2018年7月17日火曜日

お尻にコンプレッサーは止めましょう。死にます



洗濯物の整理をしている母親の傍で遊んでいた幼いころの思い出です。使用中の熱いアイロンに、これには絶対に触ってはいけない、とキツくいわれていたのですが、やってしまったのです。なにを思ったのかそのアイロンを手にしてちょうどそこにあったビニール袋にペタリ、と。



あっと思う間もなくビニールはチリチリとアイロンの底に貼り付き、微かな煙とツンとくる臭い匂いを立てながら焦げていきました。母は呆気にとられてワタクシの顔を見詰め、ワタクシはワタクシでその顔をこっぴどく叱られるだろうなあという恐怖とともに見詰め返しておりました。



やるなといわれるとやってみたくなる。むしろやってみないと気がすまない。そんな突如として実証主義に目覚めた天の邪鬼が取り憑いたような魔の瞬間を経験したことはございませんでしょうか。たとえば疾走する自転車の前輪だけにブレーキをかけるとか、妹の両方の鼻の穴に指を突っ込むとか。



しかし、ときにはそれが魔が差したではすまされない悲劇を引き起こします。(↓)





◆『共同通信』2018年7月14日配信
【尻に空気注入、男性死亡 傷害致死容疑で同僚逮捕】

《 茨城県警竜ケ崎署は14日、同僚男性の尻に空気を注入して死亡させたとして、傷害致死容疑で同県つくば市手代木、会社員吉田佳志容疑者(34)を逮捕した。容疑を認め「悪ふざけだった」と話しているという。

逮捕容疑は13日午後5時ごろ、同県龍ケ崎市の建設重機製造・販売会社の工場でコンプレッサーを使い、千葉県柏市の石丸秋夫さん(46)の尻から空気を注入して死亡させた疑い。

現場にいた別の同僚が119番した。注入は服の上からだったが、体内に空気が入ったことによる肺の損傷が死因だった。》





どうしてそんなことをしたのか? といわれても答えようのない、そんなつもりすらなかった「悪ふざけだった」というのが精いっぱいの不条理な事件。しかしお尻に空気を注入して、というのは過去にも何度か聞いたことがあります。検索してみると以下の3件が出てきました。





◆ 2013年6月上旬:航空自衛隊小松基地に所属する2名の男性隊員が勤務時間中にふざけてコンプレッサーで互いの肛門に空気を入れ合っていたことが発覚。うち1人が腹部に激痛を訴え検査のため1週間入院

◆ 2017年7月1日:京都府亀岡市でエアーダスターガンのノズルの先端を京都市の男子大学生(22)の肛門にズボン越しに押し当て、空気を噴射させる暴行を加え、直腸に複数の穴を空ける傷害を負わせたとして28歳の自営業の男を逮捕

◆ 2017年12月17日:埼玉県杉戸町の産業廃棄物処理会社で同僚2人にエアーコンプレッサーで圧縮された空気を注入された男性(44)の体調がおかしくなり、病院に運んだものの、その後死亡





さっくり調べただけで3件、しかもいずれも比較的最近の出来事です。もしかすると日本は空気浣腸死大国であるのかもしれません。ひとりSM死年間300人という噂は結局、根拠のないヨタ話ということで決着しましたけれども、空気浣腸死大国を標榜するにはもう少し長いスパンでの発生状態を知りたいものです。



すると願いは天に通じて、1994年5月発行の日救急医会誌 に『エアブロー誤用により圧搾空気の肛門内大量送気によって 大腸破裂、著明な換気不全症状を来した1症例』(若原 卓、和田信昭)という論文が掲載されており、なかに同様のケースについての言及があることがわかりました。(↓)





《 圧搾空気の肛門内送気により生じた腸管損傷の報告例は、欧米では1904年Stoneが報告したS状結腸の破裂例が最初で、本邦では1927年小林の報告したS状結腸破裂の症例が最初である。欧米、本邦いずれにおいてもその報告例はわずかで、本邦においては1979年小林らがそれまでの本邦報告例11 例を集計したが、それ以降のものを合わせても現在に至るまでわずか13例を数えるにすぎない。 》





小林さんてどういう人なんでしょうね。「互いの肛門に空気を入れ合っていた」のはほんとうに「ふざけて」だったのでしょうか? なんでもかんでも冗談ジョーダンで誤摩化してしまおうとしている気配がなきにしも、と勘繰ります。



もとい。1927年から1994年までの68年間に13件の事故があり、2013年から2017年までの5年間でワタクシが把握できたのが3件。予想したよりずいぶん少ないですけれども、肛門に興味をもつ人もそれほど多くないということでしょうか? いえいえ、肛門に興味をもつのとコンプレッサーを突っ込むのとではまったく別問題というものでございます。



しかしデータからは、現在はコンプレッサーが普及して空気浣腸にもようやく弾みがつきはじめている段階と見ることもでき、今後の予断を許しません。危険です。



どうして肛門に高圧の空気を入れたがるのでしょう? いや、ですからどうしてコンプレッサーと肛門が近くにあるときに魔が差してしまうのでしょう?



精神分析の世界では、性欲発達の段階に、口唇期に続いて肛門期があるとされています。小児性欲発達の第2の段階で、生後18ヵ月から4歳ぐらいまで。この時期には排泄時の肛門刺激で快感を得ているといわれますけれども、それが性的快感であるかどうかは議論のあるところです。



なぜそんなことになっているかというと、まず食べることをうながすために口唇に関心が向き、しっかりとした排泄をうながすために肛門に関心が向く、ということですね。で、フロイトによれば次に〈男根期〉があり、〈潜伏期〉を経てついに〈性器期〉に統合される、ということになっております。人間は“性”のカタマリですからして。この辺りのことは実感として把握しづらいので、ワタクシにはよくわかりません。というか、都合がよ過ぎてうさん臭い感じもます。



でもまあ、たしかに幼児を見ているとウンチやお尻に強い関心を持っていることはわかります。その状態でオトナになってしまったら、つい魔がさすこともあるでしょう。というか、お尻の穴を遊びの対象にするのは子どもっぽい、というただそれだけのことでありましょう。なにをいっているのだか。



エアコンプレッサーを扱う方はくれぐれもオトナのふるまいをお願いいたします。今日び、お尻の穴の話がこんなにも弄びにくいものになっていたとはよくわかっておりませんでした。失礼いたしました。(了)








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