2016年9月11日日曜日

誰の身の回りにも、どんどん「死」が増えていく—



梅宮アンナ(44)が“父は元気です”という記者会見を開いた。梅宮辰夫(78)が元気なら、重病説があったにしても別に大げさに会見を開くほどのことはないのである。しかも「緊急会見」である。



しかしそこはそれ、梅宮アンナなのである。こういうことでしかマスコミに取り上げてもらうことができないのである。つね日ごろ食わせてもらっているだけでは足りなくて、話のネタまで辰夫におんぶに抱っこのアンナなのである。実際、梅宮辰夫の所属事務所としてはあまり大げさにしたくなかったらしいフシがあったようなのである(「ZAKZAK」2016年9月10日配信)。



とはいえ、笑ってばかりもいられない。確かに梅宮辰夫の病気(十二指腸乳頭部癌)はそうとう重篤なものであったし、ほかにも重い病気と闘っていらっしゃる方々は多い。ざっといま思いついただけ挙げてみよう。もちろん、このほかにも癌と闘っていらっしゃるもっと若い方なども大勢いらっしゃるわけである。しかしここでは、いわゆる大御所と呼ばれる方々に限らせていただいた。



桂歌丸(肋骨骨折、慢性閉塞性肺疾患、背部褥瘡 ほか)80歳
かまやつひろし(肝臓癌)77歳
渡哲也(急性心筋梗塞 ほか)74歳
松方弘樹(脳リンパ腫)74歳
西田敏行(胆嚢炎、頸椎亜脱臼 ほか)68歳
大塚範一(急性リンパ性白血病)67歳



ああ、それから北島三郎(79)が今年8月下旬に都内の自宅で転倒し「頸椎(けいつい)症性脊髄症」と診断されていたこともわかったのである(「デイリースポーツ2016年9月4日配信」)。 頸椎症性脊髄症というのは、年をとって頚椎が変化し、その近くを通る脊髄に影響を及ぼして、さまざまな神経症状を引き起こすものだそうである。つまり頸椎症性脊髄症が先にあって転倒をひき起したのである。



残念ながら亡くなっていく方々もまた多い。芸能に関係した高齢の方々だけでも、今年はこれまでにざっとこんな感じである。



むのたけじ(101)、秋山ちえ子(99)、近藤富枝(93)、松山善三(91)、大平透(86)、冨田勲(85)、戸川昌子(85)、中村梅之助(85)、三代目桂春団治(85)永六輔(83)、大橋巨泉(82)、蜷川幸雄(80)、白川由美(79)、はかま満緒(78)、望月三起也(77)、夏樹静(77)、伊藤ユミ(75)、中村紘子(72)、十勝花子(70)、江戸家猫八(66)



なんだか「死」というものがグングン領土を広げて目前にまで迫ってきている感じがするのである。「多死社会」という言葉がやたらリアルに響くのである。ちなみに「多死社会」とは《高齢化社会の次に訪れるであろうと想定されている社会の形態であり、人口の大部分を占めている高齢者が − 略 − 死亡していき人口が減少していくであろうという時期》(Wikipedia)である。much death society、こんな名前のヘビーメタルバンドがいたような気もする。いないか。



こんなに「死」が勢いを増しているのは、あの第2次世界大戦以来のことである。戦争中、ほんとうはそれから時間をかけて生をまっとうするはずだった青年やオトナたちがバタバタと死んでしまったから、戦後、「死」は少し遠ざかっていたのである。日本軍の死者は約240万人、民間人の死者は約100万人とされている。上に挙げた加療中の大御所の方々はほとんど、戦争を子どもとして生き延びられた方々である。子どもだから戦線に送られずに済んだ方々といってもいいかもしれない。



そしてその「死」がまた徐々に勢いを取り戻し、団塊の世代によって次の大量死の時代が招かれようとしているのである。団塊の世代の全員が75歳以上になる2025年には、年間の死亡者数が140万人を超えるとみられているのである(65歳以上)。そして「多死社会」のピークは2038年に訪れるらしく、そのときの年間死亡者数は160万人を超える見通しである。



ピンと来ない? わかりました。いま通りがかりの知り合いから厳しいご指摘をいただいたのである。ではジャニーズ事務所にたとえてみる。創業は1962年。この年にデビューしたのが、“初代”とか“元祖”とかいわれる4人組、ジャニーズである。



現在のところ存命なのは飯野おさみ(70)、あおい輝彦(68)、中谷良(69)の3人である。まさに団塊の世代である。中谷良は1989年に『ジャニーズ の逆襲』という暴露本を出し、1992年にVシネマ『怪獣の観た夢』(北公次主演)に出演したのちの消息が分からないので、あるいはもう亡くなっているかもしれない。



続いて、フォーリーブスが1966年にデビューしている。4枚の葉のうち存命なのは江木俊夫(64)、おりも政夫(63)の2人である。その後にデビューした主だったところの年齢を列記すると、郷ひろみ60歳、田原俊彦55歳、近藤マッチ彦52歳、東山紀之49歳である。これに中居正広44歳、木村拓哉43歳、草彅剛42歳、稲垣吾郎42歳、香取慎吾39歳が続く。滅相もないと叱られそうだけれども、高齢社会→多死社会への移行はジャニーズにおいても確実にすすんでいるのである。



断っておかなければならない。ものごころついてからの私のまわりで死んだ人間は6年前の父親ひとりだけである。しかも飼い犬が死んだときよりも哀しくなかった。罰あたりな人間である。そんな人間がいうことだと思って読んでいただきたいのであるけれども、死がいまより身近になると、社会がもっている世界観というようなものも微妙に変わっていくのだろうと思うのである。



死がいまよりももっと身近になると、少なくとも“いつまでも続く日常”というような暢気な思い込みはなくなる。そしてより真剣に生きるようになるかもしれないし、希望的に過ぎるけれども、人に対するやさしさも増えるような気もする。しかし同時にその一方で、案外簡単に死を選ぶ人が増えるような予感もある。



多産多死の時代だったといわれるのは江戸時代の後期である。それから戦争の時代を除いて、多産少死の時代、1960年代からの少産少死の時代を経て、いよいよ少産多死の時代に入りかかっているわけである。であるから、江戸時代後期の文化・文政期のように、さらに爛熟・頽廃した世相になる可能性もある。



うむ。いったいなにをいいたいのかといえば、「死」が身近にある世界が怖いのである。よーく考えてみたら、ただそれだけのことである。いまでも救急車のサイレンの音を聴かない日はないけれども、これがもっと頻繁になるのである。街中に小さな斎場がいくつもでき、火葬場には順番待ちの行列ができる。おっと、と気がつけば私もその行列の横たわる一員になっているのである。



みんなそうなのである。メリー喜多川(89)もジャニー喜多川(84)も、藤島ジュリー景子(50)も、郷ひろみも、田原トッチ彦も、近藤マッチ彦も、東山紀之も、中居正広も、木村拓哉も、草彅剛も、稲垣吾郎も、香取慎吾も、そんな遠くない未来にみんな死ぬ。おお、そういえばジャニーズ事務所それ自体ももう創業54年である。あまり先行きは長くないだろう。(了)



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