海外メディアが日本の人口減少の原因をアレコレ詮索してくれている、という記事があった。大きなお世話である。それに外国人にいわれたことに一喜一憂するナイーヴな心も残念ながらもち合わせていない。
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素通りをしようとしてふとまたロクでもない考えが閃いた。人口減少の原因を詮索するということはすなわち日本の夫婦、カップルの寝室を覗くようなものではないのか? と。
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もちろんこれには今井絵理子(33)と橋本健(37)の「一線」発言が心理的伏線になっているのである。間違いない(by長井秀和)。
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外国のみなさんほんとうにわかっていらっしゃるのであろうか? 日本人は視線を絡めるだけでそうとう完結できる、みたいな、ホテルに2泊してもなにもない、みたーいなことがもしあったとしてもわからないだろ? なのに人口減少の原因を考察してくれようなどとは身のほど知らず、僭越至極ではないか。
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では、私なりの「日本の夜の秘密」の真実を公開する前に、ざっくりその記事に目を通してみよう。
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【日本の人口減少は「男女不平等」、「奇妙な性文化」のせい? 海外の見方とは】
《日本の人口減少に歯止めがかからない。豪メディア『news.com.au』は、2045年には毎年90万人規模の減少ペースに達すると報じ、「これは毎年(豪首都)キャンベラに相当する都市2つ分の人口が消えてゆくに等しい」と、状況の深刻さを強調する。
◆ サラリーマン文化の崩壊に加え、男女不平等が問題を加速
英インデペンデント紙が原因と見るのは、サラリーマン文化の崩壊だ。長年にわたり、日本は一つの会社で生涯働き続ける国と見られてきた。しかし近年では非正規雇用が増加し、所得の低下が結婚と出産を阻害していると報じる。30代前半までに結婚している割合は正規雇用者では56%に達するのに対し、非正規では30%と約半分の水準に留まる。
一方、米アトランティック誌は不安定な経済状況に加え、日本での男女不平等が事態を悪化させていると見る。男性が家庭を支えるという概念が日本では未だ根強く、それが低収入層の男性の結婚を阻んでいるとの見方だ。「男性が一家の稼ぎ手となることに相当な重きを置く文化では………」との表現からは、男女平等の理念の実現が進む欧米に比べ、未だ強い固定観念が残る日本の価値観に対する疑問が見え隠れする。
◆ 日本の性文化がセックスレスを招いているとの指摘も
英BBCが注目するのは、日本のユニークな性文化だ。18歳から34歳の日本人のうち、実に4割を超える人々に性交渉の経験がないというデータを挙げ、ラブホテル発祥の国としては奇妙だと論じる。また、同メディアでは、傷つきたくないため実在の女性よりアニメを選んでしまうという声を紹介している。アニメ大国として名を馳せる日本だけに、人口問題の一端にはアニメがあると結びつけられているようだ。
同記事には豪メディア『news.com.au』も注目しており、出生数が100万人を切った日本にとっては深刻な問題だと見る。使用済み下着の販売機があることに触れるなど、直接的な性交渉ではなく間接的に欲求を満たす国としての見方が伺える。こうした独自の性の価値観が少子化に繋がっているとの議論もあるようだ。
◆ 解決には労働環境の改善や移民政策が有効とも
〈— 略 —〉 》
(※「NewSphere」2017年7月31日配信)
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うむ。書かれていることはその通り、おっしゃる通りである。ただし小見出しには疑問がある。「サラリーマン文化の崩壊」は単刀直入に「非正規雇用の増加」、「日本の性文化が」は「消費優先の志向とピーターパン化・ウエンディ化が」に、それぞれ置き換えていただきたい。
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そしてこの記事では未婚とセックスレスだけが少子化の原因のように書かれているけれども、もうひとつ「産まない選択」があることを忘れてはいけない。避妊と人工妊娠中絶である。人工妊娠中絶は、公的には年間約18万件と報告されている(厚生労働省「平成26年度衛生行政報告例」)。
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総人口約1億3000万人に対して18万件という数字は先進国のなかでむしろ少ないほうであるけれども、オモテには出てこない違法な手段での中絶も多く、実際には公的な記録の2〜3倍にもなるともいわれている。看過できない数字である。
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「産まない選択」は、いうまでもなくその経済的要因をつくりだしている「非正規雇用の拡大」と密接に結びついている。さらにこれに「消費優先の志向」が加わる。もう1人子どもを産むかそれともクルマを買うか、うーん、クルマにしよう」みたいなことである。
