秋深し。この時分になるといつも思い出すのがイソップの『アリとキリギリス』、そして4代目桂米團治(1896-1951・享年55)が弟子の3代目桂米朝(享年89)に語った「芸人になった以上、末路哀れは覚悟の前やで」という言葉である。う〜!! 寒い。
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しかもこちらときたら芸人にもなっていない塵芥のごとき身なのに「末路哀れ」だけははっきり見えはじめている。こんなときにはつまらぬこととは知りつつ、ついひとときの慰めに同類を探してしまうものだ。おった!!(by水木しげる)。↓
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◆『FRIDAYデジタル』2018年11月5日配信
【「余命宣告」を受けた織田無道が「超能力セミナー」に通っていた!】
《 かつて「霊能者」として一世風靡した男が通うセミナーの中身
病状を赤裸々に明かす織田無道。近年は住職をしながら、魚などの養殖ビジネスで生計を立てていたという
10月20日夜6時、東京・品川区の会議室では、『日本沈没・最後の審判』と銘打たれた「超能力セミナー」が開かれていた。講師である"超能力者"高山右近大夫長房氏が、「地球は滅亡が始まっています。2023年の8月には大地震が来る」と語ると、50人ほどの参加者たちはうなずきながら聞き入っている。
そんななかに一人、一際熱心にメモを取る坊主頭の男性の姿が。強面(こわもて)にゴツゴツしたネックレスをつけ、手首には数珠……’90年代に一世を風靡した"霊能者"織田無道(むどう)(66)その人だ。
織田無道は、’02年に宗教法人の乗っ取りを図り虚偽の登記変更を行ったとして逮捕。以来、メディアからは姿を消していた。その男が、いったいここで何をしているのか。
「実は織田さんは、末期がんなんです。高山先生の超能力の噂を聞きつけ、『どうしてもお話を聴講したい』と、セミナーに参加を申し込んできた。高山先生はがんの治癒にも精通していて、多くの有名人に施術をした経験がありますからね」(セミナー関係者)
講義の途中には、講師の高山氏が最前列で聞き入っていた織田無道をサプライズ登壇させる場面もあった。突然の織田無道に驚く参加者たちを前に、彼はこう語った。
「3つの大学病院でステージ4の末期がんと言われています。直腸、大腸、肺、胃と転移している。医者からも『2年は生きられない』と言われています。手術をしても1年伸びる程度で無駄だと言われました」
ただ、がんに侵されてはいるものの、かつてテレビを賑わせたトーク力は健在。織田無道はさらにこう続け、爆笑をさそった。
「私はごまかしの世界の連中をたくさん見てきましたが、高山先生みたいな本物は初めてです。私もテレビでいっぱい馬鹿をやってきましたが、テレビはストーリーがあるからダメ。テレビに出ている超能力者をすごいと思うのは、(時間の)無駄です(笑)」
セミナーは約2時間で終了。本誌は外に出た織田無道に声をかけた。
――具合はどうですか。
「もうダメです。最近は体温を上げなければいけないということで週に5回は源泉掛け流しの温泉に通っています。それまでは35.2℃とかが平熱でしたが、おかげさまで36.5℃ぐらいまで上がりました」
――セミナーは役に立ちましたか。
「本物の超能力を持った方ですからね。すごいなと思いましたよ。私は所詮坊主で、そもそもレールが違いますから」
最後に、記者はどうしても気になる質問をぶつけた。「自分の霊能力で自分を治すことはできないんですか」。すると織田無道は、少し黙った後、こう語った。
「他の人のは出来ます。でも、自分のを見るのはやっぱり嫌じゃないですか……」
かつて"霊能者"を自称した男はいま、自身に巣くう病魔と超能力で懸命に闘っている。》
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「外道、非道、織田無道」、2004年に「モッツ出版」から出た告白本のタイトルのアタマである。このあと「天下無敵のピカレスク」と続く。本人も「僧侶の禁忌はすべて破った」と語っていたらしいからそうとうブヒブヒいわせていたのであろう。ブイブイか。全盛期は1980年代から90年代。
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しかしランボルギーニ・カウンタック・ウォルター・ウルフも所有したりしてわが世の春を謳歌していた織田無道にも秋は足早に忍び寄る。決定的だったのは2002年に宗教法人の乗っ取りを図り、虚偽の登記を行ったとして、公正証書原本不実記載・同行使の容疑で逮捕され懲役2年6ヵ月・執行猶予4年の有罪判決を受けたことであろう。
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2007年には代々木第二体育館にて「無道Spirit」なる格闘技イベントを開催したものの、しかしその後の東京ドーム、大阪ドーム、さいたまスーパーアリーナ、全日空ホテルでの開催、さらに上海大会、台湾大会、ラスベガスでの1ヵ月連続公演の予定はすべて不履行になっている。
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でもって
《イベント開催に際し「旧皇族の東久邇宮家が所有し、私が換金を任されている」という米100万ドル札(米政府は100万ドル札を発行していない)の束をイギリスの銀行に数百億円に換金しに行ったことが同行した関係者より「週刊新潮」で証言された》※Wikipedia
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はっきり申し上げて僧侶というより山師である。その後沈黙を続け2014年には再びマスコミに登場してインタビューに応じているけれども、そのなかにふつうではないやり方で魚の養殖をしていてクルマエビなどは45cmもの大きさになるというお話があった(『日刊ゲンダイDIGITAL』2014年3月3日配信【“昭和の怪僧”織田無道さんは今も現役、養殖ビジネスも】)。これが今回の記事にもある「魚などの養殖ビジネス」なのであろう。たぶん。しかし実態はないらしい。
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しかしよくわからないのはインチキ"霊能者"であった織田無道が「地球は滅亡が始まっています」と語る"超能力者"にコロリと手なずけられていることである。霊能力だの超能力だのはまやかしだと否定しているからこそ、それで人を欺けたのではないのか? 実際にそんなものがあると信じているならとても怖くて騙ることなどできなかったのではないか?
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まあ、人間はそのときそのときで都合よく立ち回るものである。西村知美(47)がテレビで「あ、ほらあそこに顔が!! 鼻の穴まで見える〜」と指差したトンネルの天井に、いくら目を凝らしても鼻の穴どころかシミュラクラ(3つの点が人間の顔に見えるようにプログラムされているという脳の働き)すら見つけられなかったワタクシには喜劇にしか見えない。
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織田無道、あまりに無邪気である。「体温を上げなければいけない」というけれども、そして一般にも“温活”がブームだそうだけれども「平熱が0.149度高いと1年間の死亡率が8.4%高くなるという結果が出た」という報告もあるのだ(『BMJ』2017年12月13日公開【平熱の個人差 患者記録の長期大規模データ分析】)。藁をも掴む気持なのだろうな、きっと。「この者に宿る邪悪なる魂よ!! 出ていけ!!」(by織田無道)
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と、いうことでキリギリスの憂鬱、芸人の哀れは無事に慰撫されたのである。今回は最後までフォローもないのである。なんだかほかにもいろいろ考えなければならない大切なことがあるような気がするけれども、とりあえず織田無道ありがとう。むかしより役に立つようになったね。(了)
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