最近めっきり丸くなったのか諦めたのか疲れたのか、テレビを観て怒りを覚えるなどということはめっきり少なくなりました。まるで通奏低音のように嫌悪感はずーっとありますけれど。誰が出てきてなにを語ってもあらあら世の中そんなもんなんですねー、人間なんてそんなもんなんですねー、と上から目線でエラそーに冷笑しております。
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そして善きこととはもはや人さま世間さまに求めるものではなく、自ら行うもの、としたり顔で看做して、さらにステージは一段階アップしたような気分になるのであります。
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ところが御年82歳にしてビービーピーピー、テレビにイチャモンをつけている方がいらっしゃいます。従来こんな酒場での悪口めいた議論は若者の特権でしたけれども、最近では翁媼までが、しかも公衆の面前でやるようになったということでしょう。で、これからもますますそういう年寄りが増えていくのでしょうね。
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その御年82歳のイチャモンがこれです。
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◆『NEWSポストセブン』2018年8月27日配信
【『マスコミ偽善者列伝』著者が分析する宮根、テリー、一茂】
《 今日もテレビを点ければ、“視聴者の代表”たるコメンテーターたちが、政治から芸能ニュースまで訳知り顔で意見を述べている。
しかし、よくよく聞いてみると、誰でも言えるような耳触りの良いコメントばかり。自分のことは棚に上げて、他人のスキャンダルに正論を吐く者も絶えない。薄型テレビをますます薄っぺらくする「偽善コメンテーター」の問題は大きい。
「私は暇な老人ですから、日がなテレビに向かってるわけ。ところが、コメンテーターがまぁ酷い。『許してはいけない犯罪です』とか『今後社会全体で考えていかなければならない』とか、毒にも薬にもならん優等生的な話ばかりしている。
一番許せんのは、“偽善”に満ちた言葉が多いこと。戦争は絶対にダメだ、格差社会是正、性差別反対と、正論を並べ立てるが、話している人間はその問題の当事者でもなく、傍観者にすぎず、真剣に向き合っていない。安物の正義感ほど迷惑な偽善はない。もうこれ以上は我慢できんと思って、こんな本を出したんです」
そう話すのは、大阪大学名誉教授・加地伸行氏。加地氏の近著『マスコミ偽善者列伝』(飛鳥新社刊)は発売早々3万部のベストセラーとなっている。
〜 略 〜 》
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いえ、お言葉ですが、コメンテーターの発言はすでに「偽善」ですらないのです。彼、彼女たちは自分たちはくーだらない、つーまらない、薄っぺらーいことは百も承知で語っておられます。「善」ぶっているわけではなくて、どううまく偽善者的コメント、似非正論的コメントをひねりだすかというゲームに参加しているのです。つまり技巧の競り合いです。
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こうしてコメンテーターの語りを聞き、ゲームのなりゆきを見守って、バカだなあ、などと高飛車に斬り捨てるのがいまや一般の見方ではありませんか? 『バイキング』(フジテレビ)の冒頭に出てくる「ご意見番」も、決して視聴者代表などではありませんから。
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それ以前に、いまどき戦争反対や格差社会是正、性差別反対でポイントが稼げると思っているコメンテーターなどいるわけがありません。そうとしか喋れなかったとしたら、その胸のうちは敗者の忸怩たる思いでいっぱいでしょう。
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そしてまた「誰でも言えるような耳触りの良いコメントばかり。自分のことは棚に上げて、他人のスキャンダルに正論を吐く者も絶えない」としゃあしゃあと書くということはすなわち、日々それらに接し、結果として流通させている視聴者をもバカにしているわけです。世間のレベルを。
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あ、冒頭のこの部分は加地伸行(82)のコメントではなくて地の文、つまり『NEWSポストセブン』の記者のご意見なのでした。
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加地伸行は「安物の正義感ほど迷惑な偽善はない。もうこれ以上は我慢できん」とお怒りです。それもまた安物の正義感、とは申しますまい。そもそも「正義」に安物も高級品もありません。「正義」を持ち出してきた途端に失われるものの大きさ、たととえば弱いひとりの人間としての躊躇や逡巡に寄り添おうとすれば「正義」などないほうがいい、とワタクシは考えています。正義が大手を振って歩くとロクなことがありません。
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で、記事のご紹介では省略してしまいましたけれども、加地伸行は続いて
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「安保法案も秘密保護法も、成立まではあれだけ猛反対していたのに、法案通過後は途端にトーンダウンする。反対デモの連中と同じです。一点突破で主張し続ける努力や覚悟もない、高みで見物している野次馬です。
