2016年9月14日水曜日

90歳でSEXが生きがいって、スゴくない? ほかにないの?



『週刊ポスト』(2016年9月16・23日号)が「死ぬまでSEX」特集をやっていたというので、瞬間、慌てたのである。激情に駆られすべてを投げ出して没頭するというような、つまり平たくいえば死ぬまでやりまくるというような破滅的かつロマンチックなイメージが浮かんだからである。



だがしかし、ほんとうのところは《本誌が2012年から続けてきた「死ぬまでSEX」特集。タブーとされてきた「高齢者のセックス」を取り上げ、毎回物議をかもしてきた》なのである。お年寄りの話である。



たしかに目次をめくると、河合奈保子(53)、大場久美子(56)、相本久美子(58)という懐かしい名前が並んでいる。読者層はずばり『TVジョッキー』(日本テレビ、1971年1月〜1982年12月)世代、50代からのオジジなのである。



まあ、そうはいっても「激情に駆られすべてを投げ出して没頭する」セックスとかいうイメージ自体いまのものではないし、そういえばつい最近「なかんずく」を「かんなくず」と読んだばかりである。「死ぬまでSEX」、さぞかし身につまされる話なのであろう、と予想したのである。



だがしかーし、重ねてだがしかーし、今回読んだかぎりでは、「死ぬまでSEX」特集は高齢者のセックス礼賛、というか、その効用をこんこんと説くものであったのである。健康によし!! なかでもいくつか紹介されている体験談が生々しくもうさん臭くもあり、セックス万歳!! な感じが久々に週刊誌を読んでいる気分にさせてくれたのである。抜粋してご紹介しよう。



《●55歳の独身女性が呼び起こした男の性(93歳男性・元陸軍諜報部員)

「私は陸軍中野学校の出身です。戦時中はロシアのウラジオストクで諜報活動をしていました。現地のロシア人娼婦は目が青くて綺麗でしたよ。

終戦後に帰国し、国電や保険関係の仕事に就きました。最初の結婚は失敗し、40歳の時に再婚。その妻が3年前に亡くなり、悲しみに塞ぎこんでいた時、出会ったのが55歳の独身女性でした。

うら若き女性に、忘れかけていた男としての性が蘇りました。90歳を過ぎているのにしっかりと勃起し、射精もします。今は彼女とのセックスが生きる糧です」》



《●机の上のバイアグラが女房のサイン(72歳男性・元漁師)

「女房とは60歳を過ぎてからもセックスは続いていました。しかし3年前に私がED(勃起不全)になってしまったのです。「俺はもうセックスできないのか?」と頭を抱えました。そこでバイアグラを飲んでみることにしたのですが、これが効きました。おかげで今でも週に2回のペースで夫婦生活を楽しんでいます。

女房から求めてくる時は、バイアグラが何気なく机の上に置いてあるんです(笑い)。女房は今でも十分に愛液が出ていますし、快感の喜びも若い頃と変わりません」》



《●脳梗塞後に始めたリハビリセックス(69歳男性・元銀行員)

「脳梗塞になったのは10年前のこと。右半身不随となり、現在も週2回のリハビリを続けています。

私は25歳の時に4歳下の妻と結婚したのですが、50歳の時に同い年の未亡人と知り合って以来、ずっとその女性と一緒に暮らしてきました。妻とは別居していて、リハビリを手伝ってくれたのも妻ではなく彼女なんです。彼女のおかげで足を引きずりながらも自力で歩けるようになり、言葉に詰まりながらも意思を伝えることができるまで回復しました。

セックスもできるようになった。この体ですが、肝心な部分は大丈夫。なにより彼女が気を使ってくれるんです。今でも彼女とは週2回は楽しんでいます」》



90歳で55歳の独身女を捕まえた元陸軍諜報部員、 週に2回バイアグラを飲み続けている72歳の元漁師、不死身のチンチンをもつ69歳火宅の元銀行員、と考えるとなかなかスゴい。とくに不死身のチンチン、火宅の元銀行員は「左半身不随といわれたので慌ててチンチンを右側に寄せた」というビートたけしのジョークを思い出させるスゴさである。



