どういうわけか仕事中の音楽が邪魔になってきた。しかしもともと集中できるタイプではないので気休めになるものはほしい。というわけでYouTubeを音を消して流している。こうした場合、美女および心霊動画などが音がなくても内容が伝わるので都合がよい。
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しかし、あの一般人が投稿する態の心霊動画のたぐいはなんとかならぬか。やたら画質が悪く暗く、意図的に見づらい。なかにはほんとうに何度繰り返し見てもどこのなにを怖がっていいのかわからないものまであった。
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しかも、そんななかようやく登場してくるものといえばモヤモヤした黒い霧のような影とかコープスペイントに白い衣裳の学芸会風、あるいは隠しようもない合成ばっかし!! こんなのでよければ大量生産してあげようじゃないの、といいたくもなる。
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そこで思いついてホラー映画の予告編を見ることにした。なかなかよい。2分程度のあいだに凄まじき阿鼻叫喚、怪人怪物が暴れ顔が変型し血しぶきが舞い首が転がり家や車が破壊される。まあすっきり楽しいことこのうえない。ひえ〜怖〜い痛〜い、な気分になれる。映画の中身はまったくわからないけれども。
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そうなの。とくにスプラッターといわれる血糊使用量の多い映画については、ストーリーなどきっとどうでもいいのである。状況設定も要らない。なにがしか感情移入ができる主人公がいさえすれば、あとはこれでもかとばかり酸鼻なシーンが繰り広げられればきっとそれでいいのである。
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このへんの事情はAVにも共通する。わざわざ人妻ナンパとか妹は女子校生、とかにする必要がどこにある? しかもそんなダルい演出をしているうちにブルマや教室、おっとその「女子校生」も「JK」も業界の自主規制の対象になったんだってよ。もともと要らないからどうでもいいけんど。最初から最後まで、ただただ組んずほぐれつしていればそれでいいんじゃないの。と私は思う。
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ポルノとホラー、ともに本能を刺激するとてもよく似た者同士である。であるからして自動的に感動を呼び起こすものとして「感動ポルノ」というややこしいいいかたがあるけれども、それは「感動ホラー」でもいいわけである。しかしホラーよりもポルノのほうがなんとなく穏便ではある。
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投稿心霊動画には本質にかかわる部分で弱点があるので、すぐに飽きられるのもいたしかたないところはある。それは一般人による(現実の)撮影という態をとっているかきぎり、あまりに現実離れした奇想天外なものはつくれないということである。
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突然巨大なバケモノが出てきて前を歩いていたオジサンをアタマからガリガリ齧っちゃいました、なんてことにしたら、齧られたオジサンはどこの誰でそれはいつどこで起こり、警察には通報したのか? みたいなことになってしまう。
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なので投稿心霊動画に出てくる異世界の方々はただただぼうっと立っていたりフラフラ歩いていたり、せいぜい鴨居からぶら下っていたりするだけなのである。これは仲間内でやる幽霊話の場合でも同じだ。さもなくば友だちの友だちが……、と伝聞形式に頼るしかない。
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日本の怪談話、幽霊話はあまり血が流れない、主人公との闘いに発展しない、という特徴があるといわれるけれども、それは人間の気質の違いからくるのではなくて、ただ、身近なお話であるだけに激しすぎたり主人公の関わり方が深くなりすぎたりすれば物語のリアリティを維持するのが困難になる、というだけの事情によるものではないか、と思う。
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その点ヨーロッパの方々はいつも地続きの他国すなわち異界からの侵入者なんかもあったわけで、バケモノの設定を細かく詰めなくても感覚的な怖さは醸し出されたのであろう。
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でもっていろいろな予告編を眺めて気がついたのであるけれども、ヨーロッパのホラー映画はエロと結びついているものがいまだに少なくない。残酷とエロでまとめて18禁・15禁。私としてはまったくピンとこないのだけれども需要はあるのだ。
