むかしラブレターというものがあったころ、無骨でむさ苦しい男が必死にロマンチックな文章をひねり出すギャグがよくありました。久しぶりにそれを思い出させる文面にお目にかかりました。おお、懐かしい。
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それは日本大学理事長・田中英寿(71)が8月3日、大学ホームページに発表した謝罪文です。相撲の親方みたいな、しかも東北出身の、としか例えようのないあの風貌でこの文章。読みながら思わず鼻がクンクン鳴りました。いろいろな意味で香ばしいです。
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以下、『産經新聞』(2018年8月3日配信)に掲載された記事
【田中英寿理事長が大学HPに謝罪文掲載 学生ファースト見失った指摘「心に突き刺さった」 理事長辞任は否定 日大アメフト】
から、その全文をご紹介しておきます。いささか長文ですので、メンドくさければアタマから4〜5段落目くらいまででかまいません。
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[学生ファーストの理念に立ち返って(日本大学理事長 田中英寿)]
アメリカンフットボール部の反則タックルをめぐる問題について、調査をお願いしていた第三者委員会から7月30日に最終報告書を受け取りました。一読して、わたくしの心に突き刺さった一言があります。「日大において学生ファーストの精神が見失われていた」
それは、鋭い痛みでした。もとより、大学の基本理念は「学生第一」であります。本学も例外ではありません。だが、長い歴史の中で、おろそかになっているという極めて厳しい指摘です。大学を代表し、統括しなければならない立場にあるものとして、これ以上、心に響いた言葉はありませんでした。
反則タックルから始まった一連の出来事を顧みれば、すべての根底には、「忘れられた学生ファーストの精神」があったと思います。理事長として、この指摘を受け止め、深く反省し、改めて学生ファーストの精神に立ち返って今後の大学運営を行っていくことを、学生諸君、保護者の皆様に宣言いたします。教職員の皆様も、わたくしの決意を受け止め、行動していただきたい。
第三者委員会は、アメリカンフットボール部の前監督とコーチによる反則行為の指示があったことを認定しております。誠に遺憾というだけでは、済まされない行いだったと思います。関西学院大学アメリカンフットボール部の関係者、反則タックルによってけがをされた選手、保護者、反則するよう指示を受けた本学の選手と保護者に対し、深くお詫びをいたします。さらに、関東学生アメリカンフットボール連盟、他大学のアメリカンフットボールチーム関係者、アメリカンフットボールに関わる多くの方々に不安とご迷惑をかけたことを重く受け止め、深く謝罪をいたしたいと思います。
報告書の中では、あるまじきことか、元理事でアメリカンフットボール部のOBによる口封じがあったことが示されています。いかなる理由があろうとも、断じて許されないことです。なぜこんな卑劣な行為があったのか、驚愕と激しい怒りがこみ上げました。二度とあってはならないことです。
関東学生アメリカンフットボール連盟は、本学が提出したチーム改善報告書では不十分として、出場停止の処分解除はできないとの決定を下しました。その結果、本学アメリカンフットボール部の4年生は、最後のプレーをする大切な機会を失うことになりました。学生諸君には、誠に申し訳ないというしかありません。この残念な事態を招いたのは、すべて我々の責任です。もし、来シーズンまで待つという選手がいれば、出場ができるように最大限の支援をすることを約束します。
関東学生アメリカンフットボール連盟の決定書は、「理事長が組織改革は必ずやり遂げるとの強力なメッセージを発していれば、印象は違ったものになったであろう」とまで言いました。第三者委員会も、「この件は教学だけの問題に止まるものではない」と理事長の責任に、結論で触れました。私はこれらの言葉を、心に深く受け止めました。
日本大学は多くのやらねばならない課題、宿題をいただきました。競技部へのガバナンス強化が柱です。保健体育審議会の組織改革を急ぎ、日大競技部を新しい姿に変えていく。こうした努力のなかで、アメリカンフットボール部は「強くたくましい、フェアプレーのお手本となるチーム」として再生していくことになります。いかねばなりません。
大学運営のトップである理事長として、教学のトップである学長と歩を一にして、これらの改革に取り組んでいく覚悟です。そのことにより、耳を大きくし、より広く意見を聞き、自由闊達で開かれた大学を目指します。
日本大学は来年、創立一三〇周年を迎えます。今回の事件では数々の不手際、対応の遅れから社会問題となり、日大の信頼を大きく損ないました。このようなことは二度と繰り返さないことを誓い、この教訓を踏み台に日大再生を進める覚悟です。 》※原文ママ
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お楽しみいただけましたでしょうか。くどいようですが外見に似合わなすぎるこの文章、どなたか別人の手によるものであることは明らかで、ご本人がその担当ライターにブリーフィングした形跡すらないのもご立派です。それにしてもよくこれで照れもせずOKを出したものだと感心します。目を通していらっしゃるのでしょうか?
