7月18日、両国国技館で開催された格闘技イベント「巌流島 Staging tournament 公開検証2」で、大円和流・合気柔術師範、渡邉剛(60)が試合開始からわずか15秒、元力士にワンパンチでKOされた。
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あの内藤大助(41)が2002年にタイでやらかした、ボクシング世界フライ級タイトルマッチ史上最短KO負け記録、1R34秒の約半分という早さである。
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渡邉剛という人は、40歳から古流柔術を習いはじめ、約7年後に大円和流を開いて自ら師範に収まった人である。実戦は今回がはじめてである。写真で見る限りふつうのオジサンで、というか、いまどきの60歳にしては老け込み過ぎている感じがする。
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こんな実戦実績のない還暦のオジサンを両国国技館のリングに上げていいのか? と思うわけだが、第7試合に組まれていたので、それなりの価値感はあったのだろう。
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で、思うところは2つで、1つはこれからはこういう、ひと昔前なら完全冷や水系の年寄りがワラワラと出てくるんだろうなあ、ということである。ようやく暖かくなってきた春先のスーパーマーケットみたいに。
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現在放映中のポリグリップ のCM 「思いっきり生きよう」篇なんか、ズバリそこを突いているのである。ちなみに企業名はグラクソスミスクラインコンシューマーヘルスケアジャパンである。巌流島のほうはイーファイトである。だからどうってわけではないが。
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Baby Metalの向うを張ってZyzy Metaiやってまーす、とか、私たちBaba Metaiでーす、とか、もうすでにはっきりと目に浮かぶ。ああ、うっとうしい。そしてきっとうっとうしいばかりではなくて、うさんくさい連中も多方面で活躍するのではないか、と思うのである。
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で、もうひとつの思うところは、いわゆる格闘技にもあるそのうさんくささである。狭い日本にいったいどれだけの流派や団体があるのであろう。で、その数だけ最強のチャンピオン、達人がいるわけである。そして他をけなす。
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堀辺正史源一夢(ほりべせいしみなもとのいちむ、74)率いる日本武道傳骨法というものがある。大伴古麻呂より伝わる日本独自の拳法であり、いちむが東條英機のボディーガードを務めた父からその技を相伝されたらしいのである。
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だがしかしである。実際に総合格闘技で闘ってみたらすごく弱かったのである。それで、いまでは実戦格闘技とは一線を引いているのである。口先ばっかりの格闘家など、激ヤセした磯山さやか(31)よりも使い途がないのである。
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そういえば、元傭兵で軍事評論家、危機管理評論家。強さがウリだったはずのテレンスリー(本名:加藤善照、51)も、一般人に重症を負うまでボコボコにされている。自分が一発でも殴ればたいへんなことになる、ので我慢したらしい。うさんくさい。
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そんな格闘技系のうさんくささと年寄り系のうさんくささをデュアルで装着した感じの、例の「巌流島」もまた、なのである。CS放送「フジテレビNEXT」で中継の予定があったものの、なんと開催直前、2日前になって、“フジテレビの都合により”急遽中止になっているのである。うさんくさい。
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格闘技なのだからみんなが実際に総当たり制で闘い、誰がいちばん強いのかを決めれば少しはうさんくささが解消されるかもしれないのである。しかし勝負はルール次第なのである。相撲のルールでボクサーは勝てないし、ボクシングのルールで力士は勝てない。流派や団体の数だけ最強のチャンピオン、達人がいる、というのはそういうことなのである。
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だったらステゴロ、路上の徒手対決ではどうか、という興味がわく。しかしそんなことは実現不可能である。したがってステゴロ最強は、哀川翔(54)とか岩城滉一(64)とか、かつて膝蹴りからのマウントで週刊誌記者を仕留めた三原じゅん子先生(50)とかでどうか? にいき着くのである。
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不可能といえば、相手をポンポン投げ飛ばしたり片手で押さえつけたりして、ものすごく強そうな合気道である。完全な護身術であり、相手の攻撃を利用して反撃するように組み立てられているので、合気道同士の真剣勝負は成り立たないのである。これはうさんくさいのではなく、絶対とはそのように不可能なものなのである、のだと私は思うのである。
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話は変わるが。三原じゅん子先生のあとを追って政治家転身を図ったものの立候補すらできなかった銀蝿の家族、嶋大輔である。あれだけしないと断言していた芸能界に復帰だそうである。
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嶋大輔のギャラなどの待遇は全盛期の半分以下というが、あたりまえである。今日び大輔のカムバックには誰もが慎重になる。
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又吉直樹の芥川賞受賞の報道について、「お笑い芸人」であることが強調されすぎている、と、ビートたけしが少々オカンムリらしい。芸人なのに、芸人のくせに、といった屈辱的ニュアンスが堪え難いのだろう。ときどき北野武のくせに。
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それより、芥川賞報道のなかには、芥川賞をさも日本の純文学の最高峰のように表現しているものが少なくなかった。ずばり最高峰と書いたところもある。しかし芥川賞も直木賞も、本来の性格は新人賞なのである。
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作家としての本当の勝負はここからはじまるのである。だから又吉直樹にはそういう目で、成長する姿も楽しみにしながら、じっくりと付き合っていきたいと思うのである。 (了)





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