ハズキルーペのCMが話題だ。なんでも「Hazuki Company株式会社」会長の松村賢三(59)が直々に製作の指揮を執っているらしい。おエラいさんがクチを出して成功したまことに稀少な例である。でもって実際に売れているのかいないのかは不明だが、金回りのいい会社なので世間もヨイショしているわけである。↓
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◆『NEWSポストセブン』2018年11月4日配信
【ハズキルーペ会長 CMクリエイターに「見当違いな企画多い」】
《 CM好感度ランキング(CM総合研究所発表、2018年10月後期ランキング)で2位を獲得し、YouTubeの動画再生回数は87万回以上(10月29日現在)。視聴者はもちろん、CM業界関係者からも熱視線を送られるハズキルーペのCMはどのように作られたのか、同社の松村謙三会長(59)がCM以上におもしろい裏話を教えてくれた。
大胆なアイディアで視聴者を驚かせるハズキルーペのCM。渡辺謙出演の第3弾以降は、松村会長自ら制作総指揮を務めている。
「まずは、商品を知ってもらうことが第一。しかし、CMクリエイターは商品を売ることよりも、自分の作品を作ろうとして、見当違いな企画を持ってくることが多いんです。“ミラノの駅から始まって…”とか“お殿様にハズキルーペを献上して…”とか(笑い)。こちらは60秒のCMの宣伝費に100億円かけていますから、1秒2億ですよ。ミラノの風景なんか無駄に見せるくらいなら、自分でやるよ!って」(松村会長、以下「」同)
さらに会長が追求したのは、“また見たくなるCM”作りだ。
「大量に放送しても、飽きずに繰り返し見てもらうためには、細部まで発見のある映像であることが重要です。代理店に任せっきりにすると、安っぽい衣装を持ってきたりしてね(笑い)。スーツも着物も、見る人が見ればわかりますから。“衣装代はおれが払うから、ケチるな”と、徹底的に目を通しています」
その“妥協しない”姿勢は、来春放送予定の新CMでも変わらない。まだ詳細は言えないが、「新たな大物が登場します。音楽にも注目ですよ」と自信満々の笑み。隅々まで見逃さないよう、ハズキルーペを準備して心待ちにしたい。
渡辺謙(59)が登場したCMについてはこう語る。
「謙さん本人が、どんなCMにすべきか考えてくれて、提案されたテーマが“怒り”だったんです。“予定表の文字が小さくて読めない”など、謙さんが日ごろ抱えている“怒り”がA4用紙に手書きで書かれていた。こんなこと前代未聞だとみんな驚きましたよ」。その後、渡辺の提案をもとに、CMでのセリフはすべて松村会長が考案した。
武井咲の復帰作となったCMは、『黒革の手帖』(テレビ朝日系)の大ファンという松村会長が武井に出演をオファー。
「出産直後の武井さんが、まさか受けてくれるとは予想外で。やるなら『黒革の手帖』以外、考えられなかった。“ドラマの再現なんてありえない”と反対も多かったですが、オスカーの社長がテレビ朝日の説得までしてくれて。ありがたい話です」。
「小さくて見えない!」と小泉孝太郎(40)がおしぼりを投げて渡辺のものまねをするシーンでの、「謙さんには内緒だよ」というセリフは小泉のアドリブで生まれたという。
武井の事務所の先輩、菊川怜(40)もCMに出演している。
「彼女のスタイルのよさを生かせる衣装をこちらから希望し、菊川さんがスタイリストと相談して選んでくれました」
ショートパンツはディオール、革ジャンはNYのブランド、ザ ロウのものだ。》
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途中で切れているけれどもネット上の記事はここまで。
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あーん!! 「60秒のCMの宣伝費に100億円」だってー!! と貧乏人はまず金の話に反応する。こりやまったどーじゃろかい。大きく出たものだ。昭和の無責任男・植木等(享年80)の匂いがする。これでは『週刊文春』に語ったという渡辺謙(59)2億円、菊川怜(40)7500万円、館ひろし(68)8000万円、武井咲(24)7800万円という高額ギャラもいささか割り引いて受け取らねばならぬ。
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しかしこうして通常は公開しないCM出演ギャラをペラペラ喋ってしまうところはやはり素人。もう代理店の立場がガンガンガシガシ容赦なく音を立てて削られている。いい気味である。
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とはいえこれも「世の中の文字は小さすぎて読めなーい!!」渡辺謙にとっては思わぬ援護射撃、公開されてかえって得をしたであろうとワタクシは思う。
