2016年12月16日金曜日

現実とファンタジーを往還するアイドル、SMAP



昨日の記事に「SMAPって、オルタナとメジャーを繋ぐような存在だという記事を以前何かで読みました。」ではじまるコメントをいただいた。それを読んでいろいろ考えさせられたので、それを書いてみたい。コメントの冒頭にならえば「SMAPは現実とファンタジーを往還する存在」というようなことである。



本来であればコメント欄に記すべきであろうけれども、たぶん長くなるのでここに書かせていただくことにした。コメントの全体については正しく要約できる自信がない。気になる方はぜひ昨日付のページを当たっていただきたい。勝手ばかりでたいへん恐縮でごわす。



SMAPの功績のひとつとして誰もが指摘するのがアイドル界初のバラエティ進出である。その意味で1996年に放送が開始された『SMAP×SMAP』は日本芸能史上に燦然と輝く記念碑的な番組だといっても過言ではない。なかでも注目しなければならないのは中居正広(44)が演じたよくわけがわからないヤンキーの「マー坊」だと私は思う。兄ちゃんの「ヤン坊」は知らない。



「マー坊」は、いまなら日本エレキテル連合の「ケンとクミ」みたいなものである。「うち、スナックやろう思てんねん」である。「ケンとクミ」が日本エレキテル連合の中野聡子(33)と橋本小雪(32)にとっての地元・関西のしょうもないヤンキーカップルであるように、「マー坊」は中居正広の地元・千葉のしょうもないヤンキー小僧である。



で、中居正広ひいてはSMAPはこの「マー坊」に代表されるさまざまなキャラクターの存在によって現実性というものを確保していたように思うのである。やはりとくに「マー坊」である。前出のコメントにあった「オルタナティブ」とは「マー坊」のことではないかといいたいわけである。



「オルタナティブ」をたとえば前衛だとかアンダーグラウンドだとかと考えては意味が通らない気がする。SMAPがもっとも前衛に接近したのは、前衛から大衆演劇に転向した後の蜷川幸雄(享年80)の芝居に木村拓哉(44)が出演したときであろう(『盲導犬』1989年)。



アイドルはファンタジーの世界の住人である。けれども、ファンタジーは現実の合わせ鏡のようなもので対に現実がなければたいへん存立しにくい。物語の主人公はいつも日常世界から冒険に旅立っていくし、プロスポーツのスタープレイヤーなら、誰でもがその出自や経歴、トレーニングのようす、果ては食事のメニューなどまでも知りたがる。現実にファンタジーがファンタジーだけで成立しているのはディズニーランドくらいのものである。



SMAP以外の日本のアイドルはすべてファンタジーを映し、担保する現実をもたないディズニーランド型のアイドルである。とくにジャニーズ事務所所属のタレントの場合はそれが顕著だ。アイドルの現実にはなるべく目がいかないように配慮されている。しかしこれでははかない。スターの光はいつも弱々しく明滅して安定しない。



「マー坊」に代表される同時代の現実、リアルが、アイドルであるSMAPを強く、血の通った人間的な存在にしたのである。そうしていったんチャネルが開かれれば、以後さまざまな情報の蓄積で存在のリアルさは強化されていく。一挙手一投足に意味が発見され、心のなかでイメージがより鮮明に描かれる。疑似恋愛はより強烈になる。見上げれば恒星のようにいつもキラキラと輝いている。



だからこそSMAPはスケールと深さにおいて別格の“国民的アイドル”になり得たのである。なにしろ存続要望書への署名が約1ヵ月半で37万3515筆も集まるのである。「マー坊」エラい。



「マー坊」、キャラクター的には「ケンとクミ」に近いけれども、ヤンキー小僧を現在の属性に置き換えれば、たとえばドルヲタ(アイドルオタク)ということになる。これを「マー坊」の汚れっぷりで「嵐」の誰かが演れるのかといえば、それはとうていムリムリである。ジュリー景子も泡を吹く。



おお、であるからSMAPはいまのところ芸能界唯一のリアルな、立体的な奥行きをもったアイドルである。ほかのみなさんは現実に着地するところのないディズニーランド型のアイドルである。ファンタジーだけでふわふわと浮いている稀少な存在である。であるからたとえばCMの浸透力、訴求力においてSMAPは群を抜いていたはずである。



うむ。こうして考えると去年から今年にかけての分裂・独立騒動も「現実とファンタジーを往還する」SMAPらしい“しわざ”だと思えてくる。結論からいってしまうと、アイドルの進化の道を独走していたSMAPがついに解散を決めてしまい、同時に現実とファンタジーを往ったりきたりしつつ輝くアイドルの世界の未来が消え失せてしまった、ということである。



そしてまたこの一連のすったもんだがあったからこそ、我々はたとえばジャニーズ事務所の内情をある程度は理解できたし、同時に日本芸能界のプロダクション主導のあり方に揺さぶりがかかりはじめていることにも気付いたのである。それは現実とファンタジーを往還する存在が消えつつあるために、現実、リアルが剥き出しになってきた、現実がファンタジーを超えてしまったということだと思う。



象徴的な出来事にはテレビ朝日の早河洋会長兼CEO(72)の、定例会見(9月27日)での発言があった。『デイリーニュースオンライン』(2016年9月28日配信)から一部抜粋してご紹介しよう。



