他人のしあわせ、慶事にいいかがりをつけるとはなにごとか、だと自分でも思うけれども書いてしまう。阿川佐和子(63)の結婚は思いのほか不快であった。こんなゲンナリした気分になるのははじめてくらいのものである。佐々木希と渡部建? あれは不快というのではない、まったくの不条理である。考えようとしてもアタマが揺れて受け付けない。
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なにが不快なのか? ホントは阿川佐和子に惚れていたのか? いやいやそんなことはない。『サワコの朝』(毎日放送・TBS)だってゲスト次第で月に1回見るか見ないかの感じだし、『週刊文春』の連載対談「この人に会いたい」も目に入れば読む程度で探してまでは読まない。
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阿川佐和子といえばピーター・パンというくらいのもので、いつまでもトシをとらず少年のような、というイメージが覆されたからであろうか? どうしてピーターパンが出てくるのか? しかし私は現在の天地真理(65)を見ても不快感は抱かない。ああ、それをいうなら舞台の初代ピーター・パン榊原郁恵(58)というべきか。
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なぜ不快なのか? とりあえず第1報を見てみよう。『サンケイスポーツ』(2017年5月17日配信)からである。
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【阿川佐和子、一般男性と結婚 「苗字を変えるのは、面倒なものなのですね」】
《エッセイストの阿川佐和子(63)が17日、一般男性(69)と9日に結婚したと所属事務所を通じて発表した。お相手については「バツイチです。もはや定年退職した隠居の年齢ではありますが、幸いにして、まだ細々と教育関係の仕事を続けております」とジョークを交えて紹介した。
阿川はこれまで“結婚できない女”を自虐ネタにしてきたが、母親に結婚を報告すると、「え? サワコが結婚するの? 誰と? どうして?」と驚かれたという。
お相手を家族に紹介するために小さな食事会を開いたが、挙式の予定はないという。「苗字を変えるのは、面倒なものなのですね。この歳になるまで知らなかったです」と苦笑いだった。
今後については、「互いの健康に気遣いつつ、足腰が丈夫なうちにできるだけたくさん好きなゴルフをし、おいしいものを『おいしいね』と言い合い、くだらないことに笑い合って、ときどき言い争いつつ、穏やかに老後を過ごしていければ幸いかと存じます」とコメントした。》
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キャーッ!! もうわかった。あまりににあからさまである。あからさますぎて瞬時にアタマに血が上った方もあたま、おっと間違いた(by荒木経惟)あまたいらっしゃるに違いない。
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「苗字を変えるのは、面倒なものなのですね」
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なにをいうてくれておるのか。そんなに面倒なら入籍しなければいいではないか。で今回、私のほうは法律上の、いってみればたかだか紙切れ一枚の婚姻手続きにたいへんなナマナマしさ、いや生臭さを感じて不快になっているのである。
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この生臭さは、阿川佐和子のいかにも屈託なげで聡明、明朗・公明正大な飲み屋の請求書みたいなキャラクターによってひき立てられている。しかも阿川佐和子、抜け目がないくらいに回りに目が行き届いている。
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「互いの健康に気遣いつつ、足腰が丈夫なうちにできるだけたくさん好きなゴルフをし、おいしいものを『おいしいね』と言い合い、くだらないことに笑い合って、ときどき言い争いつつ、穏やかに老後を過ごしていければ幸いかと存じます」
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まずは2人の関係をほのぼのと紹介する。好々爺という言葉を思い出す。いいわねー、静かで和やかで。しかしこの言葉「好々爺」の、女に対する同じ表現はないのである。「好々婆」はなぜないのか? それはたぶん「好々爺は」女にしたたかにまつりあげられた存在だからである、と私はいま疑っている。性格が悪いので。
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そして結婚の発表は自分が連載をもつ『週刊文春』誌上に8ページの「独占手記」である。日ごろお世話になっている文春さんに感謝を込めて、というわけである。ソツがない。
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ここで取り上げた『サンケイスポーツ』の記事も、おそらくデジタル版でひと足早く出された「独占手記」からの抜粋で成り立っている。そのことをはっきりとことわっていないから、実際にどうやっていつ取材したものかさっぱり見当がつかない不思議な浮遊感に満ちている。「と苦笑いだった。」って、誰が見たの?
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それにしても所属事務所に問い合わせて『週刊文春』の記事を送りつけられたその他マスコミ各社もいいツラの皮といえばツラの皮。しかしまあ阿川佐和子として『週刊文春』に筋を通そうとすればこうするしかないのであろう。どんなに屈託なげで聡明、明朗・公明正大であっても、いやそうであればあるほどこうして陰の部分は生まれるのである。
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はい、そうである。陰の部分といえばこの場合、旦那の前妻の存在である。旦那がいつ前妻と離婚したのかは具体的には明らかではないけれども、阿川佐和子とのツーショット写真が最初に週刊誌で報じられた2014年11月にはまだ婚姻関係は継続していて、別の写真週刊誌が離婚を知って動いたのは昨年11月であるらしい。
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つまり現旦那と前妻との婚姻関係が解消されたのは2014年11月から2016年11月のあいだ、ということになる。阿川佐和子は28歳のときに現旦那に出会っているそうだから、それは63−28=35年前である。意地が悪いのう。
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そうすると、かねてから一部で報じられていた現旦那は「30年来の友人の元夫」という表現とは微妙に食い違ってくる。現旦那とは35年前に知り合い、その前妻とは30年前から友達付き合いをしている、というのが正しいのではないのか?
