「Jカス」などと悪口を紹介したらその『J-CASTニュース』がかなり手間のかかった記事を上げていました。【「妊娠はしておらず」 結婚報道の「奇妙な常套句」なぜ生まれたのか】(2018年9月24日配信)です。中途半端なまじめさがこんなブログには重宝です。
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まず冒頭、今月14日に発表された志田未来(25)の結婚についての報道を検証しています。
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◆「志田は妊娠しておらず、今後も仕事を続ける」(デイリー)
◆「挙式・披露宴は未定で、妊娠はしておらず、仕事は続ける」(サンスポ)
◆「妊娠はしておらず、仕事は続けていく」(報知)
◆「志田は妊娠はしておらず、仕事は続けるという」(ニッカン)
◆「志田は妊娠しておらず、仕事は続けるという」(スポニチ)
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ここでは「妊娠はしておらず」と「仕事は続ける」が必ずセットになっていることに着目すべきだと思うのですけれども、とりあえずスルー。次に『日系テレコン』のデータベースから最古の「妊娠はしておらず」記事として1998年の鈴木杏樹のケースに移ります。
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◆「関係者によると、二人そろってティファニーの300万円の婚約指輪を購入。妊娠はしていないという」(ニッカン、6月7日付)
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このときは「できちゃった婚」だという誤報があったのでそれを打ち消すために「妊娠はしていないという」という文言がプラスされたと解説しています。
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さらに「その後2000年代初頭までは、各紙一年に1~2記事あるかないか。その中で、比較的目立つのはアナウンサーなど、テレビ局関係者が主題の場合だ」(※原文ママ)と記事は続き、その例として挙げられているのが以下。
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◆「日テレ・山王丸和恵アナがカメラマンと社内結婚 今月8日に入籍」(報知、1999年8月10日付)
◆「林恵子アナがダイエー・松中信彦との結婚へ番組降板 堀井美香アナが第2子を出産」(報知、2000年9月28日付)
◆「永井美奈子が同い年会社経営者と結婚 超豪華指輪!! 」(スポニチ、2000年12月27日付)
◆「テレビ東京・家森アナと中日・関川外野手が結婚」(報知、2002年11月13日付)
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ここで『J-CASTニュース』は「元々『妊娠はしておらず』という表現は、事前に妊娠説があった場合や、女子アナなど限られたケースでしか使われていなかった。ところが、2000年代半ばごろから急激に普及し、やがて常套句化する」とまとめます。ふむ。
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「女子アナなど限られたケース」というのはつまり妊娠・出産によって仕事を続けることが困難になると思われるケースということでしょう。かけ声だけでも“女性活躍の時代”のいまと違って、テレビ局社員である女子アナに対して労働環境の整備などということを念頭に置かず仕事を続けるか否かをおおっぴらに聞けた時代、ということです。
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ワタクシとしましては、そんなこんなを含めて「妊娠はしておらず」は業界内の業務連絡みたいなもので、今後も変わりなく仕事しますんでよろしく、あるいは妊娠しましたのでこれにていったん失礼、みたいなものだと思っておりました。なるほどそれは女子アナからはじまっていたというわけです。「妊娠はしておらず」の発祥はわかりました。
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でもって『J-CASTニュース』はさらに「妊娠はしておらず」の使用例が増えはじめるのは2003年ごろ(ex.江角マキコ)からで、2005年ごろにはそれまであまり使用していなかった『デイリースポーツ』も本格参戦。2007年ごろから各紙あたりまえに使うようになった、と述べています。
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ここでは仕事を続けるのか続けないのかというのとはまた別な理由が「妊娠はしておらず」の背景に擡頭してくるわけですね。これについて『J-CASTニュース』は「できちゃった婚」が一般化し、「授かり婚」などといわれるようになったのも2005年ごろからで、これは「妊娠はしておらず」の普及とほぼ軌を一にしている、と指摘します。
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「『結婚期間が妊娠期間より短い出生数が嫡出第1子出生に占める割合』――つまり、『できちゃった婚』が夫婦の第1子に占める割合は、1980年には12.6%程度だったが、2000年には26.3%に達し、以後も25%前後で推移している」
