2017年8月29日火曜日

ジャニーズもレプロもヒヤヒヤで見守る公取委の調査



ときどき不思議なニュースを見かけることがある。内容がない、記事の態をなしていないというもののほかに、いまごろになってなぜにまた? というシロモノもある。そうすると読まされたこちら側としては、そこになにか隠された意図があるのかもしれない、と勘繰りはじめ、あれこれ詮索するをやむなきに到るのである。



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【大手芸能プロを震撼させた独立タレント救済のメス】


《 タレント生命の危機にさらされてきた元SMAPメンバーの稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾。さらには能年玲奈(現在・のん)や清水富美加(現在・千眼美子)らに、一発大逆転のチャンスが訪れるかもしれない。究極のブラック企業体質と揶揄されてきた芸能プロダクションに、ついに司直のメスが入ったのだ。


「7月7日のことです。公正取引委員会(公取委)が突然、ジャニーズ事務所や大手芸能事務所などを対象に聞き取り調査を始めたんです。名目は所属するタレントと事務所の雇用関係をめぐり、独占禁止法に抵触する不公正契約の有無について。プロダクションサイドはビビり上がっている」(芸能記者)

 

別の大手芸能プロダクション幹部が解説する。


「たとえば、事務所と大揉めに揉め、本名でもある能年玲奈という名前を使えない“のん”の場合が分かりやすい。商法上はセーフだが独禁法に照らし合わせると、限りなくグレーになってくる。圧倒的に、力が上のプロダクションサイドが契約書のサインを迫ったからという背景や人格権など、色々な視点から照らし合わせた場合、無効との司法判断が下される可能性が高いんです」(芸能プロ関係者)

 

当然、事務所を辞めたタレントから仕事を奪い取るという芸能界独自の商習慣も通用しなくなるという。
 

「今回の調査を受けて公取委は、早ければ10月、遅くても年内中に勧告を出します。その結果にテレビ局は公取委に追従せざるを得ない」(キー局関係者)

 

今後は、ハリウッドのようにプロダクションを自由に移籍できるようになる可能性が出てきたという。
 

「当然、前事務所で取ったレギュラー番組は、そのまま引き継げる。この自由契約の実施でプロダクションサイドが負う業界全体の損害額はン千億円。逆にタレントサイドのメリットですが、ゴールデン&プライム帯で活躍する芸能人の場合、年収ベースで最低でも2~3000万円、最高で1億円規模の大幅アップが見込めることになります」(芸能事情通)

 

果たして公取委は、芸能界の闇を白日の元にさらけ出すことができるか!? 》

(※「週刊実話NEWS」2017年08月23日配信)


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公正取引委員会が主に独占禁止法にもとづいて芸能プロダクションの調査に取りかかったことはすでに7月7日の段階で知られていたことである。うっかり者の私も直後に親切な読者からの指摘で知った。



それをいまさらなぜ? それを考えるにはまず今回のこの『週刊実話NEWS』の記事ではじめて目にする情報を洗い出せばよい。さっそくそうしよう。



◆ プロダクションサイドはビビり上がっている

◆ のん(能年玲奈・24)とレプロエンタテインメントとのトラブルでは、そもそもの契約が無効と司法判断される可能性が高い

◆ 公正取引委員会は、早ければ10月、遅くても年内中に勧告を出す

◆ プロダクションを自由に移籍できるようになる可能性が出てきた

◆ 自由契約制に移行すれば、現状に比較してプロダクション側は莫大なマイナスを被り、反面タレント側は潤う

◆ 「ジャニーズ事務所」が名指しされた



やはり気になるのは「勧告」が出されることを前提としている点である。この場合で「勧告」といえば、日本音楽事業者協会(音事協)がつくり、多くの芸能プロダクションがヒナ形として採用して「奴隷契約」との悪評も高い「専属芸術家統一契約書」の妥当性についてであろう。



ここが崩されると従来の芸能プロダクション側が一方的に優位に立つ契約は不可能になり、それはさらにプロダクション経営の見直しに直結する。まあ、しかしこのくらいのことはあってあたりまえである。



次に興味深いのはジャニーズ事務所が名指しされている点である。なぜなら公正取引委員会の調査が開始されたことにもっとも敏感に反応しているのがジャニーズ、と見えるからだ。



稲垣吾郎(43)、草彅剛(43)、香取慎吾(40)、9月8日の契約満了をもっての退所が決定しているこの3人に対する処遇が、これまでとはまったく異なっているのである。