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「消費優先の志向」はすなわちマーケティングに煽られ取り込まれ、いつもいつも欲求を肥大化させている状態である。アレが欲しいアソコに行きたいアレも食べたい。しかしそれぞれに自由になる金額などタカが知れているので、そのイメージ上の“豊かさ”と現実の“貧しさ”とは大きく乖離することになる。
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結婚はそうした“貧しさ”に拍車をかけるだけであり、そのためにほどなく愛情も冷めてしまうであろうと予測する。あるいはこんなに“貧しい”のだから結婚できない、と決めつけてしまう。こうして経済は幾重にも日本の子づくりを締めつけているのである。
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イメージ上の“豊かさ”と現実の“貧しさ”の乖離は、現実からの逃避あるいは現実の軽視という態度をもたらす。それは極限まで美化された異性のイメージをつくりあげ、ますます想像の世界に没入させる。で、アタマのなかに、たとえば童顔・巨乳・アニメ声の美熟女、みたいなバケモノが跋扈したりするのである。
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ところで、少々ブスが混じっているけれども全体的には可愛い現実の女と、完璧に整ったイメージ上の美女とは、男の選択肢として完全に同一のスタートラインに立っているのであろうか? 片やいささかの瑕疵物件ではあるけれども現実、片や完璧ではあるけれども想像の産物。
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そりゃあんた、ホンモノの女がいいのに決まっているではないか。付き合いはじめてみればアバタもエクボ、世界でただ1人の女の子とかなんとかになるのに決まっているのである。どんなブスでもブオトコでも。
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まずは最初に“貧しさ”が異性や恋愛を遠ざけ、孤独になった男や女はイメージの世界に踏み込むのである。うむ。だって見てご覧なさいよ、お金持はバンバンやってるでしょ。お金持ちでアニメだけで満足している人っていないでしょ?
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であるからつまり、人口減少はただひたすらに経済の問題なのである。もう少していねいにいうと、あまりに急で激しい格差社会、階級社会の成立に大衆のほうがなれていないから起こる現象なのである。下層は下層同士で仲よくやろうぜ、と割り切るにはまだいたっていない。
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でもってなけなしの給料まで過剰なマーケティングで掠め取られていくんだぜ兄弟。まったく惨めなもんだ。酒でも飲まなきゃやってらんねえぜ。
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苛烈な階級社会になったという現実を受け容れられない個人の内面はどうなるかというと、これが懐かしいピーターパン・シンドロームあるいはウエンディ・シンドロームでしょ、と思うのである。
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「ピーターパン」とはオトナの年齢に達しているのに人間的に未熟でナルシズムに走る傾向を持っており、「自己中心的」・「無責任」・「反抗的」・「依存的」・「怒り易い」・「ずる賢い」(Wikipediaより)。
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ウエンディはそんなピーターパンがいつかなんとかしてくれると思いつつ、ピーターパンのふがいなさに癇癪を起こし、責め立て、しかし決して自分で道を切り拓こうとはしないのである。
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現実は理解できないほど苛酷なので、ピーターパンとウエンディはフワフワと空中を漂うしかない。たぶんあと1、2世代のうちに階級社会が定着して落ち着くのであろうとは思うけれども。
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「日本の夜の秘密」は、社会構造の急激な変化とそれに対応できていない大衆の意識の葛藤なのである。そして葛藤に負けた大多数は空想の世界に逃げ込んでいるのである。
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女優だとかタレントだとかが結婚するたび「結局は金かよ」と吐き捨てる男たちもまた金の縛りからは逃れられていないのである。で、少子化対策? さんきゅうパパ? ザケンのもいーかげんにしておくれ、である。オレたち家畜じゃねーんだ。もうここまできたら社会革命を起こしちゃうしかないぜ、兄弟。
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平成の男よこせ・女よこせ騒動である。なかなかいかすぜ兄弟。(了)
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