明石家さんま(62)の疲弊がますます目立ってきた今日このごろ、ビートたけし(70)もまた鈍化を露わにしてしまった。寄る年並には勝てないのだから毒ガス屋の栄光は忘れてもうあまりムリをしないほうがいい、語るのはお笑いに留めておいたほうがいい、と私は思う。なかなか親身である。
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そう考える理由、最近ではこれだ。
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◆『エキサイトニュース』2017年12月18日配信
【「ビートたけしが怒るって珍しい」 池坊議長と暴行事件で大バトル】
《 ビートたけしさんが日本相撲協会の池坊保子・評議員会議長と火花を散らせる場面があった。
2人は2017年12月17日放送の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)に出演。元横綱・日馬富士の暴行事件で、被害者の平幕・貴ノ岩の師匠である貴乃花親方が「反協会」的な立場を貫いていることについて、真っ向から対立した。
■池坊氏「もっと率直に仰らないといけない」
公益財団法人の日本相撲協会において、池坊氏は理事会を監督する立場にある「評議員会」の議長。「評議員会があって理事会があります」などと説明すると、たけしさんが「いろんな組織を自分たちの責任逃れで作ってんじゃねえの?」とかみついた。
すかさず池坊氏は「いえ、公益財団法人というのは国が決めたものですから、相撲界が決めたわけではありませんから」と返したが、たけしさんも「あんなもん国で決める必要ねえだろ」と応じた。
放送が始まってまだ数分。インターネット掲示板では「たけしが既にバトルモード」「たけしは色々言いたいんだろうな」といった声が漏れていた。
暴行事件では、貴乃花親方が協会の危機管理委員会による聴取に応じないなど沈黙。当局の捜査が終わったら協力するとして、表立って口を開いていない。
池坊氏は、協会を「会社」になぞらえ、「(貴乃花親方が)『会社』のルールを守らないで何も言わないのはおかしいじゃありませんか。まず『企業』をしっかり運営して、どう良い方向に持っていくかというのが改革なんです。改革、改革と仰るのですから、ぜひどういう不満を持っている、どういうところが足りないと、もっと率直に仰らないといけないと思います」と批判。貴乃花親方が理事を解任される可能性については
「さあ。それはまだ、ちゃんと危機管理委員会(の報告)を慎重に聞いてからだと思います。いずれの時かは(八角)理事長がご判断なさると思います」と述べた。
池坊氏自身の考えを問われると、「いま相撲協会を代表して言うのは軽々だから申し上げません」とするにとどめた。
■たけし「そんなバカな話が通るわけないじゃない」
また、大竹まことさんが「よほど(貴乃花親方は)相撲協会と何かありそうで、他にも(対立の)原因があるんじゃないのか」と聞いたが、池坊氏は
「実はね、ないんですよ。ないにもかかわらず、あるように見せかけている、ということがいけないと思う」とキッパリ。
大竹さんは「それは分からないじゃないですか」と改めて尋ねたが、池坊氏は返す刀で、「だから仰らなければいけませんでしょう。私はどちらの味方をするつもりもありません。でもね、毎日毎日ワイドショーに取り上げられる。貴乃花さんが喋ったら、それは解決することではありませんか」と述べた。
たけしさんが再度、語気を強めたのはその後。巡業部長の貴乃花親方は、秋巡業中に起きた力士間の暴行を協会に報告しなかったとして、責任を問われる可能性があるとされるが、たけしさんは、
「(たとえば)若い衆が人を殺したら協会へ行くっていうの、おかしいじゃねえか。なんで殺しました、じゃあ協会に相談してって、そんなバカな話が通るわけないじゃない」と協会の「ルール」を疑問視。さらに
「口喧嘩とか、飲み屋で揉めたくらいだったら協会に言いますよ。でも明らかに犯罪だって分かっているものを、まず協会に相談するっていう約束があること自体が...」と言ったところで、池坊氏が制するように、
「相談するのではありません。届け出る義務があるということです。日馬富士さんと貴ノ岩さんは、終わった後で握手をしたそうです。ですから、その時点では2人とも大したことはないと思ったのではないかと」と割って入った。
こうした激論にネット掲示板では「たけし激おこやで」「今日のたけしは結構言うな」「たけしが怒るって珍しい」と、たけしさんの激高ぶりに注目するユーザーが相次いでいた。》
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たとえばビートたけしの「いろんな組織を自分たちの責任逃れで作ってんじゃねえの?」と問いかけに対して池坊保子(75)は「いえ、公益財団法人というのは国が決めたものですから、相撲界が決めたわけではありませんから」と答えている。
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誤摩化しは止めていただきたいのである。日本相撲協会の所管は文部科学省であり、実際の審査と監督の権限は、民間人合議制機関がもつ。池坊保子が議長を務める「評議会」がこれにあたる。こうした体制は公益財団法人であることによって生じる。なぜ公益財団法人になるかといえば税制上などさまざまな優遇が得られるからだ。
