たいへん申しわけない。11月22日に書いたイタリア人医師のヒト頭部移植手術の記事が大きく間違えていた。記事は主にニューサイト『大紀元』を参考に書いたのだけれども、その後『ギズモード・ジャパン』の配信でその『大紀元』の誤りに気づかされた。お読みいただいた皆さまには深く深くお詫びを申し上げる。
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【訂正および追補】
(1)セルジオ・カナベーロが2016年に行ったサルの頭部移植手術では脊髄の再接合は行なわれず、手術に関する論文も発表されていない
(2)2017年11月、セルジオ・カナベーロは人間の遺体を用いて頭部移植手術を行い、脊髄、神経、血管を接合したと発表した。つまりヒトの生体の頭部移植手術ではなかったのである
(3)前回の記事においてレシピエントはロシア人のヴァレリー・スピリドノフとされていたけれども、ヴァレリー・スピリドノフは今年に入ってから「安全性を確保できないなら手術を受けない」として手術を拒否していた
(4)2017年11月の手術に用いられたドナー側(ボディ提供者)レシピエント側(頭部提供者)の両方に手術に関する告知に基づく同意があったのか、また西洋の基準で法的に死亡した上でのものかは明確ではない
(5)さらに死んだ段階までなんら同意を得ていなかったのに、手術によって生き返った場合はどうなるのか?という問題もある
(6)セルジオ・カナベーロは、2017年12月に中国でハルピン医科大学のXiaoping Ren(任暁平)とともに匿名の中国人患者に対して、生体の頭部移植手術を行なうと発表している
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先の、11月22日の記事はほとんどいい加減であった、ということである。重ね重ね申しわけない。今回参考にしている記事を詳しくご紹介すると『ギズモード・ジャパン』2017年11月28日配信【来月の頭部移植手術。頭と体はどう入手するのか?】である。
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いずれにしろ透明性のまったく低い、いろいろな意味でたいへん危険な手術が今月行われるかもしれないのである。そして医学の分野ではいつの時代にもセルジオ・カナベーロのような先走り男、マッド・サイエンティスト、そしてそれと紙一重の科学者たちが蠢動していたのである。
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たとえば、前回も書いたことだけれども過去を遡れば無法・無体な人体実験など日本や欧米だけでも枚挙にいとまがない。“華岡青洲の妻”として美談扱いになっている華岡青洲(享年74)にしても、人体実験による妻・加恵の失明、実母・於継の死という犠牲を払って全身麻酔薬「通仙散」を完成させている。医学者としての前に人としていったいどーなの? な感じである。
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「華岡青洲には、自分の医術を限られた弟子にしか公開しないという、秘密主義的な面が存在した」(Wikipedia)というのであるからなおさら。しかし一部の科学者にとっては辛気くさい倫理感など足手まといなだけでしかないであろうことは容易に想像がつく。
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なんだかマンネリ医療ドラマみたいなお話になってきた。しかしこれを敷衍して自分の仕事を考えてみるといい。たとえば花屋という職業はとてもキレイで人や社会に害を及ぼすとはとても思えないけれども、一方では種の簒奪、遺伝子工学の濫用、栽培地の環境破壊という問題も抱えている。めずらしい高級な花を売れば売るほどそれらへの加担の割合は高まる。
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そーんなことをいいはじめたらなんにもできない、とおっしゃるかもしれない。けれども、であるけれども、これらをひとつひとつクリアしていく努力がなければ文明はもう前進できないだろう。と私は思う。それにはいま少しの後退が必要だということも直感的に分かる。
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最後に、今回参考にした『ギズモード・ジャパン』の最終部分をご紹介しておこう。
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《(エモリー大学の神経倫理学者である)Rommelfanger氏は、今回の実験が、国際的な賞賛を得たいがために行なわれる、危険で、倫理的に問題のある多くの実験の始まりではないかと懸念しています。既に中国は、ヒト受精卵の遺伝子編集で倫理の限度を超えた過去があります。
また彼女は、この技術が中国の人々のため、あるいは治療を目的として開発されていないのではないかとも懸念しています。
なぜそもそもこんな技術が開発されているのでしょう? 私たちは今、人間の体を車みたいに修理したりチューンアップすればいいと考える社会に生きています。この技術は、シリコンバレーの億万長者で、自分の脳をダウンロードして永遠に生きたい人間たちの為に開発されているのです。》
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おっと、そうこうするうち、こんなしょうもないニュースが入っていた。
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◆『オリコン・ニュース』2017年11月30日配信
【ビデオリサーチ、『ホンネテレビ』のリリース取り下げ「視聴人数を適切に表現する上で不十分」】