《記者からSMAP解散騒動に絡めて「事務所の力は大きいのか」と質問が飛ぶと、早河会長は「タレント、アーティストは視聴者の支持がないと活躍できない。事務所が強ければ成功するというものではない」と発言。続けて「視聴者が歌声や演技、パフォーマンスに魅力を感じるのが前提。そういうタレントを多く抱える事務所が客観的に見れば影響力があるように見えるかもしれないが、我々にすればプロダクションはいっぱいあるわけで、その中の優れた俳優をそろえて編成していく」と語った。

この発言で即座にメディア関係者の間では、SMAP解散騒動で「大ボス」として注目を浴びたジャニーズ事務所のメリー喜多川副社長(89)に向けた言葉ではないかと騒然となった。

「テレ朝会長の発言は『ジャニーズも芸能プロのひとつに過ぎない』と断じる言葉。今まではジャニーズの圧倒的な事務所パワーによって、テレビ局はメリー氏の言うがままに平身低頭で従うことしかできませんでしたが、その状況が変わっている証拠と言えます。これを定例会見という局の方針を示す場で語った意味は大きい」(芸能関係者)

さらに早河会長は「事務所の影響力で(テレビ局が)右往左往しているように見られるのは、ちょっと残念」とまで語っており、ジャニーズ何するものぞという勢いだ。》



うむ。ここにアイドルのカリスマが入り込む余地はない。そしてたとえばいまジャニーズ事務所から「ではウチのタレントは出しませんよ」といわれてももうさほど恐くなくなってしまっているのである。SMAPがいるといないとでは大違いなのである。そしてこれがテレビ芸能というもののリアルな姿である。



併行してジャニーズ所属タレントのスキャンダル、ゴシップがマスコミを賑わせるようになった。強烈だったのは9月4日に『東京スポーツ』が報じた【超人気アイドルグループ イケメン3人乱交! 17歳少女妊娠】である。事実はいまだ藪の中ではあるけれども、たしかこの報道の直前にHey!Say!JUMP・山田涼介(23)のCMが突然打ち切られるなどしている。



これまたHey!Say!JUMPの伊野尾慧(26)と明日香キララ(28)のシンガポール密会を書いたのは9月27日発売の『週刊女性』。これより先、吉高由里子(28)と関ジャニ∞・大倉忠義(31)の交際をスクープしたのは7月15日発売の『FRIDAY』。またまたHey! Say! JUMPの中島裕翔(22)と吉田羊(42)の7連泊熱愛をスクープしたのは4月11日発売の『週刊ポスト』である。ああ、伊野尾慧の女子アナウンサー×2交際報道もあった。い、いのお。羨ましいのう。



いずれも後追いでさまざまな憶測、後日談などが出ているので、ジャニーズ所属タレントのスキャンダル、ゴシップはただいまも盛大にタダ漏れ中という印象である。こんなことは少なくとも去年までは考えられなかったことである。



実際的にはSMAPの騒動の余波を受けて事務所の目が行き届かなくなった、マスコミへのグリップが効かなくなったということかもしれないけれども、やはり時代のひとつの変わり目を感じさせる動きである。現実がファンタジーの向うへ行ってしまっている。



おお、そういえば話は変わるけれども、メリー喜多川(89)はいまいかがお過ごしなのであろう? 8月14日、SMAPの解散発表の直前にハワイに行ったという情報からこっち、なんの音沙汰もない。一部には健康不良説、モーロク説まで流れ出している始末である。ファンタジーである。しかしいずれにしても今度のクリスマスで満90歳という現実を見れば明らかに引退は近い。



後継者に指名されている娘のジュリー景子はプロデュースの手腕、業界での人物評ともに芳しくないらしいから、ジャニーズ事務所はこのままズルズルと地歩を失い帝国の威光は地に堕ちるのであろう。時代は変わる。



ジャニーズ事務所だけではない。バーニングプロダクションの周防郁雄(75)がフェードアウトしはじめているし、そのためにいまや芸能界のドンといえば田辺エージェンシー社長の田辺昭知を指すらしいけれども、こちらももう78歳と高齢である。それにもともと夏目三久(32)のこと以外にはそれほどムキになる人物でもないらしい。



そんなこんなでたぶんこれからはテレビ局が制作面においても強力なイニシアティブを発揮していくことになるのであろう。こうした大きな時代のうねり、そのきっかけにSMAPの姿があるのである。元をただせば「マー坊」のチカラである。



そして「現実」に超えられてしまったファンタジーのなかに棲むアイドルはもはやただの人。つまりほんものの「マー坊」である。「マー坊」ばっかり。アイドルは死んだ。女子の場合は知らぬ。もっとずっとむかしに大衆の海のなかに沈んでいってしまったのかもしれぬ。



うむ。SMAPはすでにしてレジェンドである。解散したのちにもさまざまに語られていくであろう。ああ、そういえばSMAPの歩みを総括する、たとえばDVDや書籍をつくるとした場合、ジャニーズ事務所とメンバーの承諾を得るにはどうしたらいいのであろう? しかしこのままではSMAPの歴史そのものが消える。どなたかなんとかしていただけないものであろうか?



もとい、そしてSMAPはおそらく神格化されていく。実は今日はその神格化の決定版を誰よりも早く書ければ素晴しいではないかという野心もあったのである。似合わないことに、身の程もわきまえず。で、考えたのがこれである。



《SMAPはアイドルとして未曾有の進化を遂げ、アイドルの世界の涯を拡げ、ついにはアイドルを滅ぼした奇跡である。》



出直してくるべ。(了)







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