2017年5月25日木曜日

この老木・日本は切り倒さなければ新しい世代に更新しないのか



「長野産ぶなしめじ・小」99円(税別)を眺めてつくづく思うことには、日本は年寄りの国だということである。まあ貧乏くさい話で恐縮である。



「長野産ぶなしめじ・小」はたぶん1株づつ栽培されてそのままトレイにパッケージされ出荷されている。全体は中央が盛り上がって小さなドーム型である。その薄灰色の小さな丸い頭が窮屈に密生した姿を眺めながら、このまま食べずに置いておいたらそろそろいたんでしまうなあ、と考えたときに日本を連想したのである。だいぶいたみかけている日本を。



日本は年寄りの国。少子高齢化とか超高齢社会とかさんざ耳にしてきてそれはもちろんわかっていたのであるけれども、ひとつの個体群、カタマリとして老いぼれていると実感したのははじめてであった。軽い衝撃であった。



“超高齢社会・日本”はジジババだけの話で、実際に私はまだまだ老人にはほど遠い年齢だし、他人事のように感じていたのである。ところがぎっちょんどっこらしょ。“老い”は老いぼれた個体だけではなくて群れ全体に影響を及ぼす。あたりまえか。



みんな1つの群れカタマリとして老いぼれている。生まれたばかりの赤ん坊から老人まで含めて年寄りの国なのだ。そう考えると途端にゾワゾワしてくる。そしてそう考えるとイヤーなことにいろいろツジツマが合ってくるのだ。



たとえば小説や映画や音楽がちっともおもしろくないのも、産業に本質的なイノベーションが起こらないのも日本が老いぼれているからなのだ。うむ。老いぼれた日本は静かに自省し再出発を期せばいいものを、老いぼれの自覚をもたず現役のつもりでいることでさらに事態を悪化させている。



最近の邦画界における学園ものラブストーリーのまるで気がふれたような粗製濫造ぶりを見よ。あれも老いぼれ社会による若者マーケティングの結果だと考えれば深〜く納得がいく。老いぼれはぜんぜんわかってねーんだ、過去の成功体験にしがみつくのに精いっぱい、という感じに日本というカタマリがなっている。



いやいやおっしゃりたいことは十分わかる。生きていくには飯を食わなければならない。であるからペイするなら、金が回るならそれをつなぎにしてやっていくしかない。



しかしいくらやっていっても所詮は同じことの繰り返し。先細りの悪あがきから脱却できない。創造力が枯れている。1980年代からこっち脚光を浴びたモノにしろ人物にしろ、ほとんどそんな二番煎じの感じがする。



これと同じことをいたるところでやってしまっているのがいまの日本なのだろう。で、それをまた唯々諾々として若い世代が受け容れている。金を握っているのはジジババだし。これをひとつの群れ、カタマリとしてみれば、私たちはたぶん内田祐也(77)くらいのところまできている。たいへんである。シェゲな。



テレビを見ればホリエモンのあと、バラエティ、情報、報道、みーんな椅子に座ってグチュグチュ話をしているだけである。これも年寄り日本だからである。最近ではお笑い芸人までもが椅子に座ってなにごとかグチュグチュしたり顔で喋っている。まるで横町の隠居。口先だけ。けれどもそれが仕事として成り立つのが老いぼれの群れカタマリ・日本なのである。アクチュアルな刺激よりも二次三次のヌルーい茶飲み話。



そういえば昨夜、知り合いのところにいたら突然「ホリエモンが逮捕された〜!! ギャハハハ」と歓声が上がったので指差すテレビを見ると、札幌で宝石店強盗が若い警官に追いかけられ逮捕された一部始終が報道されていたのであった。



テレビ朝日系で繰り返し流されていたのでご覧になった方も多いであろう。あの後ろ姿、走り方、まるで堀江貴文その人であった。警官に押し倒され確保されながら「アイ・キャント・スピーク・ジャパニーズ……」と必死にトボケたところもよく似ていた。シェゲな。



でもってホリエモンもどき、赤信号の交差点を全速ダッシュで突っ切ったのだけれどもこれが異様なほど遅い!! 小太り中年だからまだ走れる年ごろだと思うのだけれども、すでに老いぼれて体がいうことをきかないのである。足がもつれたのであろう警官に押し倒される前にはしっかりと抱きついていたのであった。警官は男の娘・大島薫(27)ではない。シェゲな。



で、子どものころから「年寄りくさい」といわれつづけてきた私が「長野産ぶなしめじ・小」99円(税別)をジットリ眺めて考えるわけである。この老いたカタマリを更新するにはどうすればよいのか、と。大きめのヤツを1本2本間引いてもどうにもならない。自然界ではどうしているのであろう?



樹木の場合はなんらかの理由で折れたり倒れたりした場合、残った株からまた新しい芽が次々に生まれて成長してくる。老木になって斃れた場合にもそうなる。そこで世代が更新されるのである。しかしきのこはそれに似た話を聞いたことがない。いつもの通り胞子を飛ばして別の場所で繁殖し続ければいいじゃんというわけだろう。



そうか。であるならば老いぼれ日本もシャープや東芝だけではなくてソニーも日立も三菱も松下もぜーんぶ一度ダメになってバッタリ斃れればいいのかもしれない。そして胞子をせっせと外国に飛ばす。ピース・綾部祐二(39)みたいなヤツがどんどん出てくればいいのである。笑ってはいけない。とにかく外に出る。シェゲな。



ああ、そういえば「King Gizzard & The Lizard Wizard」というオーストラリアのバンドをYouTubeで見ていたら、開演前に流していたのは70年代アタマ、内田祐也に率いられてカナダに渡った「Flower Travellin' Band」の『SATORI Pt.2』であった。シェゲな!!



うむ。考えているうち日本における超高齢社会の衝撃というのはたいへん大きなものなのだとつくづく思ったのである。いままでの日本という1株がごっそりダメになってしまうわけである。であるからなんとかして社会に新しい生命力を産み出さなければならない。超高齢社会の到来は、今度こそホントにホントにホントに第2の黒船なわけだわよ。



子どものころから年寄りくさいといわれ続けてきた私も、ヒマをかこって「長野産ぶなしめじ・小」99円(税別)をジットリ眺めている場合でもないのである。なんとか行動を開始せねば。(了)



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