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つまり「評議会」は国の出先の監督機関であって日本相撲協会とは厳しく一線を画していなければならない。ビートたけしの発言の真意はそれができているのか? ということだと思うのであるけれども、池坊保子のお返事は組織の外形上の説明に留まっている。
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しかも間違っている。「 公益財団法人というのは国が決めたものですから、相撲界が決めたわけではありませんから」というけれども、正確にいえば公益財団法人という“制度”は国が決めたものであり、相撲界がまずその制度を利用すると決めて、そこから国の出先機関として「評議会」が設置される、ということになるのである。
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で、「評議会」はきちんと機能しているのか? といえば過去の暴力沙汰の収拾のつけ方を見ても理事会となあなあの関係にあるのはみえみえであろう。なあなあみえみえ。で、貴乃花としててはそーんな相撲協会には安心して事実関係や本音を語れない、というところなのであろう。
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このあとも池坊保子の発言はうんざりするほどのすり替えが続く。なかでも「いま相撲協会を代表して言うのは軽々だから申し上げません」はいただけない。もうおわかりであろうけれども「評議会」は相撲協会を代表する組織ではない。反対に監督する立場にある。それを知ってか知らずか、なにをいっているのであろう。たいへんな失言である。
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「評議会」議長・池坊保子は日本相撲協会を代表できる立場にない。そんなこともわかっていないでなにをエラそうにモノをいっているのであろう。そしてそこを衝けないビートたけしはもっと情けない。
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そもそもビートたけしがそーんな日本相撲協会や評議会、横綱審議会も含めたその他もろもろについてなにかをいってやろうとすることに一抹の寂しさを私は感じる。もっといわなければならないことはほかに山ほどあるはずなのに、くみしやすい相撲協会を取り上げた、としか見えないのである。
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日本相撲協会は協同組合みたいなもので、みーんなで興業を成り立たせて生き延びていくことがまず第一である。むかしからずーっと。池坊保子は日本相撲協会を会社にたとえたそうであるけれども、この会社はプロモーターと、それからプレイヤーを抱えるごく限られた元プレイヤーたちが直接運営に携わっているという、たいへん特殊な形態をもっている。現業部門と管理部門がごったまぜ。いってみれば相撲取りによる相撲取りのための相撲興行団体なのである。でなければ無気力相撲などは生まれない。
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ここに現代的プロスポーツとしての正論、合理主義で切り込んでいこうとしてもムダなの。日本相撲協会の相撲は、あらゆる矛盾、曖昧さを受け容れて悠然と楽しむ半芸能なのである。と私は思う。
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うむ。それではなぜ急にまたビートたけしが噛み付きたくなったのか、といえばまったくの推測であるけれどもこれに煽られたのではないのかなあ、と勘ぐっているわけである。なんでもおもしろおかしくしたいので。
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◆『エキサイトニュース』2017年12月18日配信
【ウーマンラッシュアワー「THE MANZAI」の風刺漫才を茂木健一郎が絶賛】
《 12月17日放送の「THE MANZAI 2017」(フジテレビ系)で、ウーマンラッシュアワーの披露したネタが「攻めまくってる!」とネット上で話題になっている。日本のお笑い芸人があまり踏み込まない「政治ネタ」を扱ったからだ。脳科学者の茂木健一郎さんも絶賛のツイートを連投した。
■ ウーマンラッシュアワーの“歴史的”漫才
「THE MANZAI 」で舞台に登場した村本大輔さんは、「最近芸人の数がどんどんどんどん増えてきておりましてね」と漫才を開始。「ニュースを読むのも芸人、犯罪犯してニュースに出るのも吉本の芸人ですね」とまくしたてた。さらに村本さんは犯罪行為で話題になった芸人たちを挙げていき、その中で自分がとある番組の「嫌いな芸人ランキング」第1位に選ばれたことを「意味がわからない!」と訴えて笑いを誘った。