左筋ジャーナリズムは絶滅寸前ですが、その特徴はテレビのキャスターやコメンテーターたちに受け継がれています。」
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と語っておられます。「マスコミ偽善者」は「左筋ジャーナリズム」の特徴に則っている、と。ではここで加地伸行が開陳した「マスコミ偽善者」評を書き出しておきましょう。
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◆宮根誠司:「スタジオのいろんな人に話を振って、最後に愚にも付かないまとめ意見を言うだけ。なんの具体性も説得力もない。持論を語る覚悟がない」
◆テリー伊藤:「人様のスキャンダルについて上段から正論を述べていますが、言いたくはないが自分も過去に不倫を報じられているではありませんか。なぜそれをまるでなかったことにして他人のことは批判できるのでしょうか」
◆長嶋一茂:「なんの取り柄も知識もない単なる素人にしか見えません。説得力のない『うわべだけの正論』こそ偽善であり独善。テレビを薄っぺらくする原因となっている」
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でもって、これには続いてまた『NEWSポストセブン』の記者のご意見がオマケとして付いています。
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《 長嶋といえば、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)に出演した際、日本ボクシング連盟の山根明前会長について、「正直言って、僕には悪人に見えないです。泣いたり、お茶目な部分も見え隠れしたりするし」と言いつつ、「役職に残るのは往生際が悪いと思いますよ。何かあったら腹を切ると言ってるんだから、一旦全部辞めないといけない」と責任も追及する。
何か意見を述べているようでいて、実際にはどの立場からもツッコミを受けないようにした「八方美人論評」に聞こえてしまう。》
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加地伸行があまりにもコメンテーター的で頼りないので助太刀したくなる気持はわかります。
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ここにご紹介した記事の数時間後に同じ『NEWSポストセブン』から【コメンテーターは情報番組を薄めて伸ばす「稀釈液」的存在】という記事が配信されています。たぶん加地伸行の記事を担当した記者が勢いのままに書いたのでしょうね。
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ここでは、
「「所詮、コメンテーターなんて情報番組の尺を薄めて伸ばす稀釈液に過ぎないんです。彼らが井戸端会議を始めてくれたら、それだけで5分くらい余裕で持ちますから。2時間全部を情報だけにしたら、ものすごい濃さが求められますからね。その程度の役割なのに、“自分が視聴者の代表だ”と勘違いしてしまうコメンテーターが必ず出てくる。」
というコラムニスト今井舞(?)の発言が紹介されています。
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記事中で槍玉に挙げられているのは松嶋尚美(46)、玉川徹(テレビ朝日報道局・55)、中江有里(44)、松本明子(52)。なんだか小粒すぎる感じがしますけれども以下にご紹介しておきますので、興味のある方はどうぞ。
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◆松嶋尚美:『母としての立場で』と前置きすれば、トンチンカンなことを言っても許されるというメンタリティを感じてしまう。日大問題のとき、『バイキング』(フジテレビ系)で『よく日大の前を通っていて、大学にライオンの置物があってジャージもかっこいいから、息子がこの学校に行きたいって言うのを、全力でちょっと待ちって言っちゃうもん』と言っていましたが、日大と日体大を完全に間違えて、あとで謝っていました。でもそんなに悪びれていないんですよね」(今井舞)
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◆玉川徹:「自分が一番正しい、もっと俺の意見を聞け、という上から目線がきつい。正月に福袋の買い占め騒動が起きたとき、『並びたくないけど、並ばないと買えないからしょうがなく並んでいる人も相当いる』と怒り出し、羽鳥が『並ぶのが楽しい人もいる』と言うと『そんなのいる?』と反論して『寒い中ずっと並んでいたから体調を悪くしたらどうするんですか』と言っていた。もはや論点がずれているのに、それでも他者を否定した上で“自分が正しい”という立場を保とうとする」(今井舞)
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◆中江有里:「事件が起きれば『早く解決してほしい』的なことしか言わないし、誰かが金メダルを取ればきっと『感動しました』と、無難な発言をするんじゃないですか」(中川淳一郎・45)
◆松本明子:「毎回同じ調子でニュースに驚いているだけだし、惰性で出演しているようにしか見えません」(中川淳一郎)
なににつけコメントというのは難しいものです。対象の「上辺だけ」を取り上げているからなおさら。ワタクシも含めてみなさんぜーんいん、目クソ鼻クソのたぐいでございます。世の中なんてこんなもの。(了)
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