2017年の芸能界を上原多香子(34)の「フィット感がいままでとはまったく違うの。」で総括してしまった通り、ジャニーズ事務所や元SMAPについてはもうひと区切りがついた感じがしている。稲垣吾郎(44)、草彅剛(43)、香取慎吾(40)の活躍もジャニーズ事務所の黄昏れっぷりもほぼ予想していた通りなのでなおさらだ。
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しかしこの年末に取り上げなければもうジャニーズ事務所について書くタイミングはなかなか巡ってこないのかもしれない。そう思って“ジャニーズという芸能”という観点からもう一度眺めてみることにした。
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ジャニーズ事務所の創業は1962年である。これまでの歩みはWikipediaの「ジャニーズ事務所」の項、「歴史」の目次にこれ以上ないほど的確・簡潔に示されている。およその年代を添えてご紹介しておこう。
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1)アメリカ由来の芸能の伝道(1962〜)
2)アイドル的路線の確立(1972〜)
3)お茶の間のタレント誕生(1970年代中頃〜1980年代中頃)
4)アイドルのマルチタレント化(1990年代〜)
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3)のここで「お茶の間のタレント誕生」というのはテレビの普及期とは少しズレるので、いい方を変えて「アイドルの大衆化」ということにしたほうがよいと思う。
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1)の「アメリカ由来の芸能の伝道」については、当初、互いに干渉しあいながらごく大雑把に下の3通りの途があったように思う。
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A)ロカビリーからグループサウンズ、ニューミュージック、J-POP、J-ROCK
B)(カントリー、ハワイアン)、演歌、歌謡曲からニューミュージック
C)(ミュージカル)からアイドル
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戦後日本の大衆音楽は、世界中どこでもそうなのだけれども、どんなジャンルでも「アメリカ由来の芸能」の影響下にある。たとえば演歌でさえほとんどはエイトビート、つまりロックのリズムだ。
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いち早くアイドル路線を走ったジャニーズの特異性、これはもう「アメリカ由来の芸能」を伝道するときに通過したジャニー喜多川というフィルターに尽きる。
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ロカビリーは平尾昌晃(享年79)やミッキーカーチス(79)なんかがコピーしていたし、カントリーやハワイアンにもそれぞれジミー時田(享年63)となんとか、みたいなコピーバンドがいた。そしてそれらは本場アメリカのシンガーやバンドとそれほどイメージが異なるものではなかった。というか、いかに似せるかにひたすら情熱を傾けていた。
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しかしジャニーズの場合、タレント第1号のジャニーズまでは「ウエストサイド物語」のジョージ・チャキリス(83)などを彷彿させるけれども、続くフォーリーブスからはガクンと甘く、女の子向け、そしてより低年齢層向けになっていく。マーケティングの結果というよりはジャニー喜多川の個人的資質がそうさせたのであろうと思う。
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そして——マーケティングを勘繰られる部分だけれども、たいへん幸運だったことには1950年代中頃からテレビが普及しはじめ、ちょうどジャニーズ事務所が活動を本格化しはじめた1960年代中頃には世帯普及率が90%にも達していたことだ。フォーリーブスのデビューは1968年である。
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つまり劇場やジャズ喫茶のような場所に足を運べない若い女の子たちにも、地方の町や村にも、歌い踊るジャニーズ、フォーリーブスの姿が届く環境が用意されたのである。ジャニー喜多川の資質がこうした時代の流れにのり、姉メリー喜多川の豪腕に支えられて唯一無二の帝国は築かれたのである。と、私は思う。それは「アメリカ由来の芸能」の日本ならではのガラパゴス進化であった。
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んなわけでジャニーズはテレビとともに隆盛し、テレビとともに廃れる、つまりジャニーズの時代はテレビの時代であった、とチャッチャッと片付けてしまってもいいのでは、と考えるのである。そして元SMAPの3人がそんなジャニーズに対してネットテレビ、SNSを活用して果敢な攻勢をしかけているさまが実に象徴的に見える、と。
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最後にジャニーズ事務所の現状を報告している記事をご紹介しておこう。
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◆『ビジネスジャーナル』2017年12月29日配信
【ジャニーズ、テレビ局に起用お願いする立場に…飯島三智氏のモノマネばかり】