そこで村本さんは、「今日は僕のことを知ってもらいたい」と出身の福井県の話題を取り上げるのだが、「北朝鮮の向かい側!」「小さい地域に原発が4基あるんです!」と紹介。これをきっかけに小池百合子都知事や沖縄県の米軍基地問題、東京オリンピック、熊本地震の被災地復興問題など、日本各地の抱える問題を立て続けに風刺。国内問題にとどまらず、アメリカや北朝鮮に関する国際問題にまで話が及んだ。
そして終盤ではこれまで触れてきた日本の問題を総ざらいして、「でも結局ニュースになってるのは?」という台詞をきっかけに「芸能人の不倫」といった“表面的な問題”が挙げられていく。「それは本当に大事なニュースか?」と問いかけ、“数字が取れる”という理由で芸能人の不倫問題などが大体的に取り上げられていることに言及。最後は「だから本当に危機を感じないといけないのは?」という村本さんの言葉に、相方の中川パラダイスさんが「国民の意識の低さ!」と返して締めくくった。しかしここで終わりではなく、村本さんは「お前たちのことだ」と言い残し舞台袖へ。
〈— 後掲 —〉 》
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まあ、最後の「お前たちのことだ」はあまりにベタで鼻白むけれども、このメディア状況ではなかなか勇気のいる演し物であることは間違いないであろう。このウーマンラッシュアワーの漫才に番組の最高顧問・ビートたけしはその場での反応はしてはいなかったけれども、ありがちなアタマでっかちな感じもなく、そうとう煽られたんじゃないかな、と考えてもいいと思えるくらいのデキであった。村本大輔(42)、中川パラダイス(36)、そしてフジテレビに拍手を送りたい。
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で、この「THE MANZAI 2017」についてのビートたけしのかなり好意的な総評が配信されたのが12月12日。このあとに17日放送の「ビートたけしのTVタックル」の収録が行われたのだとすれば、とうぜんビートたけしのアタマのなかにはウーマンラッシュアワーの漫才があったはずである。
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しかし、だからといってオレも……、と日本相撲協会に噛み付こうとしたというのであれば心底ガッカリである。あんなものいままで通りスルーしておけばいいのである。
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そうそう、この記事には続きがあって、お調子者の茂木健一郎(55)がまた他人さまの尻馬に乗ってエラそうなことを口走っておる。「芸能村」「日本のお笑いはオワコン」発言のときと同じように、また松本人志ごときなんかに一喝されてとたんに平身低頭、尻尾を巻いて謝罪に回るのであろうけれども、ミソッカスというのかそれがおもしろいといえばおもしろいヤツである。ご紹介しておこう。
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《 〈— 前掲 —〉
■ 茂木健一郎さんの絶賛コメントが松本人志さんに飛び火!?
今回のネタに「日本のお笑い芸人はオワコン」発言で物議を醸したことがある茂木健一郎さんは、Twitterで「すばらしい。#ウーマンラッシュアワー の二人に、毎日レイトショーでその日の時事ネタを #コメディ にする番組をさせる地上波テレビが出てきたら、ぼくは全面的に応援します」「クリエーターに必要なのは、勇気であり、忖度ではない。テレビ局の方には、忖度ではなく、勇気にこそ、寄り添って欲しい。ぼくは日本の地上波テレビをよく批判するけど、それは愛を込めたエールである。 #ウーマンラッシャワー のような笑いを応援してください」と大絶賛した。
さらに関連して「時の #首相と食事をしてよろこんでいるような #お笑い芸人や、 #コメンテーターは、別にいてもいいけど、文化にはあまり貢献しないと思う。そういう人たちは、 #忖度のエンジェル に過ぎないから。それは、 #公共の電波でやる #コメディ ではありません」とツイート。15日に安倍晋三首相と会食したダウンタウンの松本人志さんへの批判ツイートと見られている。
視聴者からはウーマンラッシュアワーの漫才に「風刺を“お笑い”に昇華させたネタ。めっちゃ笑えたし感動した」「これは歴史的な漫才だと思う。ノーカットで放送したスタッフもすごい」「久しぶりに漫才でしびれた」という声が出た一方、「単純にそれほど笑えなかった。 そのうえに、中味が薄っぺらい」「漫才でまでめんどくさい話聞きたくない」「お笑い番組で政治色の濃い漫才するなら、もっとひねらないと笑えない」という意見もあった。》
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うむ。だけれども。お話は戻るけれども、だからといってビートたけしから村本大輔に焦点を移す、という気持にはまだならない。全然ムリ。(了)
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