2019年2月4日月曜日

恋に悩むあの方に、はっきり忠告できるヤツはおらんのか?



由緒ある名家のご令嬢、仮にA子さんとしておきます。器量は正直なところ十人並みと評するのが精いっぱいですけれども、政財界の重鎮もただただ平伏するのみという家柄のおかげで鳴り物入りで芸能界に入り、さりとてガツガツ仕事をするわけもなく、おっとりとお姫さま役みたいなものをこなしておりました。



そんなA子さんもお年頃になり、彼氏ができます。お相手は大学の同級生で、いささか複雑な事情を抱えた母1人子1人の家庭で育った青年です。しかしA子さんのご両親は相手の育ちや家柄にはこだわらず、2人がよければそれでよいというお考えでしたので、お付き合いをはじめて数年後、結婚を前提に交際をしているという発表をするに到りました。



なにしろ「超」の字がつく名家のお嬢様ですし映画館のスクリーンなどでも見慣れたお顔ですから、マスコミは一斉に取り上げました。テレビでは発表会見の実況生中継にはじまり連日ワイドショーで大々的にフィーチャー、週刊誌は特別増刊号まで発行される騒ぎです。それはそれは国中が一気にひと足早い祝賀ムードに包まれたようでした。



しかし、だがしかし、それからほどなく状況は一転します。彼氏の母親が以前お付き合いをしていた男性から多少の金を借りて焦げ付かせている、との報道がなされたからです。



男性はたびたび週刊誌のインタビューなどに答えて彼氏の母親の不実をなじります。それに対して母親は無視を決め込み、息子である彼氏もそれにならってなにごともなかったようにA子さんの家を訪れるなどしておりました。



そうこうするうち、彼氏とその母親についてよからぬ噂が駆け巡りはじめます。もっぱら人のフトコロをあてにして生きてきた、とか、そのくせ異常に気ぐらいが高い、とか、A子さんと付き合っているのはA子さんの実家の財産目当てに違いない、とか、そもそも彼氏はA子さんを狙って同じ大学に進学したのだ、とか。とかとか。



はじめは好感を持って迎えてくれた世間も、細かな事情が知れ渡るに連れ、露骨に嫌悪感を示しはじめます。そこへもってきて、彼氏は突然一人で外国留学に旅立ち、問題発覚から1年以上を経てようやく明らかにした借金問題に関する弁明がたったの書面1枚で「あのお金は借りたものではなくいただいたものだと思っている」という、まさに木で鼻をくくったような内容でしたので、国民は憤るまでになったのです。もちろんA子さんのご両親もたいへん不快に感じていらっしゃるようでした。



そういう誰からも怪訝な目で見られる縁談話ならば解消してしまえばいいのですけれども、大きな問題があります。A子さんがどうしても彼氏との結婚を諦めるとはいわないのです。彼氏とその母親は逆に是が非でも結婚したい、させたい、と世間の批判にもたじろいだようすさえ見せません。世間は神経を逆撫でされている気分になり、A子さんがどうしてまたこんな男に惚れてしまったのか、と歯ぎしりするような気持で見詰めています。



そんなところへ、どこからか白髪のお婆さんがやってきてこう呟きました。
「まるで『王様の耳はロバの耳』みたいな話じゃないか。誰もほんとうのことをいわない。いってしまえばそれはそれでみんなだいぶラクになるのに」
それを聞いた公園の草が
「ほんとうのことってどんなこと?」
と聞きました。
「あの彼氏がA子っていうお嬢さまのはじめての男だった、ってことさ。はじめての恋愛ではじめての男。だからのぼせあがっちまってまわりのことがぜんぜん目に入らないのさ」
公園の草はいっせいにザワザワして
「そんなことをいったら叱られますよ」
とお婆さんをたしなめる口調で言いました。
「誰に? ワタシは間違ったことや悪いことをいっているつもりはさらさらないけどね。オトナになるまでに一度は通る道だから、みんなだってわかっているはずさ」
「でも人を好きになることは悪いことじゃないでしょ」
「バカなことをいっちゃいけない。相手によりけりじゃないか、そんなこと。ただでさえ男なんて最初のうちはやさしい猫なで声を出しておいて、何年も経たないうちにすぐ威張り散らしたりするもんさ。そういう男の典型だよアレは。それにあの女、あの母親、あんなのが姑じゃもうお先真っ暗。ワタシなら申しわけないけどどんな美男子でもごめんこうむるわ」
公園の草はお婆さんの強い言葉の調子に押されてみんなうなだれてしまいました。そしてしばらくの沈黙のあと、おずおずと口を開きました。
「じゃあお婆さんはどうすればいいと思うんですか?」
「誰かがそのA子っていう子にはっきりいってやることだね。のぼせるのもいい加減にしろ、ってね。男として全然ダメじゃないか。ワタシはいろいろ女の子たちの色恋沙汰を見てきたからよーくわかる。あんたは結局しあわせになれないよ、ってね」
「そんなこと……」
「だから『王様の耳はロバの耳』みたいだっていってるんだよ。日本のオトナはいつからそんなにへなちょこになっちまったんだろうね、まったく。みんなものわかりのいいフリばっかりして。自分から憎まれ役を買って出るような骨のある人間はいないのかね」
「もしA子さんがその忠告を聞いて別れたとしても、きっといつまでも“もしあのとき彼と結婚できていたら……”なんて考えるでしょう」
「でもこれから十年、二十年、彼氏のなりゆきを見ていけば、あのときのあの忠告がなければきっといまごろ……、と感謝されるんだよ。だから年季の入ったオトナのいうことは聞いときなさいっていうんだよ。なんのために何十年もメシ喰って生きてきてんだよ」
公園の草は押し黙り、風が吹いて白髪のお婆さんはどこかへ去っていきました。
「あのお婆さんは誰だったんだろう……」
しばらくしてから草は呟きましたが誰も正体を知る者はいませんでした。



まあ、ここまであれこれまわりくどく気をつかわなければいけないお話なのでしょうか、これは。ワタクシよくわかりません。(了)



 † 移籍先事務所「グレープカンパニー」での高橋英樹(74)・真麻(37)の取り分比率なんと8割

 †† 石原慎太郎(86)が過去を懐かしみやたら障子を破るので息子の良純(57)が例のクスリを家宅捜索

 ††† 日本のIQ平均値は105.4、アメリカのヨーロッパ系白人は99.7。だからどうというわけではない





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