実際はまったくそうではないのだが、見るべきものはすべて見てしまったというような錯覚からくる超越的な態度、他人事の気分、カタルシス、二重性、テレビが私たちの精神に与えた影響を、そんなふうに見てきた。
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人によってまちまちだろうが、これらには意識されているものもあり、意識されていないものもある。他人事の気分は意識されやすいが、超越的な態度は、なかなか自覚されにくい。しかし、そうしたひと続きのものがあるということは、もやーっとではあるが感じられているのである。
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「HYPER」という言葉がある。本来は「上」とか「超越」の意味の接頭詞である。「スーパー」よりも上で、超越している状態を示すのである。程度を示す言葉であるから、チョベリ(グ)みたいなものである。
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とにかく、よくわけはわからないがスゴそう、カッコよさそう、というのが「HYPER」である。そして地に足がついていないのである。沢尻エリカ(29)の元旦那、高城剛(50)みたいなものである。ハイパーメディアクリエイターである。
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前回でふれたマネー経済に関して、ジャンボードリヤール(享年77)が、著書「透明な悪」のなかで「ハイパー経済」と表現していた。と思う。そしてそれが地上経済のはるか頭上を周回しているイメージを語っていた。
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地に足がついていない「HYPER」は、私たちの頭上をぐるぐる回っているのである。それは、テレビによる影響の結果生まれた、なんだかもやーっとしたもののイメージにダブる。
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唐突だが、村上春樹(66)の小説は、いつもその「HYPER」なところへ登ったまま、地上に戻ってこない。そこのところに春樹作品の国際性というか万国融通性の担保があるのである。つまり最大公約数的なのである。66歳の「僕」なのである。
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あとはそのときどき、いろいろなものをとってきてつけてはそれらしく見せるのが春樹の常套手段である。RPG、ユング、それからメディア論の匂いもする。マーシャルマクルーハンなどもテキトーに発想のネタにされている。
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なんの根拠もなく超越的な村上春樹の小説は、だからきわめてテレビ的なのである。春樹はとても小心者だから、自分の問題意識の実体を隠すためにあの手この手を使うが、その問題意識といったって、別にどれほどのものでもない。ま、とるとる詐欺とはよくいったものである。
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そうである。私は村上春樹が大嫌いである。小説を書いているあいだのことはまったく憶えていない、とかなんとかいっているインタビューを読んで以来、まともにとりあう気がまったくしない。そういう霊的言葉が許されるのは森進一くらいのものである。
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話は変わるが、テレビを見ていて何年かに一度、ふと自分の感覚に自信がなくなるときがある。あー、みんなうまく騙されちゃってるねえー、と、ふだんこういうことに関しては自信のカタマリみたいなオレなのだが、ごくたまに、あれ? 世間はそう見てるの? となることがあるのである。
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最近では小島瑠璃子(21)である。いちおうアイドルということになっているらしいのだが、オレにはどう見ても猿にしか見えないのである。よくて脱毛処理済みの猿である。前田敦子(24)がブスであるというくらい明白なのである。おお、この2人偶然にも千葉の市川出身である。ただそれだけのことである。すまね。
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そういうわけで、世間と意見が合致するのは安心でもあるし、楽しくもある。テレビがその媒介を担うのである。そしてこの場合、肯定的意見よりも否定的意見で合致したほうが圧倒的に盛り上がるのである。嫌いなタレントとか。
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で、嫌われるタレントの中には嫌われるために、嫌われることを仕事としてテレビに出てくる人間もいる。いわゆるヒール、悪役である。ごく少数ではあるが、プロ中のプロである。江頭2:20(50)はそうした1人であろう。芹那(30)も、うまくやりきれるかどうかは別にして、すでに悪役スタンバイである。
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見ていて本当にイヤなのは、嫌われることにおいて素人で無自覚な人たちである。現在では、半魚人の幼生みたいな顔をした大沢ケイミ(22)とかアンパンマンみたいな神田うの(40)、わらと古手拭いでつくったかかしみたいな安田美沙子(31)などである。ああ、そうそう。和田アキ子(65)もただいま嫌われ株爆騰中である。
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こうした方々は、バラエティ番組なんかに出演するたび、片言隻句を取り上げられては「上から目線」とか「下品」とか「イヤミ」とか、果ては「感じが悪い」とこき下ろされるわけである。
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それがTwitterや伝言板からはじまって、やがてネットニュースにまで取り上げられる。悪評記事は人気が高いのである。しかし、それにしては小島瑠璃子の悪評記事は1度しか見たことがない。それも、媚びすぎに違和感、みたいな穏便なの。
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だって小島瑠璃子だよ。ふと見上げたら屋根の上でみかん食ってたとか、みかんの皮は下あごで剥いてたとか、もし岡本隆史(45)と結婚したら人類史上最大の汚点だとか進化への挑戦とか、そりゃもういろいろ書けるのになぜだろう? 関心外ってことか? 不思議だ。
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爆笑問題の田中裕二(50)と山口もえ(38)が結婚するとかしないとか。2人揃ってバツイチ、で、子ども2人、玉1。(了)





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