2017年9月27日水曜日

最近、人間が人間を食べる話が多いのには理由がある



環境破壊や食糧危機といったことをボーッと考える。その根本的な理由はなにかというと、それはきっと人間社会の営みが自然の循環から外れたところに存在しているからだ、ということになる。自然から食料その他の資源をガッポリ掠め取って、お還ししている、いや押し付けているのはゴミや二酸化炭素ばかり。



そんなことではいつか破綻がきてあたりまえ。人間も野性の動物や昆虫と同じ生きものなのだ、みんな地球の上に生きる兄弟なのだ、と謙虚にならなければいけない。となるともって生まれた権利、人権というものも考え直さなければならないのではないか?



もちろん“人権”は人間が人間を相手にしてつかう言葉であるけれども、いちおう生きとし生けるものみな平等ということで、万物の長、などとそっくりかえってばかりいるのも考えものでしょ? ということである。



すると次にアタマに浮かんでくるのはどうしたわけか人肉食である。私の場合。これひとつで人間はすっかり自然の仲間入り、おおいなる資源循環の仲間入りができる。カニバル(Cannibal)!! 1発っ!! である。なんのことだか。



そしてまたいつもいつもアタマに浮かんでくるのが写真家・藤原新也(73)の作品『Memento mori』収載の「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」である。人間の死体が野良犬に食われているシーンをインドで撮影したもので、これにくだんのタイトルを付し、サントリーオールドのブツ撮り写真を小さくレイアウトして広告風に仕立てて新潮社の写真週刊誌『Focus』に見開き2ページで発表したのである。



結果は速攻クビ。藤原新也は『Focus』創刊のアイデア出しから深く関わっていたプロパーだったというのに。ニンゲンはスポンサーに食われるほど自由だったわけね。



でもって、日本の年間死亡者数は約130万2000人であり(厚生労働省・2015年推計)、2040年には166万人に達する見込み(同)ということをつい確認する。



そしてその間にもアメリカで超肥満体の遺体を処理していた火葬炉が過熱して火事を引き起こしたというニュースを思い出したりしている(「Techinsight」2017年5月12日配信【脂ぎった超肥満遺体の火葬で炉が過熱 火葬場が火事に(米)】)。さらに東京や大阪では火葬が追いつかずに順番待ちが生じている、とか。



コイツいよいよおかしくなってきた、と眉をしかめておられるかもしれない。しかしいわせていただければ、いまや広く人々の心に“食料としての人間”という概念が備わってしまったような気がするのだ。『進撃の巨人』だの『東京喰種』だのカニバリズムを扱った映像作品がしかもメジャーで制作・公開されているのもそのひとつの表れではないのか。



年間130万人、豚のと畜時の体重がだいたい100kgで人間の死亡時の平均体重の2倍とすると豚65万頭分という計算である。歩留まりの問題はあるけれども。ともかく豚65万頭分の食料が得られ、火葬場の負担も解消される。なにより人間もまた自然の一環なのだという夢想じみた哲学を忠実に生きられるのである。ドヤ?



こんな私にそんなニュースである。





◆『CNN.co.jp』2017年9月26日配信
【殺人と人肉食の容疑で夫婦逮捕、30人被害か ロシア】

《 モスクワ(CNN)ロシア国営メディアは25日、南部クラスノダール地方で複数の被害者を殺害して遺体の一部を食べていたとして、35歳の男とその妻が警察に逮捕されたと伝えた。1999年以来、30人もの人々が殺害された可能性もあるとされ、捜査当局はロシア史上、最悪級の人肉食事件とみて調べている。

RIAノーボスチ通信によると、今月に入り、クラスノダールの路上に落ちていた携帯電話から、バラバラにされた女性の遺体の前で自撮りした男の写真が見つかった。この女性の遺体は翌日になって、付近にあったかばんの中から発見された。

携帯電話の持ち主の男は当初、女性の殺害を否定。遺体を見つけて一緒に写真を撮った後、携帯電話をなくしたと主張していた。しかしその後、この女性と、2012年に殺害された別の人物の2人について、殺害を認めたという。

これまでの捜査では、加工された人の手が入ったガラス容器が見つかった。容疑者の男はこの手について、一緒に写真を自撮りした遺体の一部だと供述しているという。

警察はこれまでのところ、被害者7人の身元を特定したが、多くの被害者については現時点で詳しいことは分かっていない。

モスクワの捜査委員会はCNNの取材に対し、事件の詳細を認め、ロシアで発生した連続殺人事件の最新のものだとした。

今年に入り、元警察官のミハイル・ポプコフ被告がすでに受けていた22件の有罪判決に加えて、60件の殺人で起訴された。同被告は20年近くにわたって犯行を行っていたという。》





事件が起きたあたり、クラスノダールをWikipediaで調べた。



「ソビエト連邦時代には工業都市として知られ、今日でも農作業機械などの機械製造や食品加工などが盛ん。黒土地帯にあり土地が肥沃で、トウモロコシやコメなどの穀類やひまわり、果物を耕作する。茶の栽培も盛んで、世界の茶栽培の北限に近い。」