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その点ではアメリカのホラーはエロはないし子どもと動物は大切に扱われるしで、たいへん健全である。そのかわりというか狂気はいささか足りない感じがする。なので、いまはまだ阿鼻叫喚のシーンをあの手この手のSFXやVFXで見せてしのいでいるけれども、そろそろ手詰まりの感は否めない。
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さて、AVは女優さえ変われば毎度おなじみの組んずほぐれつだけでいつまでも続けられそうな気がするけれども、ホラーはそうはいかない。ただひとつゾンビものを除いては。
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生きるには食べることが欠かせないわけでこれも大切な本能である。そんな「食」をホラーに移植すればカニバリズム(cannibalism = 人肉嗜食)であろう。かたや食欲かたや性欲ではあるけれども人間にヒットするレベルが本能に近く、ホラーの中でもとくにゾンビものとAVが似ているのはまさにこの点である。
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であるからこそAVが女優さえ変れば十年一日のごとくやっていけるように、ゾンビ映画も毎年毎年大量につくり続けられて飽きられないのである。主人公が助かるか死ぬかだけで成り立っているようなほかのホラーではこうはいかない。
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単純にホラーとしてのSEX、ホラーAVといえば、たぶんコレである。もうひとつのJK=熟年高齢者。あまりに怖いので私は見ていない。
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◆『DIAMOND online』2017年3月20日配信
【80代の現役AV女優が語る、長寿時代の「性」】
《 長寿時代は男も女も灰になるまで──人間の三欲の一つである「性」は、老いてこそ手近な“悦楽”として重視される傾向にある。
都内のレンタルビデオ店店員が言う。
「中古AVの購入客はもっぱらシニア層です。1本50~300円でワゴンセールに並べた端から朝一番に来店して買っていく。10本以上まとめ買いをする“おじいちゃん”も珍しくなく、大抵の目ぼしいタイトルは昼までに売り切れますね。若い新人女優よりは素人っぽい熟女モノが好まれ、常連客の74歳男性などは『若い子どものエッチなんて観ても仕方ないだろう!』と、レンタルでも熟女か超熟女タイトルしか手に取りません」
超高齢化社会に突入し、平均寿命が男女ともに80歳を超える現代では、孫や曾孫と同世代の女優より、一~二回り以内の年齢差に需要が集まるのも当然の成り行きか。
その上で、インターネット動画よりDVDの方が馴染み深い世代の男性こそ、AVの“メインユーザー化”する動きは止まらず、事実、7~8年前からは「女子高(校)生」とは異なる、もう一つの“JK”(=熟年高齢者)市場が活性化。インターネットも普及して、AV市場全体が全盛期の5分の1程度に縮小を続ける中、還暦以上の“超熟女”作品の人気とニーズは衰え知らずである。
熟女専門AVメーカーの老舗、「ルビー」の制作担当者が内情を明かす。
「近年では60代の女優モノが人気で、高ルックスの女優の還暦デビュー作がその月の売上ナンバーワンになります。10年ほど前は『五十路』の女優作品がインパクトもあって人気でしたが、これが長寿化に伴いそのままスライドしている格好です」
還暦過ぎの女優作品しか興味を示さない愛好者も多く、熱狂的なファンにおいては発売前から問い合わせを受けることも少なくないという。
「女優と同世代~年上の男性のみならず、『マザコン』とは違う、常に“年上好き”の40~50代男性が支持層で、皆さんからは『50代なんて、まだガキじゃないか!』とも言われます」(同前)。
こうした実情から、業界では“還暦超え”女優の発掘に余念がないが、常時「需要に供給が追い付いていない」状況が続いている。
「『AVに出てみたい』と中高年女性からの問い合わせも増えましたが、ほとんどが50代で、『お金が欲しい』より『プロの技で感じてみたい』や、寝取られ願望を持つ夫に『勧められて』といった動機が目立ちます。70~80代になるとさらに希少性が高まって、確保はより困難を極めるのです」(同前)
というのも、撮影は一日通しのタフな現場で、体力と“丈夫さ”が最も重視されるため。体も硬くなっており体位に無茶ができず、「関節が柔らかい」「心肺に持病がない」など年と共に健康面での出演ハードルも上がるのだ。
〈— 略 —〉》
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生殖ということからいえば虚空で永遠の空回りを続けるしかないJKAV。留まるところを知らず、また行き着く先も見えぬ欲望。ホラーである。でもってこうしてくだらない連想をして仕事を遅らせる私のアタマのなかもかなりなホラーなのだと思う。いいトシして。(了)
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