2018年2月5日月曜日

睡眠時バンザイ症ってあるのか? 奇妙な現象が私に



最近、両腕を上げて寝る癖がついてしまい肩と腕がすっかり冷えて目を覚ます。きちんと体側にそって両腕を伸ばし、気をつけの恰好で寝ても、いつのまにか必ず両腕を頭上に突き出している。



なにもベッドの上でバンザイをしなくてもいいではないか、私はいったいなにに降参しているのか、と思うけれども関連を疑えるような夢を見るわけでもなく見当がつかない。もちろん両脇の下を擦りむいてもいない。降参するような相手もいない。



いきなり後ろから殴られて失神し、両腕を掴んでズルズルとベッドまで引きずり上げられたということもない。自分でベッドに入った記憶はある。



私の生活、自宅で仕事をしているのをいいことに睡気がさしたら昼夜かまわず寝る、お腹がすいたら食う、というワイルドライフである。結果およそ1時間半眠って6〜7時間起きるというローテーションができあがった。正直にいえばヒマなので何時間寝ていてもかまわないのだけれども、幸か不幸かだいたい1時間半で目が覚める。



で、目が覚めたときはいつもバンザイをしている。1日に3回バンザイをしている計算になる。バンザイもこうして睡・覚のローテーションに組み込まれてしまえばとくに不都合はない。はずである。まとめて1日分の睡眠を取る一般的なパターンだと途中で肩と腕が冷えて目が覚めたりしていささか煩わしいのかもしれないけれどもそうはならないのである。まあ、アジアの方々の中にはお気に召さない方もいらっしゃるかもしれないけれども。



つまり私の場合、目覚めのバンザイは自堕落な生活が生んだ行動習慣といえるかもしれないわけで、すると本来人間の両腕はバンザイをするようにできているのかもしれない、いやそんなことがあるはずはない。骨格標本を見たって両腕は肩からぶら下がるようにできているのである。やはりバンザイをしつつ目覚めるというのは不自然な行いなのである。



しかしまあ、肩と腕が冷えてもいまのところとくだん身体的な不調の自覚はない。次回のピッチングに支障が出そうな感じもするが次回のピッチングなど永遠にやってこない。もともとまったく肩が凝らない体質なので、というか肩が凝るようなことは人生上いっさいしてこなかったので、肩の血流が滞るみたいなことは、私にとってはなにかとてもハイブロウな世界の出来事のような感じがする。強いて不調をいえば少しのあいだ腕がだるく感じる程度のものである。



目覚めたときの両脚は真っ直ぐに伸びていて眠りに入った態勢と同じである。あ、もちろん仰向けである。うつ伏せでバンザイをして眠っていてはきっと人相がスタンプみたいに平らになる



下半身は左脚を上げているグリコの看板ほどの動きもない。無気力である。したがって全体のポーズとしては内村航平(29)の着地のようにバンザイを決めているというよりも何者かに両手首を掴まれて立たせられている感じといったほうがいいのかもしれない。1950年代に西ドイツの新聞に掲載された、あの有名な“捕まった宇宙人”の写真のように。



そう考えてから、つまり何者かに捕われているのではないかと考えてから、目が覚めるとできるだけ早く天井に焦点を合わせるようになった。知らないオジサンの笑顔が浮いていたりしては困る。エドガー・アラン・ポー(享年40)の『落とし穴と振り子』に出てくる先が大鎌の形をした巨大振り子が、前後に揺れながら天井から少しずつ降りてきていたとしたらたいへん心配な事態ではないか。



ご存じであろうか。あの振り子は直下に縛り付けられている者の体に対して横方向ではなく縦方向に振れているのである。なので振り子の支点が天井の、ちょうど寝ている犠牲者のヘソの上あたりにあるとすれば、弧を描いてもっとも切っ先が下がるヘソのところからスイングするごとに少しづつ切られていく。



で、前後に切り口を伸ばしつつ深く切りすすんで、最終的には人間カーカス(CARCASS=内蔵を抜いた牛など食用の動物の胴体)ができあがるのである。やっぱりエドガー・アラン・ポーは天才だわ。そんじょそこらの手品師とはちと違う。



で、もちろん毎度まいど、殺人振り子がブーンブーンということも、知らないオジサンがニヤニヤということもなく、あれ? どうしたんだろうなあまた、と阿呆のごとく自分のバンザイ姿を訝しむのである。



おお、これは、このバンザイは、ギブアップの意思表示という意味ばかりでなく、誰かに対する私からの無意識の信号の働きをしているのではないか? ギブアップの意味のほかになにかなかったであろうか? 手旗信号でいうと両手を真っ直ぐに上に伸ばすと「リ」、やや開いてV字形に伸ばすと「ハ」だそうである。私のバンザイは両方あるような気がする。すると眠りながらどこか知らない上に向って、もう一度お願い!! とかハ? とかやっているということであろうか。そうとうものわかりの悪いヤツである。



目覚めたときにいつも両脚が真っ直ぐに伸びているのは、寝返りを打っていないからである。寝具の乱れもなし、たぶんベッドに潜り込んだままじっと動かずに眠っているのである。動くのは両腕だけ。かなり不気味といえば不気味である。



いやいや、しばしば見かける大の字になって眠るペットの犬や猫の可愛い写真、もしかして私の場合もあのようなものなのではないのか? はいはい申しわけなす。そうであるはずがない。私はあのように可憐ではない。ドス黒い邪気に満ちておる。お互いになにか大切なものを失っているところは共通していると思うけれども。



ああ、いまようやくわかった。もし眠りに落ちたまま永遠に目覚めないという事態に陥ったときのために、万が一のそんなときのために、私は自分の体を納棺しにくいように、わざわざそんな嫌がらせのためにバンザイをしているのである。ベッドにバンザイのシミが残るのもいとおかし。



私の人生の目標は孤独死であるので、ぜひそのときのプランにこれも忘れず入れておこう。目を大きくしたプリクラ写真を遺影に使ってもらうのに次ぐヒットである。



まったく内容がない。(了)




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