2018年4月6日金曜日

大谷翔平は新しい扉を開けた「時代の子」、人類史的事件



大谷翔平が海の向うのロサンゼルスで大活躍、と書いたら『オリンポスの果実』(1940)を書いた無頼派作家・田中英光(享年36歳)を思い出した。



田中英光は1932年のロサンゼルスオリンピックに漕艇選手として出場していて、『オリンポスの果実』はその渡米の船上で抱いた淡い恋心なんかを描いた私小説である。太宰治(享年38)の墓前で自殺(1949)した烈しさに似合わないようでふさわしい、ナイーヴなお話である。



彼の地での大谷翔平の大活躍が、ワタクシには遠い異国のロマン、古本屋で見た日本少年米国野球で獅子奮迅!! みたいな、むかしむかしのスポーツ漫画を思い起こさせたのである。野球(のぼーる)という雅号を用いたこともある野球狂・正岡子規(享年34)にも知らせてやりたいものじゃ。



エンゼルス大谷翔平(23)の成績は、4月4日の対インディアンス戦が終わった時点で1勝0敗0S、打率0.429打点5本塁打2、である。しかしこういうふうに書いてはいるけれども、ホントは野球のことはほとんどわからない。すまんこってす。けれどもなんだかスゴいことが起こっているらしいことだけはわかる。



スゴいこと。たぶんそれは「投げて打って走る」野球が帰ってきた、ということなのかな、と思う。高校野球のようだという人もいるらしいけれども、ピッチャーはピッチャー、バッターはバッターで、さらにたとえばピッチャーなら先発・中継ぎ・抑え、とかとにかく細かく専門特化しているいまの野球ではなくて、やはり選手がそれぞれそれなりに「投げて売って走る」野球がいいんじゃないの、楽しんでやったほうが成績も伸びるんじゃないの、と思うわけである。



そんな野球が帰ってきてよかったよかった。大谷翔平を見ていると最高に楽しそうだし。



なんつーんすか、たとえば徹底して作業の合理化を追究した分業制ラインに、改めてそれには逆行する頻繁な「職務転換」や「職務拡大」を導入する近ごろのジョブ・デザインみたいなものじゃないのかしら。



やる気、やりがい、おもしろさ、達成感という人間的要素をスポイルして歯車のように扱ってもダメなの、ということに産業界の一部はようやく気づきはじめているのである。仕事に対する満足度や意欲を上げ、結果として生産性を高める、というやり方。分業の限界を超えるにはこれしかないのである。



もちろん頻繁な「職務転換」や「職務拡大」の導入は、ただ単純に過去のやり方に戻すということではなくて、科学的に計画されて1段上がったレベルで行われる。



大谷翔平の出現によって、野球でもこれと似たやり方が擡頭してくるのではないか、つまり野球の歩みのゲームチェンジャー(Game Changer=物事の流れや常識を一気に覆してしまう人)の役割を大谷翔平が担うのではないか、と期待が膨らむのである。



野球を知らないワタクシが単純に考えても、いわゆる二刀流の場合、バッターボックスに立てば相対しているピッチャーのそのときの心理や生理、思考の流れ、戦略がほかの選手とは比べ物にならないくらい手に取るようによ〜くわかるであろう。マウンドに立てば同じようにバッターを把握して投げられるはずだ。これだけでもたいへん有利だと思うのであるけれどもいかがなもんざんしょ。



もっと大袈裟にいうと、還元主義から全体主義への転換ちゅーことにもなる。還元主義というのはどんどんどんどん分解していって、極限まで突き詰めて本質を見ようとするもの。つまり「複雑で抽象的な事象や概念を、単一のレベルのより基本的な要素から説明しようとする立場」(Wikipedia)である。英語ではリダクショニズム(Reductionism)であるけれども、あまりこの言葉はつかわれないようだ。



で、全体主義、というとファシズムのお話になってしまうので、全体論的立場といういいかたをすると、いやいや人間が水と二酸化炭素と微量な金属なんてこたあありゃしませんて、物事が集まればそこにまったく新しいサムシングが生まれるのよ、という立場。つまり「ある系(システム)全体は、それの部分の算術的総和以上のものである、とする考え(立場)」(Wikipedia)のことである。ホーリズム(Holism)ともいう。



近代において20世紀まではほぼ還元主義の時代であり、全体論的立場が擡頭してきたのは1900年代半ば以降、とくに日本ではニューエイジブームといわれた1980年代からである。



大谷翔平は還元論的野球、いってみればこれまでの範囲で理解できている“科学的野球”から全体論的野球、つまり“サムシングを生み出す野球”への転換を促している“時代の子”なのではないか、などと思ったりもするのである。



もちろんその前提には193cm、97kgの恵まれた体躯と卓越した運動能力、明晰な思考があり、そしてなにより野球の楽しさおもしろさを追い求める情熱と好奇心がある。



そうなのである。野球を好きになること、野球の全体、野球ゲームの宇宙を愛することが大谷翔平に近づく第一歩なのである。無闇に夜中までトスバッティングさせていればいいというものではないのよ、オトーサン。



そして好きになって好きになって寝ても覚めても野球のことばかりを考えるようになって投げて打って走っていれば、第二の大谷翔平も夢ではないのかもしれないのである。



ついでに大谷翔平の父・徹(53)の指導方法もご紹介しておこう。

《 投手の息子にアドバイスしたのは「きれいなフォーム」と「ボールの縫い目に指先をしっかりかけて投げること」の2点。打者としては、バットの芯でとらえるミート力や左右に打ち分ける技術を身につけさせた。結果が出なくても「道具にあたるな」と説いた 》 ※『毎日新聞』2017年12月5日配信



言うは易く行うは難し。今日もキーボードに八つ当たりしてバンバン叩くワタクシ。(了)





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