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いったいこれはどうなっておるのか? ということで女性週刊誌がその前妻に突撃したらしい。5年間のタイムラグなど佐川阿智子おっと間違いた(by荒木経惟)阿川泰子また間違いた、阿川佐和子の側からはなんとでもいいわけができるけれども、前妻ご本人はどうおっしゃるのか? 『東スポWeb』(2017年5月18日配信)からの抜粋である。
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【阿川佐和子さん「熟年婚」“略奪愛”疑惑に元妻は…】
《作家でエッセイストの阿川佐和子さん(63)が9日に結婚したことを17日、明らかにした。“熟年婚”の相手は、慶応大元教授のS氏(69)。3年前に週刊誌に報じられていた「30年来の友人の元夫」(関係者)とゴールインした。
所属事務所を通じ「くだらないことに笑い合って、ときどき言い争いつつ、穏やかに老後を過ごしていければ幸い」とのコメントを発表した阿川さん。自身の対談企画を連載する「週刊文春」18日発売号で、結婚を読者に報告した。28歳の時の出会いや結婚までの経緯、2015年8月に亡くなった父親で作家の阿川弘之さん(享年94)に交際を報告した際のエピソードなどを8ページにわたり、つづっている。
阿川さんは初婚だが、S氏は離婚歴がある。最初にツーショット写真が週刊誌で報じられたのは14年11月だった。
「当時S氏は妻帯者だったんですが、阿川さんは『純愛ですから』と親密な関係を否定していた。そもそもはS氏の奥さんが30年来の友人で、最初に会ったのは28歳の時。昨年11月には、S氏の離婚を知った写真週刊誌が『阿川佐和子63歳! ついに結婚を明言』と報じていたんです」と出版関係者。
友人からの“略奪愛”か?と怪しむ声もあったが「Sさんの元奥さんは女性週刊誌の取材に『私にとってはもう終わっている話ですから、お幸せでいいと思います』と話したほどだから、再婚でトラブルに発展することはないでしょう」(同)とか。
“結婚できない女”など自虐ネタで知られた阿川さんだが「互いの健康に気遣いつつ、足腰が丈夫なうちにできるだけたくさん好きなゴルフをし、おいしいものを『おいしいね』と言い合いたい」と今後の新婚生活をコメント。挙式や披露宴の予定はないという。》
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いささかおさらいになってしまって恐縮である。それにしても「私にとってはもう終わっている話ですから、お幸せでいいと思います。」とはなかなか凄みを感じさせる発言である。
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「終わっている話」は、つまり、「終わっていなかった時期がございました。あちらさまはもちろんまだ終わっていないどころかこれからのようですからお幸せでなにより!! 」と私の駄耳には聞こえるのである。
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だがしかし、当事者3人のあいだでトラブルになっていなければ世にいう略奪でもなんでもいいのである。そんなことでは不快にならない。不快になったのは、そう、なぜか結婚、入籍をしてしまったことに、である。
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ふつうに考えればこの2人にとっては、結婚はせず従来通りの関係を続けていくのがいちばんスムーズで面倒くさくないはずである。事実婚状態でも。むしろそのほうが風通しがいい。阿川佐和子だって十分に独りで生きていける財力はあるし、現旦那にしてもそうであろう。周囲に波紋を広げず静かに穏やかに生きていきたいと願うならば、なぜその道を選ばなかったのであろう?
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ここが私にはたいへんナマナマしくて不快だったのである。阿川佐和子が『週刊文春』に発表した8ページの手記全文は読んでいないけれども、あえて“熟年婚”だかを選んだ理由はわかるような気がするのである。
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「苗字を変えるのは、面倒なものなのですね」
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世間の一部に盛大な悲鳴を上げさせたはずのこのセリフである。つまり阿川佐和子、「妻」もっといえば「正妻」になりたかったのだ、と勘繰ってしまうのである。35年間か30年間か、おそらくいずれにしろそれくらい長いあいだ阿川佐和子は我慢してきたのである。辛抱か。
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とはいえ、いまの阿川佐和子の立ち位置では、そんな結婚願望があったとは口が裂けてもいえない。結婚願望は“結婚できない女”として冗談として扱われる分にはかまわないけれども、自立して着々とキャリアを積み重ねてきた阿川佐和子がともかく入籍、なにがなんでも「正妻の座」を願うなどというイメージでとらえられては人気に傷がつく。
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かといって純愛物語にするにはまだ時間が若すぎる。純愛物語の側面もたしかにあるのだろうけれども。
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母親に結婚を報告すると、「え? サワコが結婚するの? 誰と? どうして?」というくだりがあった。この「誰と?」の部分はアリバイづくりだと根性曲がりの私は思う。そしてこの記述があったおかげで、邪推するところの結婚の理由から「母親との軋轢」を除き、それは「正妻」願望に違いない、と決めつけたのである。
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いや、いいのである。結婚したかったら結婚すればいいし、結婚したくても結婚できないなら、結婚できるまで待つしかない。かもしれない。かもしれないけれども、あの阿川佐和子にして、と考えるとやっぱりナマナマしすぎるのである。屈託なげで聡明、明朗・公明正大な阿川佐和子が、ソツのない阿川佐和子が、と思うと困惑してしまう。「おんな」の3文字、「女の道」の3文字がアタマの回りで演歌調に明滅する。
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30年間だか35年間だかに溜まりに溜まった膨大な阿川佐和子のナマナマしさに私は息がつまりそうなのである。長く長〜く温め続けられた結婚願望は、乙女が抱くそれとは異質ななにかに変質してしまっているはずである。人さまのことをアレコレいえる立場ではないけれども、しかもおめでたいお話であるのに、このまま口を閉ざし続けることに重大な身体上の危機を感じるのである。(了)
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