2015年7月20日月曜日

さようなら、和田アキ子






TBS系「アッコにおまかせ!」である。和田アキ子(65)をメインキャストに据えた日曜昼の生放送である。放送開始から今年で30年、この時間帯唯一のネットワークセールス番組で、すべてのTBS系列局で同一時間に放送されている。



つまり北海道から沖縄まで、日曜の昼には「アッコにおまかせ!」が流れているわけである。大きな番組である。視聴率は7%前後とふるわないが。



で、その日曜日、TBSでは和田アキ子のために、早くも朝4時ごろから番組スタッフによる朝食づくりがはじまる。品数30〜50点。それをほぼ同じサイズの小鉢などに入れ、打ち合わせ用テーブルに整然と並べてアキ子の入りを待つ。



ここで話がセコくなるが、私なら、と考える。私ならゆうに1ヵ月分の朝食である。たいしたものである。朝からこんなにたくさん食べるなんて、アキ子はやっぱりバケモノなのである。この食糧難の時代に。



放送がはじまってもアキ子へのおもてなしは続く。ときどきのニュースがパネルを使って説明される。それに対してアキ子が感想というかコメントを挟む、そしてそのたびに共演者たちが相づちを打ち、フォローし、ときにボケてみせ、というのが前半の流れである。


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アキ子の発言に異を唱える者などもちろん1人もいないし、たまさかアキ子が視聴者の不興をかう不用意な発言をしても、謝罪するのは局アナの役目である。



放送されている部分しか知らない視聴者からさえ、和田アキ子接待番組と揶揄の声が上がるのも当然である。だいたいにしてこの番組、ニュースの説明も、視聴者に対してではなくアキ子に対して行われているのである。



ここのところはよくよくわきまえつつも、「ねえ、なんでいまここでこんなつまんないニュース取り上げんの? ねえ?」とあまりにも他人事の発言を繰り返すアキ子に対し、勝俣州和が「おまえの番組だろ!! おまえの番組だ!!」と捨身のリカバリーを試みたことがあった。まことにもって立派であった。州和はサムライでござる。



そんなときにも峰竜太(63)は、プールに潜む魔女の嫁にすっかり魂を喰われてしまっているので、ただへらへらにやにやとわらっていただけなのである。竜太とは名前だけのうつけ者なのでござる。



つまりこの番組の冠、メインキャストであるアキ子はなんの予習もせず、日曜日の朝になるとただぶらっとTBSに顔を出し、飯を食い、下っ端芸人相手にわけのわからない御託を並べて帰るのである。お帰りの際には、社屋の玄関口までゾロゾロと見送りがつく。


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で、「アッコにおまかせ!」でのアキ子の言葉は必ず翌日のネットニュースに載る。これでも芸能界のご意見番だからである。



30品以上の朝食、番組内でのあからさまな供応と迎合、意味のないコメント、大挙してのお見送り、ご意見番……。どれをとっても恥ずかしいこと限りなし。……おうよ、その通り。拙者はアキ子に虫酸が走るタイプの人間でござる。



しかしながら65歳という年齢のせいか慢心きわまってのことか、このところそのご意見番もケチの付きっぱなしなのである。



7月5日放送分では宇多田ヒカル(32)の出産に触れ、「妊娠したこともいわなかったのに、どうして産んでから……」「やっぱり、新曲のあれかね? プロモーション?」と、ひどくゲスな勘繰りを述べてしまっている。



宇多田ヒカルは19歳のときに卵巣のう腫の摘出手術を受けているのである。万が一を考えて無事出産が終わるまで発表を控えたのは当然の判断であろう。しかも2013年には母親、藤圭子(享年62)の不幸な死があったのである。それを乗りこえての第一子誕生を、どうしてまずは率直に祝福できないのか。


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さらに7月19日放送分では、第153回芥川賞を受賞した又吉直樹(35)の「火花」について、「みなさん、よくおっしゃるのが『純文学の匂いがする』とか『文章に純文学を感じた』ということだけれども、何も感じなかった」と首をかしげるのである。そして「太宰治からいろいろな小説は読んでいますよ。本好きなほうだけれど……」とし、しかし「あんまり文学がわからないのかもしれない」で片付けてしまっているのである。



メインキャスト失格である。これではせいぜいがバラエティのひな壇芸人、いわゆるガヤレベルである。何も感じなかったにしろ白紙を眺めていたわけではあるまい。感想はあるはずである。メインキャストであるなら、そこから批評するなり、問題提起くらいはしてほしいものである。このアキ子のやり口では、視聴者は放り出されたままである。



そもそもである。「アッコにおまかせ!」というけれども、こんなアキ子になにをまかせろというのだ? この際「アッコにおまかせ!」ではなくて「アッコをおまかせ!」に番組名を変えたらどうだ? それならわかる。視聴者にまでおもてなしを強請しているのだから。



もし「アッコにおまかせ!」をまだ観たことがないという方には、ぜひこの機会にご覧になることをお奨めする。終末期を迎えたテレビのていたらくぶりを目の当たりにできる。いつ消えてしまうかわからないから、お早めに。



はっ、うっ。好きな音楽は、はっ、リズムアンドブルースです。うっ、はっ。尊敬する歌手は、はあっ、ううっ、レイチャールズですっ。はあああっ、うっ。東洋人ではじめてアポロシアターでソロコンサートを開いたアキ子ですっ!! ブルース解釈は、どう聴いてもズンドコですっ!! はあっ。はっ!!




話は変わるが、アベノミクスの3本の矢はどこへ飛んでいってしまったんだろう? ギリシャの債務危機とか中国バブルの崩壊とか、最近じゃ世界恐慌までいわれ出して、どうにもならないではないか。あ、これのせいにして行方をくらますつもりか。



キマグレンが解散したそうだ。なんだか警察が喜びそうである。しかしもうしわけないがキマグレンの曲と知りつつ何かを聴いたことは1度もない。どこかで耳にはしていたかもしれない。すまね。



SEKAI NO OWARIが2016年春の全国ツアーを決めたらしい。世界の終りのくせに、もう来年の金儲けの話である。というか、これから先、また大災害が起こったらこの人たちどうするんだろうね。SEKAI NO HAJIMARI again とかやるんだろうね、臆面もなく。所詮はそんなもんだよね。



フジテレビ「今夜復活!歌がうまい王座決定戦」で、クマムシ長谷川俊輔(29)が歌った「Story」に対し、とことん怪しいリアルバービー人形のダコタローズ(公称20)が100点満点中12点と酷評したらしい。ざまーみろ、と喜んだのは、きっと私だけではあるまい。



インド洋の孤島にセンチネル族という6万年前の暮らしを守っている部族がいるらしい。文明を嫌い、外部から近づく人間をみんな殺してしまうらしい。ヘリコプターに槍で立ち向かう勇姿が写真で紹介されていた。バカである。せめて弓矢にしたほうがいいと思う。  (了)





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