2018年6月5日火曜日

「万引き家族」は「骨太家族」だから心して観よう!!



ワタクシ、「万引き家族」でカンヌ映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督(55)については信用できるヤツだと前々から思っていました。完全に後だしジャンケンです。しかも“前々から”といっても2015年1月からです。



2015年1月のその日、是枝裕和はゲストコメンテーターとして日曜朝のニュースショーに出演していました。そこでは後藤健二(享年47)、湯川遥菜(享年42)両氏が「イスラム国」に拘束・殺害された事件が取り扱われていて、当時の岸田文雄外務大臣(60)が“とても人間のやることではない、断じて許せない”とまったく救いようのない紋切り型のコメントを発表するようすが紹介されていました。



そのVTRのあと、意見を求められた是枝裕和は穏やかな口調で“怒りはわかるけれども、そのように単純に切り捨てるだけではなにも生まれない”という主旨の発言をしていました。“とても人間のやることではない”という無意味で危険でさえある発言にアングリしていたワタクシはそのひとことで落ち着きを取り戻したのであります。



あ、そうだ。「イスラム国」による“処刑”発表の約2週間前、2015年1月7日にフランス国内でも風刺週刊紙を発行している「シャルリー・エブド」本社銃撃テロ事件が起きていました。ちょうど1月17日〜21日にかけて中東訪問を予定していたわれらが安倍晋三首相(63)のそのときの反応は【安倍は『イスラム国テロ』に『俺はツイてる』とほくそ笑んだ】との強烈なタイトルで後に『週刊ポスト』(2015年2月6日発売号)が報告しています。その本文の一部抜粋。↓





《 安倍晋三首相は、1月17日~21日にかけて中東歴訪を行なったが、出発前の1月7日にフランスで週刊紙銃撃テロ事件が起きると、外務省内から今回の首相の中東訪問は「タイミングが悪い」という声が上がった。

ところが、安倍首相の反応は逆だった。官邸関係者がこんな重大証言をした。

「総理は『フランスのテロ事件でイスラム国がクローズアップされている時に、ちょうど中東に行けるのだからオレはツイている』とうれしそうに語っていた。『世界が安倍を頼りにしているということじゃないか』ともいっていた」

周囲はその言葉を聞いてさすがに異様に感じたという。関係者が続ける。

「総理は総額25億ドル(約3000億円)の中東支援についても、『日本にとってはたいしたカネではないが、中東諸国にはたいへんな金額だ。今回の訪問はどの国でもありがたがられるだろう』と自信満々で、常人の感覚とは違うなと感じた」

テロは対岸の火事で、自国民の人質には一顧だにしないのが「積極平和外交」の実態だったのか。

そして現地で情勢は一転する。1月20日に日本人2人の殺害予告ビデオ公開を受けてイスラエルで記者会見に臨んだ安倍首相の顔からはすっかり自信が消えていた。

会見ではプロンプターの文字を必死に追って話すのが精一杯で、外国メディア記者からの「日本の過去の身代金支払いが原因ではないか」という質問には一言も答えなかった。

安倍首相は「テロとの戦い」をことさら強調し、フランスのテロ事件を「ツイている」と喜びながら、米国のケリー国務長官をはじめ、英、独の首相はじめ40か国以上の首脳が集まった追悼式典(1月13日)には無視を決め込んだ。日程的余裕があったにもかかわらず、山梨の別荘で休暇を過ごしながら祖父と父の墓参りで「衆院選勝利」を報告し、式典に駐仏大使を出席させただけだった。

フランスで起きたテロは外交パフォーマンスに都合のいい対岸の火事と捉え、まさか日本が標的になるという洞察も備えもなかったことがわかる。》





そうなんだよなー。お調子者すぎるんだよなー。最近では5月26日、モスクワ市内で行われたアリーナ・ザギトワへの秋田犬贈呈式にまで夫婦でノコノコ顔を出したみたいだし。ちょうど首脳会談でモスクワにいたのはわかるけれどもあまりに厚かましすぎやしませんか。



そんな軽薄だから米・中・朝・韓国に置いてきぼりを食らうわけです。だってただのお調子者のアメリカの犬と話をしても仕方ないですからね。秋田犬マサルほど可愛いければ話は別ですけれども。



つい最近もドナルド・トランプ(71)の「“最大限の圧力”という言葉はもう使いたくない」という発言にめずらしく反発して小野寺五典防衛大臣(58)にアジア安全保障会議で“圧力は継続しなければならない”、と語らせた(6月2日)と思ったらその舌の根も乾かないうちに“関係各国と歩調を合わせて”にトーンダウン。尻尾まきまき。これでは残念ながら拉致被害者の解決も絶望的です。



そのうえさらにさらーに、トランプには“北朝鮮への経済支援は韓中日がするはず”、みたいなことまでいわれてます。犬だからです。



そんなこんなをとりあえずおさらいしたうえでコレをご覧ください。↓





◆『日刊ゲンダイDIGITAL』2018年6月3日配信
【フランス紙が指摘…安倍首相が是枝監督受賞をスルーの理由】

《 平昌五輪で2大会連続金メダルを獲得した男子フィギュアの羽生結弦選手(23)への国民栄誉賞授与が、1日発表された。毎度のことだが、安倍政権の人気取りなのはミエミエだ。

