こんなふうに感じるのはたぶん私だけだろうなあ、と思うことのひとつに、野生の生き物を見て食欲を感じることがある。テレビのなかの獣に対しても水族館の魚を見ても、しばしば“うまそうじゃのう”、と惚れ惚れすることがある。
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園山俊二の「はじめ人間ギャートルズ」やハンナ・バーバラプロの「原始家族フリントストーン」みたいなものである。まかり間違ってもジビエだのグルメだのということではない。食に対しては思うところがあって、これでも見方によってはわりかしストイックなのである。
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いえいえ、貧乏で腹が減っているというお話ではござんせん。なぜ家禽、家畜の類には反応しないのに食べたこともない野生動物に食指が動くのだろう? という我ながらの疑問なのである。まあ、物好きといわれればそれまでじゃけんど。
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そーんな私にはこんなニュースももったいないお話に映るのである。
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◆『朝日新聞デジタル』2017年12月4日配信
【「イノシシが校内に…」プールなどで2頭を捕獲 京都】
《4日午前11時15分ごろ、京都市左京区永観堂町の東山中学・高校の職員から「イノシシが校内に現れた」と110番通報があった。
京都府警などが校舎内に入り込んだ1頭と、プールに飛び込んだ1頭を捕獲した。校舎のガラス戸が割れる被害があったが、けが人はなかった。
川端署によると、イノシシは計4頭目撃され、2頭は近くの琵琶湖疏水(そすい)に飛び込み、2頭が同校敷地内に入り込んだという。
現場は京都市営地下鉄蹴上(けあげ)駅の北東約700メートルで、近くに永観堂や南禅寺などの有名寺院がある。
京都市内では、11月27日にもイノシシが現れ、平安神宮(同区)などを走り回った後、二条城(中京区)の堀に飛び込む騒ぎがあった。》
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市中にイノシシが1度に合計4頭!! いいよなあ京都って、と感嘆するのである。もちろん当該地域にお住まいの方々にとっては危険だし農作物は荒らすし、で迷惑千万な害獣であろう。
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ならば、ならばこそ、なぜそこで捕まえて食わない? と思ってしまう私はやはりどこかおかしいのであろうか? イノシシは食べたことがないけれどもブタとのハーフのイノブタはどこかの温泉場で食べたことがある。イノシシがパパでブタがママ。ふつうにおいしかった。なのになぜ食べない? イノシシとしても里に降りれば人間に食われちまうということがわかれば少しは身を慎むと思うのだけれども。
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そう。それこそもったいないお話である。世界の合い言葉、MOTTAINAI(byワンガリ・マータイ)である。環境3R+R(リスペクト)なのである。Reduce(ゴミの発生抑制)、Reuse、Recycleにさらに自然環境に対するRespectをまとめて MOTTAINAI。これからは MOTTAINAI!! MOTTAINAI!! と口々に叫びながらイノシシを食べるべきだ、と私は思う。
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どや? 奇妙な私の食欲は現在の社会情勢に見事にマッチしているであろう? これこそ同時代的に生きる人間、同時代人というものではないのか?
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うむ。北海道では毎年十数万頭のエゾシカが捕殺されている。天敵・エゾオオカミを失ったエゾシカは増え過ぎてしまうので頭数調整をせざるを得ないのである。放置すると甚大な農作物被害が発生するばかりでなく、森までが失われてしまう。
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まずこれを食おうではないか。それには安全確保のために畜肉への処理施設の拡充が不可欠なのだが、これが農林水産省と厚生労働省の縦割り行政のワリをくってなかなかすすまない、というお話を聞いたことがある。
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処理施設に入る前までは農林水産省管轄、出てからは厚生労働省管轄なのだそうだ。じゃあ施設の中は? ということである。さらに動物の種類ごとに施設を分ける必要もある。もちろんイノシシやタヌキ、クマなんかを食ってやろうとしても同様の問題が立ち塞がる。
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しかしそんな問題はいずれ解決する。食糧難、タンパク質不足の時代はすぐそこまできておるのだ。でもって害獣ばかりでなく、ついでに日本固有の生態系(Ecosystem)を乱す特定外来種などもみんな捕まえて食べてしまえばいいのである。
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まずはとっかかりとしてはブラックバスやウチダザリガニなどが手頃であろう。獣と違って食用にするための処理施設も必要ない。ブラックバスのケイジャンソテーにウチダザリガニのカクテル、オッサレではないか。まるで食べてくださいといわんばかりではないか!!
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ブラックバスは少し生臭かったとの報告が隊員からあったけれども、処理の仕方次第でちゃんと食える。スズキだから。釣った段階で少し手間をかければボラよりずっとイケる。ブルーギルも同様。
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それよりも手強いのは、釣りはキャッチアンドリリース、だいたいあんなの食えるかよ、などとしたり顔でいう渡部建(45)みたいな包み紙野郎にして自己評価高すぎに連れてこられている女の軽蔑のまなざしである。佐々木希(29)は許す。
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なにをいうか。我々は日本固有の生態系を護るために戦っているのである。なのだけれども、やーねー、野蛮よねーとあからさまに見下す視線は刺さってしまう。であるから特定外来種の掃討にはできるだけ大人数でとりかかることが望ましい。
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あ、あと、特定外来種はすべて捕獲した場所から生きたまま移動させることを法律で固く禁止されているので注意すること。
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我々、日本生態系防衛軍の今後の目標は去年新たに特定外来種に指定された大型魚、アリゲーターガー(最大2m)やナイルパーチ(最大2m)、ヨーロッパオオナマズ(最大4m)の捕食である。達成でき次第、このブログでご報告させていただく。
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ああ、こんなことをしているから野生の生き物がうまそうに見えるのか。そうかそうか。いやそれにしても家禽・家畜よりうまそうというのはなぜなのだろう? 貧乏が骨身に染み付いているからだろうか。(了)
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