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2億円と聞くまでは、あの渡辺謙がねー、来年公開予定のたぶん素晴しいに違いない『Godzilla: King of the Monsters』にも出演しているハリウッド俳優がねー、こんなチープなコマーシャルに出るなんてねー、やっぱり慰謝料タダとかいってもいろいろ毟られたのかもしれないしねー、大坂の嬢と再々婚するにも金いるしねー、とブツブツいっていたのが、さすが大スター!! のほうへ少しもち直したのである。慰謝料タダというのも酷いいい方だが。
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会長松村謙三のCMクリエイター批判、代理店批判はよくわかる。ここでもいわれているけれども今日びCMクリエイターに作家性など誰も求めていない。好感度なども二の次。資本を投下したなら必ず回収し利益に結びつけなければならない。その意味ではハイパー資本主義とかなんとかいってもただの原始的な資本主義なわけで、逆によくこれまでごく一部だけとはいえ企業を丸め込んできたものだとワタクシは感心する。
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でもって、それなんぼや? なににいいねん? なんの役に立つねん? という商人精神にもとづいてつくられたハズキルーペのCM、たしかに商品の特長をよく伝えている。その特長とはこんなものだ(↓)。
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・文字が拡大して見られる
・頑丈
・日本製
・男も女も使える
・場所を選ばずおしゃれ
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ただし商品のデザインがあまりにダサいので、「男も女も使える」「場所を選ばずおしゃれ」といわれてもおおかたのみなさまは尻込みされるであろう。渡辺謙が出てくる前のバージョン、宝田明(84)、石坂浩二(77)、長谷川初範(63)の各バージョンの装着シーンも、お三方とも究極エロジジイにしか見えなかったし。
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ともあれ会長のマツケン(松村謙三)は、自らの言葉通り、これら商品の特長を「ショップジャパン」のテレビ通販番組ギリギリのところまで詰めて訴求している。だからCM全体としてはどうしても安っぽいイメージになる。製品名だけなら氷川きよし(41)なんかが出てきて「ハァ〜ア、ズキ・ズキ・ズキ!!」とでも歌ってくれればいいのだけれど。アレで「大きく見える!!」などと迫られたら怖いで。
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「飽きずに繰り返し見てもらうためには、細部まで発見のある映像であることが重要」という発言は重要だ。重要が重要。よくわかっていらっしゃる。ドラマよりドキュメントのほうがなんとなく見せられてしまうのもそのため。この記事でワタクシが金の話の次に注目したところだ。しかし付け加えさせていただければ、その「細部まで」が画面上だけに留まっているところが残念ではある。たとえば「小さすぎて読めなーい!!」と渡辺謙が投げ出す書類が実は離婚届だった、みたいな後日談を忍びに命じてコツコツ地味にでっちあげるとかしていただければもっとよかったのに。
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さて、こんなマツケンとはいったいどんな人物なのかというと、証券会社勤務からスタートして、いまや連結決算で870億円を売り上げる「プリヴェ企業再生グループ」代表で会長兼CEOである。ま、積極的に経営にクチを出す投資ファンドの人だ。このまま調子に乗せると第二のZOZO前澤友作みたいに化ける可能性もあるのでマスコミ各位はぜひ、ぜひ頑張っていただきたい。
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しかしとはいってもCM制作者としてはやはり素人。なにしろパロディしかつくったことがない。武井咲が出てきたバージョンは『黒革の手帖』、渡辺謙のほうの大元は『TED』だ。『TED』はたしか2015年の『FNS27時間テレビ』(フジテレビ)が無断でギャグにして局を震え上がらせた経緯がある(「超人気お笑い芸人 本気のプレゼン大会」)。なのであまり堂々とは語られていない。
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換骨奪胎、縦のものを横にする、右から左に動かす。パロディとはなるほど投資家の感性らしい。しかしなんだかんだいってもそのパロディと0から1をつくり出すこととでは創造性においておおいに違いがある。CM製作者としてもっとやりたいというなら、ここからが本番だ。
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ダブルマツケンなんて出てきたら軽蔑する。(了)
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