人がひとり亡くなっていて、事情としてまだよくわからない部分もあるので軽率なことはいえない。しかしいろいろと考えさせられる。『NEWSポストセブン』(2017年8月9日配信)の抜粋を、まずご覧いただきたい。
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【上原多香子 自死した夫の遺書公開で「俳優との不倫」発覚】
2014年に自死したヒップホップグループ「ET-KING」のTENNさん(享年35)が妻・上原多香子(34才)に宛てて書いた遺書の存在が明らかになった。そこには上原の不倫をにおわせる内容が書かれていた──。
「このままずっと話さへんつもりでした。でも、この夏で兄がこの世を去ってから丸3年。三回忌を過ぎていろんな弔いの行事が一段落しても、残された家族の悲しみが癒えることはありませんでした。母は、夜も眠れず痩せてしまいました。これ以上、家族だけでは抱えきれないんです」
2014年9月25日に自ら命を絶ったTENNさん(本名・森脇隆宏さん)の弟・義宏さん(仮名)はそう話すと、1枚の写真を取り出した。写っていたのは、TENNさんから家族、メンバー、ファン、そして妻である上原へ宛てた遺書だった。
几帳面な字体で、感謝の言葉と、先立つことへの謝罪の言葉が並ぶ。だが、さらに読み進めると、目を疑う内容が綴られていた。
《多香子へ/ありがとう そして さようなら/子供が出来ない体でごめんね/本当に本当にごめんなさい。/幸せだった分だけ、未来が怖いから 何も無さそうだから/許してください。/僕の分まで幸せになってください。/きっと阿部力となら乗りこえられると思います。/次は裏切ったらあかんよ。お酒は少しひかえないとあかんよ。/嘘はついたらあかんよ。/多分、僕の事を恨むでしょう? でもいつかは許してくださいね/最後はいろいろと重荷になるけど…ごめんなさい。/これが、未来を考えた時の僕のベストです。ワガママを許してください。/いつか忘れる日が来るよ。きっと大丈夫 今から大変だろうけど/がんばって トントンとお幸せに/車は開けないで 警察を呼んでください。》
〈— 略 —〉
本誌・女性セブンは今年の8月上旬、大阪の実家をたずねた。そこで、弟の森脇義宏さんは重い口を開いた。
「遺書を見て、自殺の理由が多香子さんにあることはすぐにわかりました。でも、葬儀の準備や、静かに見送ってあげたいという思いしかなく、自分たちの心だけに留めようとなったんです。遺書にはぼくたち家族に向けて《あまり多香子を責めないでやってください》という最後の願いが書かれてましたし、母も “森脇家に嫁にきたんやから、最後まで守ってやらなあかん”って。遺書は多香子さんやET-KING関係者のほか、すぐに駆けつけてくれた今井絵理子さん(33才)も読みました」
TENNさんの自死直後、母・和子さん(仮名)は知人にこう漏らしていた。
「多香子が“喪主の言葉言えるかな”って言うから“それはあんたの義務やで”って。“立派な言葉やそんなもんはいらんから、森脇隆宏の妻としてきちんと見送ってやって”って言うてん。グっと堪えるときはあったけど、よう最後まで泣かずにきちんと話せてましたよ」
当時のその言葉からは、遺書に綴られた真実は微塵も感じられなかったが、家族の苦悩は深かった。2014年10月22日、最初の月命日を前にして、上原と両親はTENNさんの遺骨を分骨。その際、上原から和子さんにTENNさんのスマホが手渡された。
「月命日当日、両親と多香子さんの3人で兄の好物だったすき焼きを食べに行ったそうです。その翌日、“思い出の写真も入ってるやろう”と、母が兄のスマホを覗いたんです。そこには、多香子さんとある男性とのLINEのやりとりやふたりの写真などが保存されていました。多香子さんのスマホを見てしまった兄が、その画面を撮影したようでした」(義宏さん)
ある男性とは、TENNさんの遺書に名前のあった阿部力(35才)のことだ。中国出身の俳優で、17才のときに帰化。大ヒットドラマ『花より男子』(TBS系、2005年)で松本潤(33才)、小栗旬(34才)、松田翔太(31才)とともにイケメン4人衆の一角、美作あきらを演じて人気を博し、現在は日本、中国で活動している。遺書にあった「トントン」とは、阿部の中国名・李冬冬(リ・ドンドン)にちなんだ愛称だ。
上原と阿部は、TENNさんが自殺する直前の、2014年7~9月に全国6か所で公演が行われた舞台『夕-ゆう-』で共演していた。
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たいへん酷いお話である。そしてたぶん以下の疑問もその「酷さ」に繋がっていくのであろう。
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なぜご遺族はいまになって遺書を公開したのか? この記事でそれについてふれているのはTENNの弟の「これ以上、家族だけでは抱えきれないんです」という言葉だけである。
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あまりに悲しくて辛いので、苦しいこの心のたけを世間の人々にも知ってもらいたい、ということであろうか? それとも逆に外からなんらかの働きかけがあって事実を公表せざるを得ないと判断した、ということであろうか?