人口は約71万人。都市が建設されて約200年経つ。ロシアで人肉食事件などというと1年の大半を雪と氷に閉ざされた辺境の地、みたいな連想が働くけれども、実際はなんとなく北海道に似た雰囲気の土地なのではないかという気がする。



そこで証拠写真入りの携帯電話を落すというドジをやらかすまでの約17年間、「30人もの人々が殺害された可能性もある」というのである。『JIJI.COM』によれば夫婦の住居からは塩漬けにされた人体の一部や凍った肉が見つかっているという(2017年9月26日配信【人肉食か、殺人容疑で夫婦拘束=住居に塩漬け人体―ロシア】)。



夫は現在35歳であるから犯行は18歳のときから。17年間で被害者30人とすると、毎年1人から2人のペースで犠牲になっていたことになる。なぜ食べてしまったのかの理由、また供するまでの手段などにもよるけれども、常食としていた可能性も考えられるボリュームである。



ドイツの農村地帯では各家庭で豚を飼ってそれを食べる食文化がある。精肉のほかハムやソーセージ、ベーコンなどに加工し、骨と蹄と眼球しか残さないといわれるほど徹底的に活用する。体重120kgの豚をつぶして夫婦2人に子ども3人、祖父母2人の合計7人の暮らしで、約3ヵ月もつ。夫婦2人で人間ひとり、の場合なら、そうか豚肉並に消費すればやっぱり3ヵ月程度か。



ちなみに豚の解体はそれぞれの地域に得意な人がいて、休日など飼い主の家族が自宅にいるときにその庭先などでアルバイトとして行う。家族も手伝い、所要時間はだいたい2時間半程度らしい。



カニバリズムの動機には儀礼、信仰、懲罰、飢餓、性的興奮、そして味覚の嗜好がある。味覚の嗜好とはつまりおいしいから、ということで、ありえないようであるけれども、実際に2011年にインドネシアで逮捕されたフィリピン人の女(29)は数年間で30人以上の女そして自分の夫を殺害し、冷蔵庫に保存し、少しづつ食べていたという。



女は動機を「人肉が食べたいという衝動が抑えられなかったから」だと説明しているのだそうだ。ニュースの出元がはっきりしないけれども、現場検証の際、人肉らしきものが詰まった冷蔵庫の扉を開けてその横で片膝立ちをしている彼女の写真がある。そっち方面では有名な写真である。また彼女は刑務所で刑務官の指を食いちぎって呑み込んだというまことしやかなお話もある。



1978年から1991年にかけて17人の青少年を絞殺し、食べたアメリカミルウォーキーの殺人鬼、ジェフリー・ダーマー(享年34)は、逮捕時の自宅にほかに食料となるものが見つからなかったため、当時はもっぱら人肉に依存して生きていたと考えられている。捜査官に対して「とくに上腕二頭筋がうまかった」「1度人の肉を食べたら、2度と牛肉や鶏肉なんか食べられなくなる」と語ったと伝えられている。



カニバリズムという言葉は、たとえば激しい労働搾取、あるいは貧困ビジネス、人身売買などのメタファーとして用いられることがある。つまり人間を肉として扱うよりも少しだけマシに経済価値で評価し、モノとして扱う。そういう世界に私たちは生きている。



インドでは牛肉を食うからという理由でイスラム教徒がヒンズー教徒に殺される事件が頻発している(「時事通信社」2017年8月28日配信・【また牛めぐり殺人=イスラム教徒を集団暴行-インド】。ここでは、私の歪んだ心のなかでは、牛肉と豚肉と人肉はかなり近いところにある。



その言葉の通り直截に人が人を食う世のなかになるなどということはありえないにしても、人間が人間らしく生きる権利、すなわち人権というものが実際的に定義し直される時代にきているのかもしれない、と思うのである。実際的ということはすなわち人権の限界も設定されるということである。これまでのようにポワ〜ンとどこまでも無制限という時代は終わる。



おお、こんなときに泰葉(56)ったら。東京都知事選挙への出馬を表明したらしい(「東スポWeb」2017年9月27日配信【泰葉 ブログで東京都知事選出馬表明「カジノ賛成、明るい東京にします」】)。泰葉、バリバリとマスコミの餌食ではないか。世間としてもただ笑っていていいという状態ではもうないと思うのだけれども。



人肉を食うのではなくて金のために人の生命まで食い潰すのが現代のカニバリズムなのである。それがどんどん露骨になっている。自然や地球のためにはまったくならないのに。なんでも食いつぶすんだわよ。



ロクでもないことを考えていたらゲンナリしてきた。20世紀前半にウクライナ人居住地域で起こされた人工的な大飢饉「ホロドモール」についても書きたいのだけれども、またなにかの機会、別の文脈で書かせていただこう。お疲れさま!!(了)




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