を下ろしていたチャールズ・マンソンとファミリーの暴走は、カルトの誕生とヒッピー文化の終焉を示す象徴的な出来事だったのである。



これらの経緯は『ファミリー』(エド・サンダース著、草思社)に詳しくまとめられている。草思社文庫にもなっておる。で、『ファミリー』の最終部はスナッフフィルム(Snuff film:実際の殺人を撮影した映像作品)の存在を示唆したあと、たしか“冷たくなって路上に転がるのに値するような本はない”というようなフレーズで締めくくられていたと思う。なんらかの圧力のために追跡を途中で断念したということである。



クエンティン・タランティーノ(Quentin Jerome Tarantino・54)、やれんのか? である。(了)






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