1日単位から週単位になり、月単位、年単位、3年単位、5年単位、10年単位、そして区切りなしの無制限、と、年齢とともに変化する時間/時代の感覚について近所の飲み屋のオヤジが解説していた。なるほど「十年一日のごとし」の状態を通り越して区切りのない世界に突入するのだ。
*
オヤジ自身は“10年単位”と“無制限”の境目を往ったり来たりしているらしい。むかしのことはよく憶えているのに最近の出来事については怪しい場合がある。そういう私は数をかぞえることからして苦手で3つ以上はすべて“たくさん”ですませているので、ずーっと無制限のようなものである。3年以上むかしのことは“ずっとまえ”。
*
“無制限・区切りなし”の世界はどういうものかというと、それまで順番に並べてきた色あいさまざまなカードがシャッフルされて巨大な1枚の灰色のカードになってしまうようなものである。らしい。要するに時代の感覚などというこざれた(notこじゃれた by飲み屋のオヤジ)ものは消失してしまうのである。
*
たとえば2017年9月28日放送の「とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP」(フジテレビ)に登場した「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」すなわち石橋貴明(55)はもうすっかり灰色の人、周囲にとっては老害でしかないということである。すっかり“無制限・区切りなし”の世界に入っておる。
*
微妙な空気をお笑いに反映させる芸人に時代感覚は命の綱。しかし石橋貴明の今回の醜態は、たぶんこの30年間テレビすら見ていなかったのであろうと思わせる古さを感じさせる。まったく仕事を舐めておる。
*
フジテレビの対応も舐めておる。『J-CASTニュース』の取材に対しての広報室の回答はこうだ(9月29日配信【30年ぶり復活「保毛尾田保毛男」に批判噴出 フジ広報室「差別の意図なかった」と釈明】)。
*
「 本放送ではLGBTの方々を揶揄するような意図をもって制作はしておりません。番組放送30周年ということで、本キャラクターは、あくまでも本番組の歴史を振り返り番組の人気キャラクターとして登場させたものです。
差別の意図はありませんでしたが、番組をご覧になって不快な思いをされた方がいらっしゃることについては真摯に受け止め、今後の番組作りに生かしていきたい 」
*
木で鼻を括る、とはこのことをいう。フジテレビ側の事実関係を述べただけで、これが差別につながるのかつながらないのかはそちらさまのご判断でございましょ、である。そしてもし〜なら真摯に受け止めます、なのである。なにさまのつもり。
*
広報室がこの調子であるから、社長はもっと上の空である。そのコメントを『スポニチアネックス』(9月29日配信【フジ社長 「保毛尾田保毛男」批判に陳謝「大変遺憾 謝罪をしないといけない」】)はこう伝えている。
*
「これは30週年スペシャルで、30年間で作り出してきた色々なキャラクターで展開をしたわけですが、もしその時代が違っていて、不快な面をお持ちになった方がいたことは大変遺憾なこと。謝罪をしないといけない」(原文ママ)
*
ちょっとお、なにゆってんだかわかんないんだけど。「もしその時代が違っていて」? どゆこと? 「もしその時代がいまの時代と違っていて」ってこと? んなのあったりまえじゃん。むかしといまだろ? バカかおまえ? そしてむかしといまが違ってたって同じだって、やってんのはいまなんだからいまダメなものはダメだろ? え? コラ。
*
「不快な面をお持ちに」って、まーたこれなによ? オバケのお面か? コラ。ウケるー。こっちのツラをバカにしてんのか? コラ。バカにしたなコラ。ウケてんじゃねーよ。コラこっち来いって。日本語教えてやっから、オラ。
*
という感じだったりの時代も、人それぞれだけれどもあったはずなのに、きっとそんなこともなにもかも灰色に消えてしまったのである。時代感覚を失ったお笑い芸人とテレビ局。現代的といえば現代的だけれども、致命的である。ちなみに『スポニチアネックス』によると「保毛尾田保毛男」の登場は28年ぶりだそうである。
