以下にご紹介する記事が間違っておるので、お節介ながら訂正しておきたい。
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◆『AFPBB News』2018年11月21日配信
【インドの孤立先住民、島に上陸した米国人観光客を弓矢で射殺】
《世界で最も孤立した地域の一つ、インド東部アンダマン・ニコバル諸島(Andaman Islands)の島を訪れた米国人旅行者が、保護政策の対象となっている先住民に弓矢で射られて死亡した。
21日の現地警察発表によると、死亡したのは27歳のジョン・チャウ(John Chau)さん。チャウさんは地元漁民に金銭を払って船に同乗。外界との接触を完全に断った先住民たちが暮らす北センチネル島(North Sentinel Island)へ近づき、さらに1人でカヌーを使って進んだ。だが当局筋がAFPに語ったところによると、チャウさんが島に上陸した途端、その身に矢が降り注いだ。
インド洋に浮かぶ同諸島に住む複数の先住民族に接触することは、独自の生活様式の保護、および疫病対策の観点から禁止されている。ただ規制区域の一部では立ち入りが認められており、チャウさんも同諸島への入境許可を含む観光ビザを持ち、最近数回、同諸島を訪れていた。それでも、北センチネル島から半径5キロ以内への立ち入りは違法とされている。
当局筋によると、チャウさんは11月14日に島への到達を試みたが成功せず、その2日後に準備を十分に整え、途中で小舟を降りて、1人でカヌーに乗って島へ出発。「チャウさんは矢で襲われた後も歩き続けた。また漁師たちは先住民らがチャウさんの首に縄を巻き付け、体を引きずっていくのを目撃した」という。怖くなった漁師たちはその場から逃げ出したが、翌朝戻って海岸でチャウさんの遺体を発見した。
同諸島にはいくつかの先住民族が住んでいる。例えば人口約400人のジャラワ(Jarawa)族は、活動家らによると外界からの訪問者に怯え、現地当局に賄賂を渡して保護を依頼することもある。
しかし、センチネル族のように外界とのあらゆる接触を遮断し、侵入者に敵対的な集団も知られている。150人が住む北センチネル島は、インド海軍さえも立ち入り禁止となっている。》
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間違っているのは殺害されたジョン・アレン・チャウ(26)がただの観光客ではなくて宣教師だったことだ。また殺害に到るまでの経過についても異なった報道がある。
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『HUFFPOST』2018年11月23日配信【北センチネル島とは? 上陸しようとした宣教師殺害。現代社会との接触を拒む「世界最後の秘境」】によると、CNNはアンダマン・ニコバル諸島警察当局のデペンドラ・パサック長官の言葉を以下のように伝えている。
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「チャウさんは現地に住む友人を通して、北センチネル島に連れていってくれる地元漁師を雇った。漁師によると、11月15日に漁師と木製のモーターボートで北センチネル島に向かい、島の沖合い500〜700メートルで停泊した。そこからはチャウさんはカヌーで島に一人で向かったが、部族からの矢で傷を負って帰ってきた。16日に再度、島に向かったが、カヌーを部族に破壊されたため泳いで帰ってきた。11月17日、彼は戻ってこなかった。漁師たちはその後、チャウさんの遺体を部族の人々が引きずっているのを見た」
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ジョン・チャウのトライは宣教師だからこその粘り強い、しかし狙っている者が眼を光らせているわけだから、そのぶん狙われる可能性もとうぜん幾何級数的に増加する危険なものだった。写真で見るジョン・チャウは爽やかな好青年だ。だれからも好かれそうな、きっといいヤツだったに違いない。
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しかし歪みきったワタクシとは一生かけても仲よくなれそうもない。
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宣教師がまだ文明の届かない未開の地に命をかけて踏み込んでゆく。まるで大航海時代の物語だ。それより若干時代は下るが 18世紀のスペイン植民地下の南米・パラナ川上流域(現在のパラグアイ付近)を舞台にした『MISSION』といういい映画もあった。あ、最近では封建時代の日本が舞台の『沈黙 -サイレンス-』(2016)か。
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歪み切ったワタクシは、これまで宣教師たちが世界の各地で先住民に教えを説き、かの地に文明の恩恵をもたらしてきたことが別の一面をもつことを、改めて実感としてわかってきたような気がする。それはまずキリスト教社会の絶対の自己肯定と自負、そこに生じている他に対する「確信の壁」だ。いいじゃない。みんな信じたいものを信じれば。文明の便利なところだけ教えてくれれば。
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そうした宣教師たちの活動の目的について3つの「G」といういい方がある。Glory(栄光) Gold(金) Ground(土地)である。つまり宣教師たちは植民地主義の先兵だったともいえる。たしかにそうだっただろう。
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それが面積は72平方キロ、人口50人〜400人(!!)の小島VS世界みたいな構図になったときにはっきりと見えてきたのである。もちろん大航海時代と植民地主義があっていまの世界ができあがっているわけだけれども、いまさら詮なきことかもしれないけれども、一度時計の針を巻き戻して考えるのも未来を考える上で有益なのではないか? という気持になる。
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「もし人生やり直せるとしたらいくつのときから?」「ブバブバ!!」みたいなものか。
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インド当局が事件捜査とかなんとかで力づくで島に押し入ったりすれば、センチネル人はたちどころに過去の存在になってしまうだろう。そういうことになっていないのは嬉しい。
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センチネル族はインドの法律で守られている。北センチネル島は部族の生活を守るための保護区域となっていて約9キロ以内への進入は禁止されており、またセンチネル人に接触すること自体が違法とされている。であるから今回は逆にジョン・チャウの訪問を手助けした7人の周辺住民が全員逮捕されている。
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ワタクシももしできうることならば、2006年に殺されたカニの密漁者らの遺体を回収をするために近づこうとしたヘリコプターでさえも弓矢を浴びせて追い返した勇敢で誇り高きセンチネル人みたいになりたい。集金人や催促では足りなくてようすを覗きにきた仕事先の姉ちゃんとかを恐怖に引き攣らせてやりたい。
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センチネル人はどうか知らぬがペニスサック装着の正装でお出迎えしてやってもええ。
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あ、そういえばそんなくっだらないオチをつくらなくても、この日本にも北センチネル島みたいな孤立した「家」はきっとたくさんあるのだ、と警鐘を鳴らすスタイルでいけばいいのか。誰も近づかず宣教師もきてくれない、ただひたすら人間が瓦解していくような「家」が。ってかい。なあ。(了)
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