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「わたくしの心に突き刺さった一言があります。」
「それは、鋭い痛みでした。」
「これ以上、心に響いた言葉はありませんでした。」
「なぜこんな卑劣な行為があったのか、驚愕と激しい怒りがこみ上げました。二度とあってはならないことです。」
「私はこれらの言葉を、心に深く受け止めました。」
「『強くたくましい、フェアプレーのお手本となるチーム』として再生していくことになります。いかねばなりません。」
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たいへんリリックな独白でございます。ポエムです。大きな問題を引き起こした大学の理事長として、しかもまだその渦中にある状況において、この文章とは畏れ入ります。まったくアタマが下がります。
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書かれている内容自体については、つつがなくアタマを下げましたというそれだけでなにもありませんけれども、もともと期待などしていませんからいまさらここでとやかくいうつもりはありません。あ、最後の段落はあとから付け足したもののようですね。
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また、 暴力団関係者との交流や大学経営の私物化など田中英寿個人に帰される問題も、日本大学としてのステイトメントという性格上、ここでは棚上げされるのはとうぜんでしょう。
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というよりも、もっとずっと以前の問題として、なんの疑惑も晴らさずにシレッと大学を代表し、ステイトメントを発表するとはたいしたたまげた、ということではあります。しかしこの文章の破壊力はそれらの味気なさを補ってあまりあります。
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たぶんライターは女で、いくらかキャリアもあります。まったくの素人というわけではありません。しかしこの場でリリックに流れてしまうところを見ればこうした公的な文書の経験および制作会社などで揉まれた経験は少なく、自分の趣味志向の範囲での仕事、キュレーションメディアなどに書き飛ばしている感じの方ではないか、と推察します。いってみればプロとアマチュアのあいだくらいでしょうか。
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ですからなぜこのライターを起用したのか? が疑問なわけです。野次馬のワタクシとしましては。記者会見の司会で大活躍した大学広報部職員・米倉久邦(日大ブランドイメージは落ちません!!・76)の紹介なのでしょうか? それとも期待の新設、危機管理学部からの提案でしょうか?
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まあ、考えてみればきわめて厳しい世間の視線が降り注いでいるただなかでの理事長の謝罪文担当というのはかなりのリスクであります。万一マスコミに揚げ足を取られるようなことがあっては、得意の張り手一閃!! どこか遠くに島流しにされてしまうかもしれません。
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そんなこんなでみんなで押し付け合った結果、ちょうどそこに顔を出した出入り業者に丸投げしてみた、という感じでしょうか。で、誰も触らずに、理事長すらひとことも口を挟まずに稟議だけグールグル(by吉幾三)回して外に出した、と。
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グダグダ書きながらさっきから考えていたのですけれども、この文章、なにかにたいへんよく似ているのです。なんだっけなー、なんだっけなー、で、いまようやく気がつきましたよ。
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エステといえばたかの友梨、たかの友梨ビューティクリニックの「エステティックシンデレラ大会」ですね。デブな自分の等身大ビキニ切り抜きパネルと並んでステージに立つアレ。アレの入賞者のコメントです。
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「担当してくださった柏店のエステティシャン山下洋子さん、挫折しそうになる私を親身になって支えていただき、ありがとうございました。それから、いつも温かく励ましてくださった柏店のスタッフのみなさん、ありがとうございました。そしてもちろん素晴しいプログラムで私たち女性の美への夢と憧れをサポートしてくださいますたかの友梨先生、ありがとうございます。それから、最後に私の愛する夫にもいわせてください。あなた、ありがとうございました。みなさん、ありがとうございましたあ〜」
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みたいなヤツ。全体のトーンと繰り返すリズムが同じです。つまりこれ本来は読み上げるための文章だということもわかります。うむ。どこのどなたか存じ上げませんけれども、勘違いして会見用のコメントを発注してしまったのでしょうか?
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そんなことまで心配になってくる、最高学府、日本大学理事長・田中英寿の謝罪文でした。情けなし。謝罪文評論家・ゴメンネ一筆も出る幕なし。(了)
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