《9月にジャニーズ事務所を退所した元SMAPメンバーの稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛。当初はジャニーズの圧力などによって表立った活動はできず、芸能界を干された状態になるのではないかという見方もあったが、そうした懸念をあざ笑うかのように現在、3人は活躍をみせている。
11月に放送されたインターネットテレビ番組『72時間ホンネテレビ』(AbemaTV)は大反響を呼び、稲垣と香取は、2月からオンエア予定のサントリーホールディングスのノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」のCMに出演することも決定している。
「ジャニーズが看過できない出来事としては、先月発表された日本財団パラリンピックサポートセンターのスペシャルサポーターに稲垣、草なぎ、香取が起用されたことです。もともとサポーターに起用されていたのは、解散前のSMAPでした。すでに応援サポーターとして動いていましたが、SMAP解散で辞退するしかなかった。それ自体は仕方ありませんが、日本財団パラリンピックサポートセンターが、香取ら3人を新たなサポーターに起用したのです。ジャニーズにとってこれは屈辱以外のなにものでもありません」(スポーツ紙記者)
さらにダメ押しとなったのが、今月14日に発表された、3人が主演する映画『クソ野郎と美しき世界』の監督の人選だ。来年4月6日から全国86館で2週間限定で公開されるこの映画、Episode.1からEpisode.4までの短編オムニバス構成なのだが、メガホンを取る監督が超豪華なのだ。
『愛のむきだし』でベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞した園子温、舞台『トロワグロ』で岸田國士戯曲賞を受賞した山内ケンジ、爆笑問題の太田光、映像ディレクターでカンヌ国際広告賞を受賞した児玉裕一というから、錚々たる顔ぶれだ。
「一連の活躍はひとえに、SMAP元マネージャーで現在は香取ら3人の所属事務所代表である飯島三智さんの働きによるものですが、この3人でどれだけ話題をつくれるかが試されます。飯島さんとしては、もうジャニーズのことなんか、かまっているヒマはないでしょう」(テレビ局関係者)
こうした一連の現象は、ジャニーズの衰退を意味するのであろうか。
「今、テレビの世界でも世代交代が起きている。昔は歌番組もたくさんあったし、これまで経営面では事実上のトップだったメリー喜多川副社長の政治力も使えた。SMAPなどすごいタレントも持っていたから力がありましたが、今は『ジャニーズが非協力的なら、もうタレントは使わない』というスタンスのプロデューサーもいっぱい出てきている。そもそもジャニーズを出しても視聴率が取れないことがわかった今、“切られて”困るのはジャニーズのほうです。もうテレビ局はジャニーズの言いなりではないということです。
今、メリーさんから娘の藤島ジュリー景子副社長へ権限委譲が進んでおり、メリーさんはほとんど会社に顔を出さなくなったといわれています。しかし、先日もSNSがNGだったジャニーズにおいて、木村拓哉のLINEスタンプが発売されると発表されて世間を驚かせましたが、ジュリーさんは飯島さんと同じことをやっているだけです。これまではメリーさんがいてこそテレビ局などにも強く出られましたが、ジュリーさんは頭を下げて『レギュラーをください』と頼むしか術がありません。もしメリーさんが完全に表舞台を離れれば、ジャニーズは解体されるんじゃないかとさえいわれています」》
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日本財団パラリンピックサポートセンターのスペシャルサポーターの件はそもそも飯島三智(59)人脈の元フジテレビプロデューサーにして日本財団会長の息子・笹川正平(37)のラインからのプッシュですでに羞恥おっと間違いた(by荒木経惟)、周知のことであったし、エビデンスにもうひとつ食い足りないところはあるけれども、全体としてはおっしゃるとおり、であろう。
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まあまあ、自分のことは棚に上げてエラそうにのう。すまぬ。
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12月25日に開かれた木村拓哉の「LINEのお年玉」キャンペーンアンバサダー就任&新CM発表会においても、そこで撮影した写真をいったいWEBに上げてもいいものなのかどうなのか? 上げなきゃ意味ないだろー!! しかしジャニーズはこれまでWEBはご法度……、でもってジャニーズ側も誰もその扱いについて把握していなかった、というていたらくも伝えられている。
(※「日刊サイゾー」2017年12月29日配信 【失笑、迷走、混乱……木村拓哉「LINE」新CM会見の“お粗末対応”とジャニーズのバタバタぶり】)
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キューバのカニは中国人民が食うかもしれないけれども(昨日の当ブログ参照)、急場のWEB対応をジャニーズ事務所はいまこの段階にきてやっているのである。
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去年の12月31日はSMAPの最後の日であった。今年の12月31はジャニーズ事務所を筆頭に日本芸能界への弔鐘が鳴り渡る日になるであろう。なんといっても【レコ大、今年は「賞の買収行為」自粛…乃木坂46受賞で「ドン」周防氏も了承済み】(「ビジネスジャーナル」2017年12月29日配信)という壊れっぷりなのだから。NHK紅白歌合戦も知らない歌手ばかりだし。
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もう1度、誰かが「アメリカ由来の芸能の伝道」に精を出してみたほうがいいのでは、という気さえしてくる。(了)
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