2018年12月29日土曜日

辛酸なめ子が語るネット、SNSのオカルト噺



『TOCANA』(2018年12月28日配信)に、【「ネットは霊界と近い、電磁波は霊を呼ぶ」「インフルエンサーは現代の貴族」辛酸なめ子が“意識高い系”に警告! 小説『ヌルラン』出版記念取材】というやたらタイトルの長い記事があった。興味を引くのは「ネットは霊界と近い、電磁波は霊を呼ぶ」の部分だ。



とはいえネットを現実世界とパラレルに存在する「異界」として借定する物語などはすでに無数といっていいほどつくられているだろうし、それが「霊界」だったとしても目新しさはない。



しかし「ネットは霊界と近い、電磁波は霊を呼ぶ」と語られるとき、ネットはただのプラックボックスではなくて、たとえば自然や生き物のように「自律しているなにか」に格上げされたような印象を受ける。記事から該当する部分を抜き出しておこう。



《 ――『ヌルラン』とても面白かったです。主人公のレミはインスタグラマーでスピリチュアルにハマっていくという設定でしたが、スピリチュアルとインターネットには親和性があるのでしょうか?

なめ子 トカナさんもそうですが、インターネットは、情報を広めるのには便利なテクノロジーですよね。

だからですかね、インターネットって、本当に半分霊界みたいな感じがするんですよ。現実と別次元の間みたいな場所で、そこにいろんな人の念が渦巻いていて、そこにはまっちゃっている人がいて……ということを考えると霊界に近いと思います。

だって、実際にネットで怖い話のページを見ると、来ちゃったりする感じがあるじゃないですか。たとえばラップ音が鳴るとか奇妙な現象が起こりますし。なので、ネットの世界には、霊とかも住んでいるんじゃないかと思うんです。》



辛酸なめ子もあまりに辛酸をなめ過ぎてついにこんなところに漂着してしまったか、と深く感じ入るとともに、ついに来るべきものがきた、という印象がある。「なめ子」表記はキノコみたいで可愛いが。



また辛酸なめ子はこういう発言もしている。



《 ――なめこさんもインスタグラムをされているんですよね。

なめ子 やっていたんですが、1月から何も投稿していないです 。

――やめたきっかけというのは、何かあったのですか?

なめ子 私の場合は、クローズドでやっていたんですけれども、 そのほんの数十人のフォロワーたちから「何かコメントでも付けていないかな?」と思ってチェックし始めたんです。そのうち、たった数十人の「いいね」でさえも自分の承認欲求を刺激して、依存症になってしまうような気がしてきたんです。

そうやって、どんどん頻繁にチェックするようになって 、すればするほどインスタグラムにエネルギーをどんどん吸い取られる感覚がしてきて疲れてしまったんです。

Twitter だったり LINE だったり Facebook だったり、いろいろなSNSをチェックしたり、他の人の投稿を見たりしていくうちに、自分の人格がどんどん分散化していく感覚もしますよね。》



さらに辛酸なめ子はこんなことにまで言及している。



《 ――インスタグラムのこういった承認欲求まみれの世界って、たとえば5年後10年後はどうなっているんでしょうかねえ?

なめ子 ツイッターも気がつくともう10年続いていますよね。なので、もしかしたらずっと続いちゃうのかも知れません。

最近の10代や20代の若い子達はカフェに集まっても会話を交わさず、その代りに写真や動画と撮ったり画像を見せ合ったりして楽しそうに笑って楽しんでいます。でも、上の世代から見ると、ちょっと虚しいんじゃないかなと思うんですよね。より視覚を重視するようになっていって、センスは磨かれるかもしれないんですが、ちょっと言語能力とか思考が心配です。

――思考が心配(笑)!

なめ子 そうなんです。この間気づいたのですが、以前はコンビニにたくさんあったはずの「クロスワード雑誌」がなくなっていて 、代わりに「まちがい探し雑誌」が増えていて驚きました。そういうところにも、SNSや視覚優先社会がちょっと現れているのかなと思いました 。

――SNSについては「発信しなきゃ!」という使命感が生じるのも面白いですよね。

なめ子 その使命感は「誰々と仲がいい」といった人間関係をSNSで見せつける行為にも繋がっていくのだと感じます。特に女子のスクールカーストヒエラルキーは大人になっても続いている。大人のイケてる人たちグループによる、“見せつけるようなインスタ”をずっと見ていると「自分が充実していないんじゃないか?」と疎外感や不安や覚えるようになってしまいますよね。誰と仲良くするかなんて見せつけなくてもいいのに、いい年をした大人がいくつになっても仲良しグループ を続けている。そういうところに精神的な未熟さを感じますし、IQ とかも心配ですよね。》



それほど荒唐無稽にも感じられないところが怖い。そもそもワタクシ的に見れば「ネット空間」だの「電脳空間」だの「空間」づけする呼び方からしてなにやら呪術的なのである。ただの電気信号の働きに過ぎないのに。



とはいえ考えてもみれば、もともと日本は八百万の神々がおわしますアニミズム(animism)の国ゆえ、一木一草にも魂が宿り、したがってパソコンにも魂が宿り、なんだかわけのわからないネットにはますます大量に魂が宿ってしまい、ついに「空間」が形づくられてもおかしくはないのだろう。



「スピリチュアルとインターネットには親和性がある」といういいかたにならえば、「日本とインターネット絡みのオカルティズムの親和性は高い」。



霊は川や海など水のある場所に集まりやすい、というむかしからのいい伝えと「ネットは霊界と近い、電磁波は霊を呼ぶ」という話にも通底するものがある。辺境、異界との境のイメージだ。



「本当に半分霊界みたいな感じがするんですよ。現実と別次元の間みたいな場所で、そこにいろんな人の念が渦巻いていて、そこにはまっちゃっている人がいて……」という辛酸なめ子のおもしろがりはしかし、コンピュータに支配される社会へのワンステップかもしれない。



AIを使っての予言や透視などインターネット絡みのオカルティズムが隆盛するのはほとんど時間の問題にさえ思えるし、実際にネットに「霊」らしきものを呼び込むのも簡単だ。



マサチューセッツ工科大学で開発された「Nightmare Machine」は、入力した画像を自動的に完全ホラーな画像につくり変えてしまう。これで処理された人間の顔はほんとうに怖い。そんなものがもしパソコンに溢れんばかりになってしまったらどうする? 逆に天使が現れたらどうする? 両掌を合わせて拝む?



西洋コックリさんのウィジャボード(Ouija board)をネット版にして霊と交流するなどというのも流行るかもしれない。



ゲームレベルに収まっているのならまだいい。たとえばAmazonの子会社「Amazon Web Service」はネットワークサービスのインフラを供給していて、企業向けクラウドサービスでは世界で51.8%のシェアを誇っている。ここが仮にAIを使って人間を支配しようとすれば、それはそれほど難しいことではないだろう。



Amazonの「地球上で最大級の品ぞろえ」に依存し切っている個人や企業はいいなりになるしかない、とかいうお話ではなくて、みんなAmazonのあの不気味なマークみたいな顔になってしまうのである。魂を吸い取られて。そうに違いない。うん。絶対そうだ。(了)




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