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“外からの働きかけ”で想像されるのは、自殺についていまだに誹謗中傷が続いていたのかもしれない、というくらいである。また、遺書の存在を知っていたのは「ET-KING関係者のほか、すぐに駆けつけてくれた今井絵理子さん」というごく限られた人間であるから、彼らがなにかを働きかけたということも考えにくい。
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ET-KING関係者はまだしも、なぜ今井絵理子にまで遺書を見せたのか不思議といえば不思議であるけれども、ここからも新しい道筋は見いだせないであろう。やはり遺書の発表については、あまりに悲しくて辛いので、苦しいこの心のたけを世間の人々にも知ってもらいたい、と考えられたのであろう、と思う。
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ここから先の文章で誰のことも批判するつもりはない。これから書くことは私と、ここに登場されるみなさんとの違いについてである。もちろん私のほうが正しいなどというつもりもまったくない。みなさん一生懸命生きておられる。
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「このままずっと話さへんつもりでした。でも、この夏で兄がこの世を去ってから丸3年。三回忌を過ぎていろんな弔いの行事が一段落しても、残された家族の悲しみが癒えることはありませんでした。母は、夜も眠れず痩せてしまいました。これ以上、家族だけでは抱えきれないんです」
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「これ以上、家族だけでは抱えきれないんです」に到る談話の全体である。“夜も眠れず痩せていく母”の胸のうちには、それは決して明かされないけれども、どうしても息子を裏切った上原多香子への恨みがある。ないほうがおかしいと私は思う。
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しかしそれでも我慢に我慢を重ね、遺書の存在も外部に隠してきたのであろう。そしてその我慢もついに限界にきた、ということだと推測する。このままではどうにもやりきれない。悪い感情ばかりが膨らみ続ける。遺書は「家族、メンバー、ファン、そして妻である上原へ宛て」たものであったのだし。そこを咎める権利は誰にもない。
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いったん公にされた遺書はTENNの死と同様に取り消すことができない。それは上原多香子を永遠に責め続けるであろう。取り返しがつかない。
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遡ってみよう。遺書を書いたTENNの気持も理解できる。自分の行動を理解してもらいたい気持は誰にでもある。
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しかし私なら書かない。これをただ妻宛にも書かないし、ましてや「家族、メンバー、ファン、そして妻である上原へ宛て」には書かない。わたしはたぶんTENNやその家族よりも酷く薄情なのである。
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私は神も仏も信じないし、魂が肉体をもたず自立して存在するというようなことも信じていない。人は死ねば闇に還る。人は信じる通りに死ぬ。ただそれだけのことなのである。だから死について思い煩うことはあまりないし、できるだけなんの痕跡も遺したくない。そして濃密な人間関係は苦手である。
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なにをモゴモゴわけのわからぬことを、かもしれないけれども、ここまでが限界である。TENNのご冥福とET-KINGのリーダー・いときん(38)の快癒を心からお祈りする。(了)
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