そして皆さん逞しい。なにが逞しいかというと、セックスをすっかり日常生活の一部にしているところが逞しいと思うのである。あたりまえか? そーかー? 私にはその真似ができない。私にとってセックスはやはり非日常のハレの世界のものなのである。まつりごと。



であるからして朝餉夕餉のごとくあたりまえの顔をしてそれを繰り広げるなど、到底、理解すらできないのである。セックスとはマナジリを決して臨むべき冒険、苦行なのである。なのに飯は1日3回、糞は1日1回、セックスは週に2回という並びでいいのか? というお話である。正味の話、それで果たして楽しいのであろうか?



少しだけ具体的にお話をしよう。恥ずかしいので。そう、セックスは少なくともお互いの羞恥心が消えてしまったらもうダメである。週に2回、同じ相手とセックスをしていて、羞恥心は保たれるものなのであろうか?



『週刊ポスト』、「死ぬまでSEX」、「タブーとされてきた『高齢者のセックス』を取り上げ、毎回物議をかもしてきた」とかなんとかいっているけれども、射精を放尿と同じただの排泄としか考えていないのではないのか? おまえら、セックスを知らないだろ。



アメリカ・ミシガン大学のチームが、57~85歳の男女2204人を5年間追跡調査した結果を、医学誌「Journal of Health and Social Behavior」(電子版)の2016年9月6日号に発表している。『J-CASTニュース』(2016年9月13日配信)のまとめから、それをご紹介しよう



◆女性では「性行為が極めて気持ちがいい」「いつも満足が得られている」と答えた人々は、「満足度が低い」「性交渉がない」と答えた人々に比べ、高血圧になるリスクが非常に低くなり、心血管疾患(心臓病や脳卒中など)になるリスクが低い

◆逆に男性では「性行為が極めて気持ちがいい」「いつも満足が得られている」と答えた人々は、「満足度が低い」「性交渉がない」と答えた人々に比べ、心血管疾患になるリスクが高くなる。特に「性行為を週に1度以上している」男性は、「週に1度以下」の男性に比べ、リスクが2倍近くに上昇する



つまり男にとって「気持ちがいい」「満足が得られる」セックスとは、やはり命懸けで、命を削って行うものなのである。これ、「気持ちがいい」「満足が得られる」から健康リスクが高まるのだ、と読むのではなくて、逆に知らず知らず健康リスクを高めているから「気持ちがいい」「満足が得られる」と読むのが正しいのである。精神的なコーフンである。



しかしセックスに精神的なコーフンを求めるきわめてまっとうな態度は、ときとして秩序を乱す。家庭も壊すし、人生も壊す。

《埼玉県の春日部消防署の消防士高野聖容疑者が12日午後8時すぎ、さいたま市の岩槻駅近くで、全裸で路上を歩いた疑いで逮捕された。

高野容疑者は警察官に見つかると全裸で逃走したが、約3時間後に自宅で発見され、その後逮捕された。調べに対し、「性的欲求を満たすためだった」と容疑を認めているという》(「日テレNEWS 24」2016年9月13日配信)



不死身のチンチンをもつ69歳火宅の元銀行員は、そういう、ときとして秩序を乱し、家庭を壊し、人生をも壊す「気持ちがいい」セックスを知っているはずなのである。なのに「今でも彼女とは週2回は楽しんでいます」でいいのであろうか? というか、この人物、ほんとうに実在するのであろうか?



生の発端を司るセックスは、男にとっては死と隣り合わせの闘争なのである。人間の男も、交尾中にメスに食われてしまうカマキリのオスも、そうかわりはないのである。気持ちいいけど、やったら死ぬ。この二律背反のなかに男は生きているのである。



おおっと、さらにもう一方では、実践をともなわず、こんな机上の空論ばかり振り回しているヤツは絶対に女にモテないという厳しい現実もあるのである。二重苦である。死ぬ。(了)



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