2016年9月24日土曜日

マスコミ報道は、ウソとホントがあるからおもしろいでしょ



奇妙なものを発見したのである。まずはお手数でまことに申しわけないのだけれども、以下の原稿、AとBを読み較べていただきたい。



[A]・・・・・

《共に童貞と処女であったベトナム・ハノイ在住の大学生カップル。初体験でのとんでもない“失策”により病院へと急行した。すべては「コンドームを買うのが恥ずかしい」とためらってしまったから。しかし2人は病院でそれよりよほど恥ずかしい思いをしたという。

避妊のために彼らが使用したのは食品包装用ラップ。たしかに触り心地は薄く柔らかい。しかし彼女は陰部と膣内部にひどい傷を負い顔を歪めるばかり。出血も痛みも止まらないことに「Hanoi Nephrology Hospital」へ急いだ。2人はついに結ばれた、などと言って余韻を楽しんでいる場合ではなくなったのだ。

同病院の広報を担当するグエン・テ・ルオンさんは、「抗生物質での治療が行われました。薄く見えてもラップの表面はラフで、弾力性もなければ潤滑ジェルも塗られていないためコンドームの代わりにはなりません」と話し、若い人々の性の知識の欠如と勘違いには十分な注意が必要だと呼びかけた》



[B]・・・・・

《初体験でコンドームの代わりにビニール袋で避妊を試みた若いカップルが下腹部の痛みをうったえて入院するという珍事件がベトナムのハノイ市で発生した。英デイリー・メールなどが報じている。

2人が入院したハノイ腎臓病院のグエン・テー・ルオン副院長が語ったところによると、事件を起こしたのは大学生のカップルで、いざ初体験を迎えようということになったが、コンドームを買いに行くのが恥ずかしくてビニール袋を代用した。しかし、ことが終わってから下腹部に猛烈な痛みがはしったため、慌てて2人で診察に来たのだという。

診察した医師によると、2人は性交した際にビニール袋がこすれて性器を傷つけ出血していたため、傷口を治療したうえで、感染症を防ぐ抗生物質を処方した。

ルオン副院長は、コンドームの代わりにビニール袋を代用する方法について、「ビニール袋は厚くて弾力性もない。衛生的にも問題があり、膣内に挿入すれば炎症を起こす原因となる。そのまま性交したら、今回のように摩擦で性器を傷つけることになるので、必ずコンドームを使用するように」と念を押した》



[A]は『TechinsightJapan』2016年9月22日配信
[B]は『VIETJOベトナムニュース』2016年9日20配信
の記事の抜粋である。



[A]に出てくる「Hanoi Nephrology Hospital」は、直訳すれば[B]に出てくる「ハノイ腎臓病院」である。おそらく[A]の「グエン・テ・ルオン」と[B]の「グエン・テー・ルオン」は同一人物であろう。ただし「グエン・テ・ルオン」のほうは病院の広報担当者であり「グエン・テー・ルオン」は副院長とされている。残念なことに、記事には両方ともその事件がいつ起きたのかは書かれていない。



たぶん、この2つの事件は同じものだったのであろう。いくらベトナム・ハノイの大学生が慎み深くシャイであったとしても、コンドームを買うのが恥ずかしいからといって、そんなにそんなに食品包装用ラップやビニール袋をチンチンに被せているわけはないと思うのである。



では、ほんとうはどちらだったのであろう? 食品包装用ラップだったのか? ビニール袋だったのか? 実際の使い勝手からいえば、私としてはビニール袋のほうが有利だと思う。食品包装用ラップというのは意外に扱いづらくて、たとえばあの幅をきれいに半分にするには、まな板に延ばし定規を当て、包丁の先かカッターで切るしかないであろう。つまりチンチンのサイズに合わせてカットはしにくいといいたいのである。



さらに食品包装用ラップでは精液が漏れないように包み込むのもたいへんだし、膣内で動いているうちに巻きがほどけてくるような気もする。かといって、何重にも巻き付ければゴワゴワとしていったい誰とセックスしているのかわからなくなるであろう。



