セラ・スー(Selah Sue・28)というベルギー出身のシンガー&ソングライターがいる。恥ずかしながら私は昨日(2017年8月13日)になってようやく彼女を発見した。歌が上手なのはもちろん、しかしその前に声質に圧倒される。とりあえず聴いていただくしかない。
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聴くのならぜひギター1本で唄っている初期のYouTubeを見ていただきたい。CDデビューした2011年以前の作品が間違いない。彼女自身がしばしぱ口にしているローリン・ヒル(Lauryn Hill・42)やエイミー・ワインハウス(Amy Winehouse・享年27)を彷彿とさせながらも、セラ・スーの世界をしっかり聴かせてくれる。
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なぜCDデビュー以前なのかというと、それ以降はオーバー・プロデュースが目立つからだ。高校時代に自作自演の音楽をMySpaceに投稿しはじめたセラ・スーの才能は早くから注目されていたので、すばしっこいプロデューサーやミュージシャンたちがボクもワタシも、となったのであろう。ミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello・48)も1曲プロデュースしている。みんなで小分けにしてプロデュース。
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セラ・スーの魅力はそれでもまだ十分生きている。生きているけれども、長い髪を無造作風にアップしてバリバリのアイシャドーを入れた、さもさもエイミー・ワインハウスのエピゴーネン(Epigonen、模倣者、亜流)でございますといわんばかりのお姿を見せつけられると悲しくなる。
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ザ・ナック(The Knack・1978〜)という4人組のバンドをご存じであろうか? デビューアルバム「ゲット・ザ・ナック(Get the Knack)」、シングル「マイ・シャローナ(My Sharona)」を大ヒットさせてザ・ビートルズの再来とまで褒めそやされたものの、その後はこれまた寄ってたかってのオーバー・プロデュース祭りになり、典型的な一発屋(not 一発野郎)の道をたどってしまったのである。
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ザ・ナックのギターとボーカルを担当していたダグ・ファイガー(Doug Fieger)は2010年、57歳で脳腫瘍と肺癌で亡くなり、シャローナはロサンゼルスで不動産の仲介をしているらしい。爆報!
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そんなことをぼんやり考えているうち、日本ではオーバー・プロデュースという言葉はあまり聞かないなあ、と、むかしロック・バンドのデビュー盤で何回かそんなことあったかなあ、と、たとえば加藤和彦(享年62)がやった「ルージュ」とか、と、と、と、と思い至った。
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日本に“オーバー・プロデュース”が存在しないのは、プロデュースする素材がないからである。ふつう一般的に考えると、たとえばセラ・スーのようにアマチュア活動で才能や資質が見いだされ、デビューするにあたってプロデュースという作業が加わることになる。そしてマーケティングを含めコンセプトのブラッシュアップからスタジオでのエンジニアリングまで全般にわたってサポートされる。
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これに対して日本の場合の“プロデュース”を考えると、もっともっと前の段階、「どうやら才能・資質があるらしい」ところからはじまるのである。欧米の感覚でいえばプロデュースするもの=素材がなにもない状態からプロデュースしていくのである。
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いいかえれば“オーバー・プロデュース”の問題の前に、シンガーならシンガーの実体を探ろうとすると、あららら“プロデュース”しかない!! という現実があるのである。
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そう、“育成方式”である。これでほんとうに人の心を打つ歌や芝居が世に送り出せるのかといえばはなはだ心もとない。それはさておき、育てプロデュースしたプロダクションには、タレントは自分たちの“作品”であるという斉藤由貴(50)のダブル不倫の相手みたいな認識が生まれる。
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オレたちワタシたちがいなければ芸能人のお前は存在していないんだよ、というわけで“奴隷契約”問題の土壌ができる。こうした“育成方式”は、結局、タレントにも、観客である私たちにもプラスにはならない。その一方でプロダクションの業界内発言力は強まっていくのである。
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状況を改善するのは簡単だ。“奴隷契約”を禁止すればいい。所属するタレントが申し出た契約解除を、プロダクションは基本的に拒否できないようにしてしまえぱいいのである。プロダクションがマネージした仕事、継続中の仕事についてはその案件ごとに対応を話し合えばいい。
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そうすれぱ“育成方式”はまったく割が合わなくて成り立たなくなる。現状でもプロダクションは割が合わない、割が合わないとボヤいているのであるから、そんなポンコツなビジネス・モデルは早よ捨ててしまえばいいのである。
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自費でレッスンはたいへん? だから金がない素人はたいへん? いやいやそこを突き破って出てくるのが才能であり、クリエイティブであろう。制約があればその制約を逆手にとった表現が必ず出てくる。
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まあ、契約解除を拒否できないとなれば、現状のプロダクションのほとんどはやっていけなくなるであろう。冷たいかもしれないけれども、それが時代の流れというもんす。プロダクションは潰れ、マネジメント会社、エージェンシーが主流になるときがくるのである。と思う。
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プロダクションとのトラブルに巻き込まれたタレントをいつものように指を使って数えてみると、千眼美子(清水富美加・22)、のん(能年玲奈・24)、ローラ(27)、小池栄子(36)、西山茉希(31)、……。きっとこのほかにも大勢いるに違いないのである。
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芸能界における不公正な契約などについて調査をすすめている、といわれる公正取引委員会にはぜひ頑張っていただきたいものである。テレビ局もいつまでもそのときどきのくだらなーい“オトナの事情”に追従してやっていけると思ったら大きな間違いである。
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お話は替わる。昨日エントリーした怪談話は、実は“私”も“女”も最初からこの世のものではない、死んでいるという設定&オチだったのであるけれどもおわかりいただけたであろうか? 文章がおかしいところが何ヵ所もあり、自信はないけれどもご感想なり聞かせていただければ幸いでござる。(了)
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