《 テレビの視聴率を測定・発表するビデオリサーチ社は30日、自社の公式サイトで今月28日に掲載したAbemaTV『稲垣・草なぎ・香取 3人でインターネットはじめます「72時間ホンネテレビ」』についてのプレスリリースを取り下げたことを発表した。
サイトでは「28日(火)に掲載させていただきました『72時間ホンネテレビ』のプレスリリースにおいて、特定条件下における推計を行ったため、AbemaTVの視聴人数を適切に表現する上で不十分と判断し、当該リリースの掲載を控えさせていただきました」と報告。「関係者の皆様にはご迷惑をおかけしました事を深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
同社は28日の同社のリリースで、11月2日午後9時から72時間にわたってAbemaTVで生放送され「総視聴数7400万」と発表された同番組について、テレビとネットの関係性を把握する独自の測定で「総視聴“人数”」が約207万人だったと推計。
また、AbemaTVを見る人ほどテレビを良く見ているデータがあり、普段からテレビをよく見る人がAbemaTVで3人の動向をチェックしたことから、「“テレビ離れ”とは異なる“テレビの拡がり、新しい楽しみ方”が伺える」と結論づけていた。》
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そらま、いまテレビ界・芸能界は大きな地殻変動がはじまったところであるから、その影響は各所各分野におよぶ。もちろんビデオリサーチも例外ではない、ということでござんしょ。
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「総視聴数」から「総視聴人数」に集計し直してみたら7400万 → 207万人になった、数字だけを見れば35分の1以下に減ってしまったというわけだ。つまりこれは“視聴人数”1人が番組が流されていた72時間のあいだに平均35回、AbemaTVに出入りし、番組にアクセスしたということなのであろうか。
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そうだとすると35回を3日で割ると1日約12回。さらに1日の視聴可能時間を12時間とすれば1時間1回、4時間とすれば1時間3回。貧乏人はやっぱり割り算が好きなのよ。
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にしてもなかなか微妙な数字である。まるで1人あたりの試聴回数(AbemaTVに出入りした回数)が不自然に多くならないギリギリのところまでトレードオフして出てきたのが「総視聴人数」という感じがする。「テレビとネットの関係性を把握する独自の測定」でどのように「推定」したのかは知らぬが。教えてくれ。逆にいえばどうやれば“1人前”に数えられるのか教えてくれ。
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「総視聴人数」を視聴率に換算するとどれほどのものか、教えてくれ。換算できる性質のものでないならそうといってくれ。視聴率イメージで受け取られても困ると。
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こんなうろんな数字を出すのであれば、とりあえずいままで通り、サンプルデータから割り出した“出入りがあったと思われる回数”=「総視聴数」をそのまま提示しておけばよかったじゃん。これもそうとううろんであろうけれども。なにかそうもいかない事情でもあったのか? と勘ぐられるだけでもイヤでしょ?
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しかもコレ、ビデオリサーチにとってそうとうヤバいところに火を点けてしまった。まず「総視聴数」と「総視聴人数」の算定根拠を具体的に示せ、という要望が出る。SMAPファンは甘くない。
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それだけでたぶんアウトだと思うけれども、さらにこれが本丸のテレビ視聴率の信憑性にまで燃え広がる可能性もある。なにしろ14年前、2003年には日本テレビのプロデューサーがモニター世帯を1軒1軒訪問し、ちょろまかした番組制作費で買収して回ったという事件があったくらい、サンプリングはこじんまりしているのである。
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現在の調査対象世帯は関東地区で900世帯、全国で6900世帯である。また個人視聴率のデータが得られる“PMシステム”と呼ばれている方式が導入されているのは、前記関東地区の900世帯と関西・名古屋地区の600世帯を合わせた合計1500世帯である。統計学的にはこれで十分なのだそうだ。
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しかしこれでは買収などで直接サンプル世帯を揺さぶられるとめっきり弱い。関東地区など1世帯約0.11%を担っていることになるのだからたいへんじゃない? そうそう、これからは各家庭からデータを送る通信回線からのハッキングにも十分に気をつけてね。それとワンセグ視聴も測定対象に入れてあげてね。
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「総視聴数」から「総視聴人数」への算出のし直し。どれほどの、どんな意味があるのかしらん? 人間の欲にはキリがないから悩みにもキリがない、といったのはどこの誰だったのかしらん。もうすっかり忘れてしもうた。(了)
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