2015年9月8日火曜日

忘れられた観客への敬意。川島なお美の生き方





女優の川島なお美(54)が、フランスのシャンパンブランド「コレ」の日本進出会見に出席したという写真を見た。そして酷く痩せているので驚いたのである。現在の体重は30kg前後とか30kg台前半とかいわれているらしい。確かにそんな感じである。そしてその横、ステージ上で1mほど離れて、夫でパティシエの鎧塚俊彦(49)がにこやかに笑っているのである。



川島なお美は昨年1月に肝内胆管がんの手術を受けているのである。会見でも当然それに関する質問が飛び「寛解ということはない」と答えたという。つまりはまだ闘病中なのである。なので酒は「お祝いとかこういうイベントで、なめる程度」にしか嗜めない状態なのである。


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それとあって、この会見自体、主催者のほうから「長引くと(体調面が)つらい」と5分ほどで打ち切られているのである。であるから当然、「コレ」のほうも川島なお美の体調については十分に把握したうえでオファーを出しているはずである。そして酒も飲めない病人に酒の宣伝の仕事をさせるのである。解せないのである。



しかもさらに不思議なことに川島なお美は「明日から(舞台の)公演もはじまります。激やせとかいわれてる場合じゃない」という発言もしているのである。会見の椅子に5分も座っているのがやっとに見える人間が、果たしてその翌日から舞台に立てるものであろうか?



唯一、合理的に説明できるのは、すべて、この会見も舞台も川島なお美側の要望に沿った形ですすんでいる場合だけである。そしてこれほどのわがままを通すには、おそらく抜き差しならない事情があり、それは寿命ということなのであろうと思うのである。「コレ」側にどういうメリットがあるのかは知らないが。


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まことに申し訳ないけれども、今年5月1日に大腸癌で亡くなられた俳優、今井雅之(享年54)を思い出してしまうのである。ライフワークであった主演舞台「THE WINDS OF GOD」の降板挨拶のため死の直前まで何回も劇場に足を運んでいた鬼気迫る姿は、強く印象に焼き付いているのである。



川島なお美にも、最晩年の今井雅之と同じような覚悟を感じるのである。ステージ上で1mほど離れて椅子に座りにこやかに笑っていた鎧塚俊彦(49)は、まさにそのために、ただの付き添いではなくステージに笑顔を添えるために参加していたと思うのである。



で、なにをいいたいのかといえば、少なくとも私は人の死に対してはまったく不慣れなのだということである。今井雅之には今井雅之の、川島なお美には川島なお美の舞台人、芸能人としての矜持や意地があり、それを貫こうとする気持ちは理解できるのである。しかし同時にいたたまれない気持ちにもなるのである。


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テレビは多くの人々にさまざまバーチャルな体験を提供してきた。見知らぬ土地、夢のような恋愛、あたたかな家族関係さえも疑似体験させてくれたのである。しかし、リアルな死については、まだこれからの話である。



私は死とはほとんどまったく無縁なままで生きてきた。街には動物の死体さえ転がっていないし、一族郎党のなかから死人が出るのも5年に1度あるかなしかという感じであった。死体を見たことはまだ生涯1度しかない。「いつまでも続く日常」の感覚はたぶんここからきていると思うのである。



それが、どうやらテレビのなかはこれから一挙にリアルな死で溢れ返りそうなのである。超高齢化社会であるからあたりまえなのである。とはいえ、「死んだら魂はどうなるのかなあ?」なんてのんびりしていたところへ、その死が否応なく押し寄せてくるのである。




すでにマスコミが訃報待ちしている感じの人が、何人もすぐに思い浮かぶのである。ほら、あの人も、あの人も……だろ? 自らの死に臨んで生をまっとうしようとするその意志を非難する気持ちはまったくない。たとえば舞台の上で死ねたら本望、という覚悟は見事であると思う。



しかし舞台、とくにテレビなどに出ている方々は、ほどほどにしていただけないかと思うのである。のんびりだらだらしているときに、すでに死相の浮いた顔で笑いかけられても困るのである。こちらとしては、ただただ辛く、苦しく、恐ろしいのである。弱虫、腰抜けと罵られても、すべておっしゃる通りなのである。



どうしても生涯現役とおっしゃるなら、サッカーなどにある無観客試合という、ああいうものにしていただけないかと思うのである。ライブラリーになっていれば、いつかはきちんと見届けさせていただきますので。(了)




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