一方、ビニール袋のほうは角や端のミミの部分が膣内を傷つけないようにまずは裏返しにし、亀頭を隅に寄せて被せれば、三角に余ったそこがちょうど精液溜まりの役も果たしてイケるような気がする。よくスーパーのサッカー台(買った品物を袋詰めしたりする台)に置いてある薄手のビニール袋がオススメな感じである。しかしこの2つの記事のどちらほんとうなのかはわからないのである。ヒマなのである。



どちらかがウソをついているわけである。私は、やはり初体験のカップルで、男が女の前で食品包装用ラップでチンチンをグールグルしている図は想像できないのである。ベトナム名物、焼バナナになってしまいそうである。しかしおもしろいことに、この2つの記事では、病院側からの説明がきちんと書き分けられているのである。



[A]
「抗生物質での治療が行われました。薄く見えてもラップの表面はラフで、弾力性もなければ潤滑ジェルも塗られていないためコンドームの代わりにはなりません」(グエン・テ・ルオン広報担当)

[B]
「ビニール袋は厚くて弾力性もない。衛生的にも問題があり、膣内に挿入すれば炎症を起こす原因となる。そのまま性交したら、今回のように摩擦で性器を傷つけることになるので、必ずコンドームを使用するように」(グエン・テー・ルオン副院長)



うむ。やっぱり、しつこいようだけれども[B]のほうがホンモノっぽい。さて、ここで思い出すのが、最近一部でいわれている「エア取材」というやつである。誰もいない空間に向かってブツブツ話しかけるということではない。実際の取材なしに取材記事を書いてしまうことである。サッカー雑誌のインタビュー記事が発端のようだ。



問題になったサッカー雑誌の場合はまったくのデッチ上げであったらしいけれども、紙面上の扱いや割当時間、それから内容によっては、本人を目の前にしての、いってみれば「セミエア取材」がしばしばというか、ほとんど毎度のように行われている。インタビューする側が質問の中に回答を入れてしまうのである。



「ああいう場面ではどうですか? 正直いってかなりイライラされるんじゃないですか?」というたぐいである。これに相手がただ「ハイ」とだけ答えれば「正直いってああいう続けてかわされるような展開になるとかなりイライラしてしまいますけど、そうなったらもう負けなので」などという記事になるのである。



最近ではテレビのインタビューでも頻繁に見られる光景ではある。しかし、厳密にいえば、もちろんこれは本当のインタビューではない。インタビューというのは、なんとか相手の言葉を引き出す手間と根気と技術のいる仕事なのである。であるから、インタビュー慣れした相手がこちらの目論みを先に読んで、さっさとそれに添ったコメントを喋りだすのは、たぶん仕事が速くて嬉しい反面、おもしろくない感じもするはずである。



紙媒体の場合、あざといくらいの「セミエア取材」をしても、そのときの写真、現場写真があればあとでどうにでもなるものなのである。おかげさまで読者としては、どこまで「セミエア取材」かを見極めるという楽しみもあるのである。またスポーツ新聞の芸能ニュースの場合なら、半分以上はなんらかの事情によるガセなので、それを見きわめるのもおもしろい。



しょうもない話ではある。しかしこんなふうにメディアと付き合っている人間はとても多いのだろうと思う。というかほとんどがこんな感じなのではないかと思う。そしてそのうち、ベトナムの純情青年がチンチンに被せたのは食品包装用ラップかビニール袋かで、楽しめるようにもなるのである。



ああ、書き忘れていた。ベトナムの純情カップルがコンドームを買うのをためらうのは、たぶんベトナム製コンドームがあまりにも強烈だからである。まずはその色彩が赤だの青だの黄色、緑、紫、とケミカルでド派手、しかもそれに色違いの小さなウサギの耳みたいのやポチポチがいくつもついている。チンチンが喰われてしまいそうな恐怖さえ覚える。



これは買いづらさとは関係がないけれどもついでにいっておけば、ゴム!! という感じの厚みもなんともいえない。いくらかはチンチンのカサ増しに役立つのではないか。とにかくヘビーデューティーなプロ仕様というか、洗えば100回くらいは使えるのではないかというシロモノである。まあ、どこに需要があるのかはわからないけれども、輸入販売でもしたくなってきたのである。日本での商品名は、もちろん「ベトコン」である。(了)



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