2015年9月14日月曜日

川島なお美。地獄の釜のふたを開けた女





4、5日前に、フランスのシャンパンブランド「コレ」の日本進出会見に出席した川島なお美(54)の話を書いた。体重が30kg前後とか30kg台前半とかいわれるほど酷く痩せていて、主催者のほうから「長引くと(体調面が)つらい」と5分ほどで打ち切られてしまったという話である。



昨年1月に手術を受けた肝内胆管がんのその後が影響しているらしいのである。酒は「お祝いとかこういうイベントで、なめる程度」(byなお美)にしか嗜めない状態なのである。しかもその翌日にはミュージカルの舞台も控えている、という、なんだかわけのわからない状況だったのである。



謎である。ストゥールに腰掛けての記者会見がわずか5分でいっぱいいっぱいの人間が、その翌日にミュージカルに出演できるものなのか? 酒も飲めない病人に酒の宣伝をさせるとはどういう了見なのか? まったく解せないのである。


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と、いうようなことを書いたのである。で、おそらくはなお美の舞台人、芸能人としての矜持や意地があるのだろうと推察したのである。そして、自らの死に臨んで生をまっとうしようとする意志であるなら、非難する気持ちはまったくない。舞台の上で死ねたら本望、という覚悟は見事であると思う。とも書いた。



9月3日に予定されていた「韓国オリジナルミュージカル パルレ〜洗濯 Vol.4」への出演は、無事果たされたようである。しかしそのなかでなお美がどのような役柄をどのように演じたのかの情報はない。芸能マスコミも、なお美を病院まで追いかけるくらいなら、きちんとしたレビューを書いてもらいたいものである。



そうしたところへ、背部褥瘡→腸閉塞で2ヵ月ほど入院していた桂歌丸(79)が、8月8日収録分(放送はなぜか9月13日)から日本テレビ「笑点」に復帰していたというニュースが入ってきた。もちろん祝福すべきであるのだが、そして申し訳ないのだが、私としては気が滅入るのである。たぶん歌丸にも「芸人の意地」みたいなものに付き合わされるのだろう、と思うからである。


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なお美や歌丸ほど逼迫した印象はないものの、やはりいつかの最期を意識させてしまう人はいる。加藤茶だとか。さらにもっと積極的に、しめくくりにあたっての態度を表明している芸能人もいる。4年前(2011)の紅白歌合戦であまりの衰えぶりを露呈して物議をかもした松任谷由実(61)である。はっきりと死ぬまで歌うと宣言しているのである。



人はいつか死んでゆくし、超高齢社会になっているのだから当たり前の話なのだが、「死」がそこら中、テレビの中にも蔓延しはじめているのである。そして私はこのように現在進行形のリアルな死に間接的とはいえ立ち会わされるのは怖いのである。幸運なことに、いままでほとんど死とは無縁に生きてきたのである。死というものに対する準備がないのである。



しかし、人生の先を読んで終活なるものに取り組み、死ぬのはやはり板(舞台)の上で、などと決意される芸能人の方々は、これからますます増え続けていくことだろうと思うのである。目標はピンピンコロリ、とかいって。しかしそんなものははっきりいって見たくないのである。


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ここのところ、前回の記事では、サッカーなどにある無観客試合という、ああいうものにしていただけないか、と少しおちゃらけて誤摩化してしまったのである。しかし、これはもっとまじめに考えなければならない問題なのである。



そしてまじめに考えたのである。死ぬのは板の上で、という覚悟は立派である。賞讃にも値する。しかし、それは「芸」をまっとうしてのことである。十分な「芸」、パフォーマンスができなくなっているのに、それが生きざまだと押し付けられても困るのである。「芸」は観客、聴衆があって成り立つのである。しかしその観客、聴衆もだらしがないのである。



たとえば、森光子が晩年の舞台ででんぐり返しをするたび盛大な拍手が湧き上がっていたのである。あれはほとんど100%森光子への応援であって、森光子が演じた「放浪記」の主人公、林芙美子への応援ではなかったのである。それもまた観劇の楽しみといえばそうなのだが、芝居そのものは脇へ追いやられてしまっているのである。




最大の問題は、先ほどわずかにふれたが、きちんとした芸能批評、芸能ジャーナリズムが成立していないことである。「舞台で歌うには、彼女はもう年をとりすぎている」とはっきり書ける批評家も、批評の場所もないのである。批評といえばただのプロモーションのお先棒担ぎなのである。



たぶん、人の仕事を叩いて自分の稼ぎにするのか、とか、みんなで仲よくしていかないと金が回らない、とかなんとかいう輩がいるのである。それがいまの日本の芸能の姿なのである。その結果、貧乏臭い、行き当たりばったりのスターシステムがまかり通っているわけである。もう「アーチスト」なんていわれても苦笑いさえ出てこないのである。



ここらできちんとした批評を誰かがやらなければ、日本の芸能も衰弱し滅びてゆくしかないのである。とくに音楽や映画はすでにひん死の状態である。シビアな批評は、当分のあいだ、ダメなものに引導を渡して歩く嫌な仕事になるであろう。反面、やりがいのある仕事である。死ぬまで現役、辛口批評家。どや? (了)




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