犬が発情期を迎えたため、昨夜はほとんど一睡もせず相手をしておりました。犬は、なんという種類かわかりませんけれどもチュパカプラみたいな姿で生成りのブタ色をした小型犬の雌でございます。犬の気持になって、みたいなことで断種手術をしなかったのが大きな間違いでした。
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夕方から一時も休まず動き回り、家具の隙間やさらにその奥など狭いところに入り込みたがり、まったくいうことを聞きません。あれはたぶん犬も辛いことでしょう。
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で、こちらの人間サマは人間サマで“なにごとも話せばわかる”というタイプですから、そのまったく平静を失っている犬に対して、「そっちへ行ったら出てこられるなくなる」「あっちは危ない」などとしきりに説諭を続け、しまいには「何回いったらわかるの?」と逆上にまで追い詰められておりました。
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「何回いったらわかるの?」といわれても相手は犬ですから通じるはずもありません。交渉ごとは相手を見てすべし、と改めて納得した次第です。いやいや案外世の中にはこういうふうにペットを人扱いしてお互いに苦労してしまっている方が多いのではないか、と想像したわけです。
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そんなわけで夜を徹して犬の後を金正恩(34)ボディガードのごとくついて回り、体を撫でたりしているうちに昼になり、テレビを点けてみましたら『徹子の部屋』に女優・水野久美(81)がゲストとして出演しておりました。往年の、肉体派、までは露骨ではない感じの妖艶グラマー女優、ご存じでしょうか? ワタクシのほぼほぼ初恋みたいな憧れの女優さまでございました。
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本日拝見したご尊顔にも往時の面影はしっかり残っていて、草笛光子(84)とともに日本の美ババア女優のツートップといっても過言ではない美貌であられました。というか、なにか40代頃の顔にいきなり老けメークを施したような、ちょっと変った年のお召しになり方です。
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しかし水野久美がワタクシにとってたいへん特別な存在になり得たのは、以下のごときキャラクターの持ち主だからです。
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《 1957年、松竹映画『気違い部落』でデビュー。ジャイアント馬場とは同郷で上京前からの友人であり、下積み時代に同じアパートに住んでいたことがある。》 ※Wikipedia
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『気違い部落』で「ミス気違い部落」を演じたのが若干二十歳の水野久美です。ね? クラクラするでしょ? 実際の映画の中身は村八分もふつうの閉鎖的な村の生活を描いた叙事詩みたいなものらしいですけれども。
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このあと東宝に移ってからの水野久美は『マタンゴ』(1963)、『怪獣大戦争』(1965年)『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』(1965年)などで東宝特撮のヒロインとして大活躍されました。しかしここまではワタクシはまだまだ幼すぎて、妖艶なるお姿をがっしりと受け止め得るだけの膂力がともなっておりませんでした。
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ワタクシにとっての水野久美は、それから10年ほどのちになってから、唐突ですが“ビンタの女”です。山本學(81)との最初の結婚に破れ、その後2度目の結婚をしたときに、なにかのインタビューで再婚を決意したのは“叱られて思い切りビンタを張られたとき”とお答えになっていたのです。おおっと。
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おおっとっと、と。そういえば1970年代のなんとかいうホームドラマで水野久美が男と口論のあげく頬を叩かれてソファに激しく倒れ込むシーンがあり、そのときに勢い余ってパンツが丸見えだったことがありました。いまならとうぜん編集されるのでしょうけれども、これもあってワタクシのなかで水野久美はビンタ(被ビンタ=ヒビンタ)の女王としての地位を確立しております。懐かしい思い出です。
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しかしどうなんでしょう? 犬には不必要に忍耐強く話しかけ、人にはビンタ、でグッとくるというのは。
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しかもヒビンタの女王、水野久美の本名は「麻耶」でございます。五十嵐(旧姓水野)麻耶。でもって麻耶、摩耶といえば、音が同じというだけですけれども泉鏡花(享年65)です。妖しいじゃあ、ありませんか。ねえ、ワタクシたちのようなジジイはこうして微かなかすかなエロスの香りを必死に嗅ぎ集めて妄想を逞しくする習性を囲っておったのでございます。
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そして『徹子の部屋』で明らかにされた驚愕の事実!! 20年ほど前に亡くなられた2度目のご主人とは「けっこういろいろありましたから。殴られたりとか、……酒乱で……」、だったのです。さらに、いま現在もイナゴを召し上がっておられるそうです。あんまり関係ないと思われるでしょうけれどもこういう奇妙なディテールが想像力をパンパンに喚起するのですよ。
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水野久美サマ、いちいちツボを突いてきます。
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うむ。クラクラしすぎます。なにをどう考えていいものやら。谷崎潤一郎(享年79)でいけばいいのか三島由紀夫(享年45)がいいのか、それとも団鬼六(享年80)なのか? うむむ。ワタクシのような若造には、水野久美サマはとてもとても手の届かない、そしてもちろん手に追えない妖の大輪の花なのでございましょう。そうこうしているあいだにも犬は徘徊し続け……。
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そんなわけで明日未明のワールドカップ日本対ベルギー戦を見る体力は残っておりません。
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そういえば料理研究家の浜内千波(63)を20歳ほど若返らせればサッカーに興味などまったくなくワールドカップのテレビ中継も見ないと公言している古市憲寿(33)そっくりだと思うのですが、いかがでしょう?(了)
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