*
9月26日の当ブログでは“差別”に過剰に反応して問題化したがる人たちのことを書いた。かと思えば逆にこうして石橋貴明のように、そして木梨憲武(55)や制作スタッフたちのように、差別への問題意識がまったくズッポリ抜け落ちている人々もいるのである。また、フジテレビの社長や広報室のようにトボケるやつもいる。油断もスキもありゃしない。
*
これ以上この醜悪な番組を続けていくことになんの意味があるというのであろう? というか批判される前に自らを恥じて身を処すレベルのものである。
*
今回はもうひとつ。ジャニーズ事務所を独立したSMAP3人とCULENへのさっそくの誹謗について。これがその見本である。
*
*
*
◆『ZAKZAK(夕刊フジ)』2017年9月29日配信
【香取慎吾の“神対応”に眉ひそめる芸能プロ関係者 「事故が起こったら大問題」】
《 元SMAPでジャニーズ事務所を9月8日で退社した香取慎吾(40)が、自身が生出演する「smaSTATION!!」(テレビ朝日系)の放送前に、テレビ局の前に集まったファンに挨拶したことで“神対応”だと話題になっているが、「とんでもないこと」と眉をひそめるのはある芸能プロ関係者。
「SMAPは、20年以上も第一線で活躍した国民的スーパースターですよ。それがルールを無視してテレビ局前に集まるファンに挨拶するなんてとんでもないことなんです。一度こういうファンサービスをするとファンは期待して次週も次々週もテレビ局にやってきます。放送は夜ですし、ファンには未成年もいます。そこで事故など起こったら大問題ですよ」
「ジャニーズ事務所はそういうこともわかっていて、しかるべき時しか、こういう対応をさせなかったんです。それが個人の判断でこうなってしまっては…また、スターというのは簡単には姿も見せないものです。香取さんは親近感のあるタレントを目指しているのでしょうが、ファンとの距離が縮むほど、スター性が失われてしまいますよ」(芸能プロ関係者)
スターで居続けることは大変だ。》
*
*
*
だそうである。香取慎吾が『smaSTATION!!』放送前にファンの前に姿を現したのは、ジャニーズ事務所との契約が終了した翌日の9月9日、16日、23日の3回である。23日はご承知の通り最終回。「 一度こういうファンサービスをするとファンは期待して次週も次々週もテレビ局にやってきます」という「とんでもないこと」の根拠はきわめて限定的でなのである。
*
しかもこの記事が掲載されたのは最終回が放送されてから6日も経った29日であった。悪意が覗く。
*
“芸能プロ関係者”は「大問題ですよ」「スター性が失われてしまいますよ」と素人相手のようにいうけれどもおこがましい。稲垣吾郎(44)、草彅剛(44)、香取慎吾(40)と再び合流を果した飯島三智(59)をなんと心得る。SMAPをデビュー直後から20数年にわたってプロデュースし、国民的スターに育て上げたやり手なのでござるぞ。それこそ釈迦に説法、要らぬ口出しというものであろう。ところでこんな記事が出て喜ぶのはいったいどこの誰なの?
*
これからもきっと手を替え品を替え、こんなくだらな〜い記事が量産されていくのである。しかしおもしろくない、つまらない。陰険だし。そこに隠された卑しい魂胆など読者もすぐに見抜く。
*
なので野次馬が夢見るのは暴露合戦である。だがしかしジャニーズ事務所としては自ら大量の傷を抱えているので手は出しにくい。そこにはジャニー喜多川のむかしからのお話もあれば、最近の若手のご乱行もある。SNSやネットだけでなく、まさかの暴露合戦でもジャニーズ事務所は劣勢を覚悟せざるを得ない。かくしてジャニーズ事務所、まったくつまらぬ。苦しいのう。(了)
OCN モバイル ONE データ通信専用SIM 500kbpsコース
CMで話題のコスメやサプリがSALE中☆
【DHC】最大70%OFFのSALE開催中!