直近でも、将棋の羽生善治竜王と囲碁の井山裕太七冠の国民栄誉賞の授賞式は、裁量労働のデタラメデータが発覚して安倍政権の支持率が下落した2月に行われている。

ところが、カンヌ国際映画祭の最高賞「パルムドール」を日本作品で21年ぶりに受賞した是枝裕和監督に対して、なぜか安倍政権はダンマリを決め込んでいる。

いったい、なぜなのか――。フランスの有力紙「フィガロ」が鋭く指摘している。

<日本政府にとってパルムドール受賞はきまりが悪い>という見出しの記事はこう続ける。

<是枝監督の受賞について、海外での受賞にいつも賛辞を贈る日本の首相は沈黙のままだ>

さらに、是枝受賞に沈黙することを<「万引き家族」は、政府への強烈な批評が評価され受賞した。是枝監督は日本の政治文化に対して強く批判をしてきた>と分析しているのだ。

実際、是枝監督は、安倍政権に批判的な立場をとってきた。安倍政権の放送法の曲解には「安倍政権は放送法4条だけを言い立てて、『公平にやれ』と、しきりにテレビ局を恫喝しますが、それって実は放送法を正しく理解していない証拠なんですよ」(「プレイボーイ」15年12月14日号)とバッサリ。

「安保関連法案に反対するアピール」や「翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」にも名を連ねた。…

安倍首相にとって、是枝監督はウザイやつ、なのだ。昨秋のICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞した時も安倍首相はダンマリだった。政治評論家の山口朝雄氏が言う。

「安倍首相は、日本人が達成した偉業にも好き嫌いを持ちこんでいる。日本のメディアは問題にしませんでしたが、フィガロ紙からすれば異様に見えたのでしょうね。器の小さいリーダーであることを世界に示してしまいました。もっとも、是枝監督は別に、安倍首相の対応など全く気にしていないと思いますが」

安倍首相は、答弁だけでなく、やることすべてが見苦しい。》






うむ。安倍晋三のことはもうこのくらいにしておきましょう。映画について語りましょう。



最初「万引き家族」というタイトルを聞いたときに、あ、是枝裕和やったな、と思いましたね。しばらく福山雅治(クチビルで演技する49歳)なんかとじゃれていた印象が強かったですけれどついに勝負に出たな、と。これももう完全に後だしですけど。



「万引き家族」で連想するものは2つ。ひとつは山田洋次(86)の「家族は辛いよ」(松竹)シリーズ。ただいま最新作「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」が公開中です。グッドタイミングというのでしょうか。この、もうまるで平和な家族ドラマに是枝裕和は結果的に、ですけれども弓を引いたわけです。なんだかんだいっても巨匠ですから、それなりの覚悟は必要でしょう。



もうひとつは渥美清主演の「白昼堂々」(野村芳太郎・1968松竹)と植木等主演「喜劇 泥棒大家族 天下を盗る」(坪島孝・1972東宝)。というか、これら2作品のモデルになったお話です。住民のほとんどが泥棒や万引きの出稼ぎで生計を立てていた“泥棒村”、あるいは“泥棒部落”と呼ばれた集落がかつて九州に実在していたのです。



「万引き家族」は10年間も温めてたきた作品だといいますから、是枝裕和がこれらについて知らなかったはずはありません。国のエネルギー政策の転換に置いていかれた“泥棒部落”の貧困、そして現代の“格差社会”最底辺の貧困を照らし合わせて見たのだろう、そういう感じがします。



“泥棒部落”については『実録泥棒大家族』(加藤延之著・徳間書店1972年)が、探せば古本で手に入るかもしれません。あと、写真家・土門拳(享年80)の傑作『筑豊の子どもたち』が、直接の関係はないものの当時のようすを理解するのに役立つでしょう。『実録泥棒大家族』、ワタクシももっていたはずなのに見つかりません。今日の仕事ができました。



「万引き家族」には年金不正受給のエピソードがあります。“泥棒部落”の時代には障害給付金や生活保護費を得るために自分の指を切り落とす人、それも給付金額が多い親指を切り落とす人がおおぜいいた“指切り部落”もありました。これはいまでは都市伝説のように語られていますけれども実際にあったことです。



約半世紀の時を隔ててなにが変わり、なにが変っていないのか。直接的に映画には描かれていなくても、この映画はそういう視点を喚起するものではあると思います。なにしろ公開が今週8日からなのでまだ観ていないのですよ。



ですからおそらく「万引き家族」は多くのみなさまが予想している情緒的な作品ではないでしょう。また安藤サクラ(32)その他の“圧倒的演技”だけの映画でもありません。たぶん。みなさま、ご鑑賞にはそろりと覚悟してまいりましょう。(了)

 




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