これまで通りであれば、ジャニーズに限らず事務所を辞めるタレントの冠番組は、退社前にすべからく完全終了・打ち切りにするのが常識である。さらに冠番組をもっていなかったタレントも含め、退社後も“芸能界の暗黙の掟”だのなんだのと追い討ちをかけて仕事を干すという悪習も常態化している。そしてその最右翼にいるのがジャニーズ事務所と周防郁雄(76)率いるバーニングプロダクション系列の各事務所だといわれてきた。



そのジャニーズ事務所が今回退所していく稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人については、そのレギュラー番組の扱いについてさえ8月に入ってまでほとんど明らかにしていないのである。これはまったく異例のことである。ジャニーズの迷走ぶりが窺えるし、各テレビ局側も相当神経をすり減らしたであろうと推察される。



で、結局どうなったかといえば、香取慎吾の『SmaSTATION!!』(テレビ朝日)が9月末での終了を発表したほかは、厳しく情報管理されているらしく公式発表はされていないものの、同じ香取慎吾の『おじゃMAP!!』(フジテレビ)、草彅剛の『「ぷっ」すま』(テレビ朝日)、稲垣吾郎の『ゴロウ・デラックス』(TBS)と、残るすべてのレギュラー番組が継続するとみられている。



とくに香取慎吾の『おじゃMAP!!』にいたってはイメージ悪化を懸念したジャニーズ事務所側からフジテレビに後押しがあったとまでいわれているのである。(「デイリー新潮」2017年8月15日配信【「香取慎吾」続投、「みのもんた」降板… テレビ秋改編の人生すごろく】)



繰り返すけれども、これは以前ではまったく考えられなかった対応である。こういっては不謹慎かもしれないけれども、ジャニーズ事務所、拍子抜けするほど公権力には弱いらしい。なぜかといえば、おそらくほかにもたくさんのキズがあるからであろう。後ろめたいわけよ、きっと。



ジャニーズ事務所のほかに公正取引委員会の動向を踏まえたと思えるのが、ローラ(27)の所属事務所LIBERAに対するマネジメント契約破棄の要請であろう。すでにローラ側が代理人弁護士を立て、事務所側にマネジメント契約の破棄に向けた協議を求める内容証明郵便を送付したことがわかっている。



LIBERAとの現行の契約期間は2010年7月1日~20年6月末日までの満10年にも及ぶ。それだけではない。さらにLIBERA側が希望すれば2020年から10年間延長できるという途轍もないものである。とうぜんローラ側の要請が認められてしかるべき。例によって陰湿なネガティブキャンペーンが張られるであろうけれども、そんな手のうちはお見通しなので怖れることはない。



そんなこんなで、日本芸能界の変革の予震はこうして確実にはじまっていますよ、ということを『週刊実は』おっと間違いた(by荒木経惟)、『週刊実話NEWS』は語りたかったのではないか。と思う。



公正取引委員会のその後の動きもご紹介しておこう。この8月4日に初の有識者検討会が開かれている。



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【芸能人らの移籍制限議論 公取委が有識者検討会】


《 芸能人やスポーツ選手が移籍・独立する際、所属先との間で独禁法上の問題となる契約や慣習がないかを議論する公正取引委員会の有識者検討会の初会合が4日、開かれた。今後会合を重ね、年度内にも報告書をまとめる見通し。座長は泉水文雄・神戸大大学院教授(経済法)。

公取委によると、検討会では、特定の技能が必要となる職種における契約実態を把握するのが目的。芸能事務所や日本ラグビー協会などを対象に聞き取り調査を始めたほか、フリーランスで働くIT技術者なども検討の対象とする。個別の事案の違法性などを調査する予定はないという。

芸能界では、所属事務所が芸能人と移籍・独立をしにくくする契約を結んでいることがあるとされる。また、スポーツ界でもラグビーのトップリーグで選手が移籍する際、前の所属先から承諾がなければ新チームでの公式戦出場が1年制限される規約がある。

検討会は、契約実態を詳細に分析していくとみられる。会合は非公開。スポーツ庁、厚生労働省、経済産業省の担当者もオブザーバーとして参加した。〔共同〕》

(※「日本経済新聞 電子版」2017年8月4日配信)


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こちらからの報告書も勘案した上で公正取引委員会の見解、場合によっては勧告が出される。待ち遠しいことである。それまでになにが起こるかも楽しみである。最も敏感に反応しているのがジャニーズ事務所、最も旧来からの体制に固執しているのが、社長が日本音楽事業者協会の会長を務めるホリプロ、と念頭において眺めるとわかりやすくおもしろいであろう。



最後に些細なことで申しわけない。『週刊実話NEWS』の記事中「プロダクションサイドはビビり上がっている」とあるけれども、ビビり上がる? なに? 正しくは“ビビりまくる”、または“震え上がる”であろう。ネッチネチと細かくてすまんけれども美は細部に宿るっていうし。(了)






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