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ていねいです。40人学級の場合アベレージ10人が“できちゃった”なのだなー、と考えさせてくれます。考えさせてくれますけれども「妊娠はしておらず」報道増加との関連性についてははっきりとは教えてくれません。
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これにワタクシなりに注釈をしますと、〈結婚 → 妊娠〉と並んで〈妊娠 → 結婚〉という運びが世間に認知された、ついては妊娠しているかいないか大きく分かれるところとなったので、報道する側としてはそれは拾っておきたい、また婚前の妊娠にも陽の目が当たってきた、と見て、それまでのプライバシーに踏み込み過ぎではないかという躊躇もある程度払拭された、という判断があったということでしょう。でもって『デイリースポーツ』も本格参戦してきました、と。
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『J-CASTニュース』の記事はこのあと急に締めくくりに入ります。まずは「妊娠はしておらず」という表現に違和感を感じる人が増えているとし、以下のように続けています。
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「今後は有名人であっても、『そっとしておいてほしい』という権利が認められる方向に進み、交際・結婚報道そのものが慎重さを求められるようになるだろう、と常見氏は予測する。となれば、『妊娠はしておらず』という言葉が消える日も、そう遠くはなさそうだ。
『妊娠はしておらず』――使われ始めて20年、一般に広まって10年。何気ない言葉の中に図らずも、世の中の移り変わりが垣間見える」
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常見氏というのは千葉商科大学国際教養学部専任講師で労働社会学者の常見陽平(44)ですね。
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しかしなにをおっしゃっているのでしょう? 芸能人の「そっとしておいてほしい」が叶えられてしまったら、間違っても「そっと」されてしまったら芸能人はただちにメシが食えなくなってしまうではありませんか。今日びの芸能人がなにを売っているのか、考えなければなりません。
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たとえば、前田敦子(27)の「できちゃった婚」不認行動、ありていにいえば妊娠時期のはぐらかしは、それが二股をかけていた時期に重なっていたからに違いない、とか、だからこの夫婦はたぶん長くないだろうという妄想で楽しませてくれるわけです。
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なにしろ7月30日に入籍して9月15日に妊娠を発表しているのですから誰が見ても「できちゃった婚」なのにそれをかたくなに認めたがらないのは、実はそういう理由なのではないかと疑わせます。いまの芸能界のプライバシーの切り売りはそこまできているとワタクシは思います。
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したがって「『妊娠はしておらず』という言葉が消える日も、そう遠くはなさそうだ」という指摘はまったくのマト外れでしょう。
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いま現在のように「妊娠はしておらず」があふれているとその効用や価値について一見ないがしろにされていますけれども、それが消えてしまえば、みなさんたいへんなものを失ってしまったと気付くはずなのです。
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「妊娠はしておらず」なら少なくとも「赤ちゃんできちゃったんだから責任とってよね」と女のほうから結婚を迫ったという楽しい想像は消え、またこの2人はそれほどアニマルでもないらしいという残念な想像がチカラを増します。
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『J-CASTニュース』はよく頑張りました。しかし残念なことにこうしたゲスな視点を忘れていました。いうまでもなく芸能ニュースはおよそゲスな視点から成り立っています。ゲスな視点なくして「妊娠はしておらず」問題は語れませんしその将来も見通せません。芸能ニュースはできるだけ微に入り細にわたってゲースーに知りたい語りたいという世間の欲望が支えているのです。
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1981年、芸能レポーターの須藤甚一郎(79)が西武ライオンズ・田淵幸一(72)とジャネット八田(notジャネットやった・65)の結婚会見で「(妊娠していないというなら)お小水をください」と発言して物議を醸したことがありました。芸能はこれでなくてはいけません。少なくとも芸能人の「そっとしておいてほしい」などを聞き入れてはいけないのです。
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「妊娠はしておらず」、このまるで家畜のような無慈悲な扱いこそが芸能人を芸能人たらしめているのだとワタクシは思います。(了)
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